自動車の税金って何に使われているの?

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自動車の税金って何に使われているの?

自動車税、車検、その他諸々の自動車に関係する税金って、結局どこへ行って、どのように使われているのですか?政治家の懐ですか?(ゲロゲロ)

其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!

自動車税納税通知書

ゲロゲロさんのように思っている人は、非常に多いのではないでしょうか。

それは、大マスコミが、そのような空気を作っているからです。「税金の使い道はムダだらけ」 「税金は政治家や官僚、天下り役人のフトコロに入っている」テレビでは、そういうニュアンスのことをよく見聞きしますよね。その影響で、「ああ、そうなんだ。自分たちは騙されているんだ」と思うのは無理もありません。

ただ、実際に調べてみると、必ずしもそうではないことがわかってきます。まず簡単に、自動車諸税の行き先について説明しましょう。

★自動車取得税(クルマを買う時に払う税)

★自動車税(毎年払う税)

★軽自動車税(同上)

この3つは地方税なので、住んでいる地方自治体の税収になります。自治体は税金をいろいろなことに使います。教育やら公共サービスやら福祉やら、あらゆることです。もちろんそこには、地方公務員の給料や、地方議会の議員の給料なども含まれ、当然ムダもあります。

★重量税・・・これは国税で、道路特定財源なので、基本的には道路予算として使われます。

★ガソリン税・・・ガソリンにかかる税金は、揮発油税(48.6円/l)と地方道路税(5.2円/l)のふたつで、前者は国の道路特定財源、後者は地方税です。

自動車関係の税金のうち、国に入る分は道路特定財源なので、基本的に道路の建設・維持に使われます。そこには当然ムダもあります。国が管理する道路は国道だけなので、近年、この予算が余り始め、一部が「一般財源化」されるようになりました。

ただそれも、踏切をなくすための鉄道の高架化など、主にクルマ関連に使われています。

日本は自動車ユーザーの税負担が、欧米に比べるとかなり高くなっています。しかし現状、日本は国も地方も、総税収はまったく足りず、支出は増える一方。絶望的な金欠病で、借金漬けです。

その背景には、もちろんムダもあります。しかし蓮舫議員で有名になった事業仕分けを見てもわかるように、バッサリ切れるムダなんてものはそんなにはなく、結局、税収が少なすぎることが、金欠病の最大の原因です。

実際、欧米諸国に比べると、日本人の税負担割合は相当低いのです。ゲロゲロさんが疑っている「政治家のフトコロ」ですが、確かに昔の政治家にはいろいろと裏の収入源があり、才覚次第で大金持ちになれたようです。

しかし今の政治家は、収入的にはかなり恵まれません。公共事業予算はガタ減りしていますし、マスコミの目も厳しいですし、なにより、国の経済成長が止まってしまっています。裏の収入でガッポリ、なんていうオイシイ時代じゃなくなったのです。まだゼロにはなっていませんが(特に古い体質が残っている地方)、非常に減っていることは間違いないです。

はっきり言って今の政治家は、お金的にはかなりピーピーで、「政治家になると最後は家財を食い潰す」とまで言われています。なので、政治家になるのは、お金に無頓着でいられる先祖代々大金持の家の子(二世・三世議員含む)が多く、お母さんから毎年おこづかいを1億円もらってやり繰りしていたりしましたね。

実際その人は、毎年1億円財産を食いつぶして政治家をやっていたわけで、ある意味奉仕。エライ!とも言えます。政党の方も、昔はともかく、現在の収入は多くを政党交付金(税金)に頼っています(民主党で約8割)。総額は年間約300億円で、国の年間予算の2000分の1ほどです。

要は、我々が払っている高い自動車関連の諸税は、全体の税収が乏しい中、国にとっても地方にとっても実に貴重な財源で(たとえば宮崎県の場合、県税収入の2割が自動車諸税)、ムダもあるものの、大部分は必要不可欠な公共サービスに使われています。

「政治家のフトコロに入っているんじゃないか」「全部ムダに使われているんじゃないか」という考え方は、そういう現実から目をそらすのに、非常にラクチンな逃げ道なのです。そう言っておけば何も提案する必要がないし、誰も傷つけずに、正義の味方を気取れるからです。

テレビでそういうことを言うコメンテーターは、まったく取材をしていないか、ただ視聴者にウケたいだけの人です。もちろんまだムダはあるので、さらに削減して欲しいですが、民主党が言っていたように、「ムダさえ削れば予算はいくらでも出てくる」なんてのは、まったくの幻想です。

また、高い日本の自動車諸税を欧州並みに引き下げた場合、代わりに消費税を欧州並みの20%前後に引き上げたり、低所得者の所得税を引き上げたりする覚悟はあるのか、ということも問題になります。

MJブロンディの「ひとりごと」

私が気になるのは、今の状況をすべて政治家や官僚のせいにしてしまう大マスコミの風潮です。誰かのせいにしておけば、すべてを先送りできて、本当にラクなんですよ。

でも必要なのは、具体的な処方箋です。ただ「政治家が悪い」「官僚が悪い」と言っているだけでは、世の中良くならないです。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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