40年ぶりに復活した新型アルピーヌ A110試乗! WRCで名を馳せた初代A110の再来(1/4)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:アルピーヌ・ジャポン
スポーツカーにハイパワーは無くてもいいのでは
仕事柄、500馬力だ600馬力だ700馬力だという強烈なパワーを持ったクルマ達に触れることが、少なからずある。そうしたクルマ達の途方もないチカラを解き放ち、分厚い空気の層を突き破りながらメキメキとスピードを上げていくのは、間違いなくエキサイティングだし、間違いなく快感だし、間違いなく楽しい。そのめくるめくスピードの世界を否定する気なんて全くない。
でも、パワーなんてそんなになくたっていいんじゃないか?
今、そうした想いが気持ちの中を駆け巡っている。もちろん以前から僕の意識の中にしっかと根ざしていた想いではあるのだが、どうやらそれが大きく膨れ上がっちゃってる様子なのだ。──なぜか?
真新しいアルピーヌA110を走らせてきたからだ。あれから何日かが経ったというのに、未だに興奮状態にあるからなのだ。
新生アルピーヌによる第1作目となる新型「A110」
アルピーヌA110は、そのオリジンを1963年まで遡ることのできる、フランスの歴史的な名車と呼べるスポーツカーだ。モータースポーツに傾倒していた実業家、ジャン・レデレという男によって生み出された。この初代A110は1977年に生産が終了するまで進化を続け、整理するのがちょっと大変なほどたくさんのモデル/タイプが世に送り出されたのだが、それはA110というスポーツカーが愛され続けた確かな証といえるかも知れない。
とはいえ、それらを細かく追っていくだけで絵巻物になってしまうのでそこは割愛するけれど、初代A110が総体的にどんなクルマだったかについて軽く触れておくならば、まず、とても小さなスポーツカーだった。バックボーン・フレームにFRPのボディを合わせた車体は、全長は3850mmほど、全幅は1520mmほどと、現在の日本車で言うなら軽自動車より45cmほど長く4cmほど幅広い程度に過ぎないコンパクトさを誇っていた。そして軽かった。搭載エンジンやタイプなどによって異なるが、ほとんどのモデルが700kg台、最も重いモデルでも800kg台半ばほど。その小ささと軽さ、そしてエンジンを車体の後端にマウントしたRRレイアウトのおかげで、A110は素晴らしく敏捷でトラクション性能に優れ、ワインディングロードなどを走らせたら抜群に楽しく速いスポーツカーに仕上がっていた。
だからラリーでも強かった。1960年代の半ば過ぎから猛威を振るいはじめ、1970年代の頭ぐらいの時代のヨーロッパはほとんどA110が席巻していたといえるほど。1973年からスタートした世界ラリー選手権の初代王者となったのも、このA110だった。それもシリーズ2位とは大差をつけての制圧、である。もちろんプライベーターにも愛されて、1970年代の終盤に差し掛かるまでラリーの第一線で活躍し続けた。戦うマシンとしての成り立ちに古さが感じられるような時代になっても、その抜群にコントローラブルな性格は大きな武器であり続けたのだ。
アルピーヌというコンストラクターは、創設者だったレデレがルノーのディーラーを経営していたため、作り出すクルマにはルノーのパーツを多用していたし、ルノーとの縁も深かった。そして1973年にルノーの傘下に収まった後も、A310、V6GTA、A610などのモデルを生み出してきたが、1995年にA610の生産が終わると、一時休眠のような状態に入ってしまう。以来、何度となくブランドとしての復活が噂され、2012年初夏に“アルピーヌA110-50”というコンセプトカーがお披露目され、その年の秋にはブランドの復活が正式にアナウンスされた。
あまりにも駆け足な目まぐるしい説明ではあるけれど、ともあれ新しいA110は、新たにルノー・グループの中の一社として立ち上がった新生アルピーヌによる第1作目、である。
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