今の時代にこそ光る、アバルトのピュアな魅力とは/新型「Abarth 595 Competizione」(アバルト 595 コンペティツィオーネ) 試乗レポート(1/4)
- 筆者: 塩見 智
- カメラマン:阿部昌也
見る人が見れば判る・・・ツウ好みなマイナーチェンジを実施した595 コンペティツィオーネ
「Abarth 595 Competizione」(アバルト 595 コンペティツィオーネ)がマイナーチェンジした。アバルトは1949年にカルロ・アバルトという人物がイタリアで設立したフィアットのチューナーで、71年にフィアットに吸収されてからは同社のモータースポーツ部門を担ってきた。紆余曲折を経て、現在はクライスラー、ジープ、アルファロメオ、フィアットと並ぶFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)のブランドのひとつとして存在している。
FCAの各ブランドのなかでアバルトは最もスポーティーな位置づけで、現在は「フィアット 500(チンクエチェント)」をベースとしたスポーツモデルを5種類ラインナップする。
フィアット 500をライトチューンした「アバルト 500」。よりチューニングの度合を高めた「アバルト 595」。595はその性格によって「595 コンペティツィオーネ」と「595 ツーリズモ」に分かれ、595ツーリズモにはソフトトップの「595C」もある。さらに後席を取り外すなど軽量化に徹し、パワートレーンも多少実用性を落としてまで速さを追求した「アバルト 695 ビポスト」がある。
今回マイナーチェンジしたのはアバルト 595 コンペティツィオーネ。といってもガラリと見た目を変えたわけではなく、所々に見る人が見れば特別な仕立てだとわかる渋い変更が加えられた。
イタリアンらしいニクい演出の数々に気分も上がる
エクステリアでは、ホイールが16インチから17インチとなり、フロントブレーキには、赤い結晶塗装でおなじみのブレンボ製キャリパーが装着された。エキゾーストシステムに、これまではオプションだった「レコードモンツァ」というハイパフォーマンスキットが標準装着され、4本出しのテールパイプがなかなかの迫力を見せる。
インテリアでは、レザー/アルカンターラのコンビ素材を用いたヘッドレスト一体型のバケットシートが、フロント左右に設置される。また速度計と回転計が収まったメーターナセルの横に独立したターボのブースト計が備わる。
「具体的に何の役に立つんだ?」
と言われたら返す言葉はないが、上下する針を見ているだけで気分が上がるというもの。元来イタリア車は演出が上手だが、このブースト計なんかそのいい例だろう。演出で気分が上がるというのは性能の一種だ。
[イタリアらしい演出はまだまだ続く・・・次ページへ続く]
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