トヨタ 新型カローラアクシオ＆カローラフィールダー ミニ試乗レポート／渡辺陽一郎(3/3)

低価格の安全装備「トヨタセーフティセンスC」

「トヨタセーフティセンスC」と呼ばれる新たに加わった安全装備も試した。赤外線レーザーと単眼カメラが前方を監視して、衝突不可避の時は、時速10～80kmの範囲で自動的に緊急ブレーキも作動できる。相対速度差が時速30km以内であれば、衝突を回避できる場合もある。このほかカメラセンサーを利用して、車線逸脱の警報、ロー／ハイビームの自動切り替えも行う。

試したのは衝突回避の支援で、障害物に時速30km弱で接近した。この状態でブレーキペダルを踏まないと、最終的に急制動が行われ、障害物への衝突を回避できた。

トヨタでは「トヨタセーフティセンスP」として、高い速度域までカバーできるミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたタイプも開発中だ。カローラアクシオ＆フィールダーで、作動速度が時速80kmに限られるトヨタセーフティセンスCにした理由を開発者に尋ねると、「価格を安く抑えるため」との返答であった。オプション価格は5万4000円だから、確かに安い部類に入る。

ちなみにアルトのレーダーブレーキサポートは2万1600円だが、カメラは装着されず、作動速度の上限は時速30kmだ。カローラアクシオ＆フィールダーでは車線逸脱の警報、ロー／ハイビームの自動切り替え機能も備わるため、3万2400円高くてもバランスは取れる。

今や貴重な5ナンバーサイズのセダン＆ワゴン

そして今回のマイナーチェンジでは、ノーマルタイプの1.5リッターエンジンも変更を受けた。新たに2NR-FKE型を搭載し、アイドリングストップも装着することで、JC08モード燃費はカローラアクシオが23.4km/L、カローラフィールダーは23km/Lに向上した。カローラフィールダーの場合、従来型のアイドリングストップ装着車に比べて1.8km/Lの改善になる。

この1.5リッターエンジンを搭載したカローラフィールダーは、従来型よりも運転感覚が洗練された。2000～3000回転付近の実用域に余裕があり、この領域から緩く加速した時の反応は、ハイブリッドよりも滑らかに感じるほどだ。

最高出力の数値は先代型と同じ。最大トルクも13.9kg-mは変わらないが、発生回転数は4800回転から4400回転に引き下げられた。扱いやすいエンジンに仕上げている。

乗り心地も若干、ノーマルエンジンの方がハイブリッドよりもスッキリした印象だ。1.5リッターの走りのバランスはなかなか良い。

1.5リッターのノーマルエンジン仕様は価格も割安で、ハイブリッドよりも約40万円安い。となれば1年間の走行距離が1.5万km以上に達しない限り、ノーマルエンジンを選ぶのが得策だろう。

発売当初では、いろいろと疑問を感じたカローラアクシオ＆カローラフィールダーだが、数回にわたる変更を受けて洗練度を高めた。今では貴重な5ナンバーサイズのセダン＆ワゴンとあって、注目しているユーザーも多いだろう。ヴィッツ、ホンダ フィットなどのコンパクトカーと乗り比べると、セダンやワゴンの良さを実感できると思う。