日産の秘策、新ハイブリッドシステム「e-Power」を年内にも投入!リーフで培ったEV技術を活用(1/3)
- 筆者: 桃田 健史
満を持して登場する、日産エコカーの「真打ち」
2016年6月22日、日産の横浜本社で開催された定時株主総会。その壇上でカルロス・ゴーンCEOは、今期に新規導入する2つの「秘策」を紹介した。ひとつは、すでに新型セレナに搭載された自動運転レベル2の「パイロットドライブ」。そして、もうひとつがレンジエクステンダーの可能性が高い「e-Power」だ。
レンジエクステンダーとは、EV(電気自動車)を基盤として、搭載する小型エンジンを発電機としてEV用の二次電池を充電するシステムだ。量産車では、BMW「i3」がある。業界の噂では、「e-Power」はセレナを始め、SUVやコンパクトカーなど、日産ラインアップの各車に搭載されるらしい。
「e-Power」の量産について、日産側が態度を明確にしたのは、昨年の独フランクフルトモーターショー。対象となったクルマは、次世代クロスオーバーをイメージさせるコンセプトモデル「グリップス」だ。
アンベールの直後、日産の次世代商品企画を統括する、チーフ・クリエイティブシティ・オフィサーの中村史郎氏は「新しいパワートレイン技術だ」と言うに止めた。
いまになって考えると、「グリップス」は、既存の「エクストレイル」、「ジューク」そして欧州の「キャッシュカイ」の次世代デザインイメージではなく、実質的な「e-Power」量産宣言だったのかもしれない。
日産はなぜ「e-Power」に拘るのか?
日産がこのタイミングで、日系他社がまだ導入していないレンジエクステンダー導入に踏み切る理由はなにか?
それは、日系ビック3(トヨタ、日産、ホンダ)のなかで、ハイブリッドラインアップに出遅れているからだ。その現状は、ウェブサイト上で一目瞭然だ。トヨタとホンダのホームページで、カーラインアップのページにいくと「ハイブリッド」というカテゴリーがあり、コンパクトカー、セダン、SUV、ミニバンなど多彩なモデル展開が分かる。
一方で、日産のホームページのカーラインアップでは、カテゴリー欄に「ハイブリッド」はない。その代わり、エコカーという括りがあり、EVを筆頭とするなかでハイブリッドが埋め込まれているかたちだ。
つまり、日産の場合、トヨタ、ホンダと比べてホームページからの「もう1段深い階層」にハイブリッドがある。これが日産の商品ライナップの現状だ。
では、技術的に日産はどのようなシステムなのか、ここでおさらいしてみたい。
この記事にコメントする