ホンダ 新型シビック TYPE R vs スバル WRX STIどっちが買い!?|新時代の武闘派ライバル2台を徹底比較
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:茂呂 幸正・和田 清志
諸行無常!?WRX STIに“新たな”ライバルが登場
インプレッサ時代を含め、これまでスバル WRX STIのライバルは三菱 ランサーエボリューションであった。どちらもWRCのベース車両としての生い立ちを持ち、コンパクトなボディにハイパワーエンジンを搭載したスポーツAWDセダンとして登場。お互いを「よきライバル」と称し、通常の車両開発ではありえないスピードで進化が行なわれたのと同時に、ロードカーとしての魅力も引き上げていった。しかし、三菱 ランサーエボリューションは2015年に惜しくも生産終了、残念ながらこの対決は終止符が打たれた。
その後、WRX STIは独自の進化を行なっていくが、新たなライバルも出現。ガチンコで言えばVWゴルフRやアウディ TT-RSと言った欧州のAWDスポーツたちだが、実は身近な所にもライバル存在する。それは7年ぶりに国内導入が復活したホンダ シビックのスポーツモデル「タイプR」だ。
これまでならジャンルの違う両モデルだったが、最新モデルは意外と共通点は多い。「モータースポーツ直系のロードバージョン」、「ベース車両は競合モデル」、「性能と価格のバランスが近い」などがその理由だ。「FFとAWD、駆動方式が根本的に違う」と言う人もいるが、スバルのエンジニアは「スバルはAWDがデフォルトなので、FFのライバルに対して言い訳をしない開発をしている」と語っている。それはスポーツモデルも同じだ。
そんな事から、今回はWRX STIとシビックタイプRを多角度から比較をしてみたいと思う。
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シビック タイプR vs WRX STI|エクステリア比較
まずエクステリアだが、ベース車(シビックRはシビック ハッチバック、WRX STIは4代目インプレッサ)に対して機能を形にしたアイテムを数多く採用することでスポーツイメージをプラスさせているのは共通。WRX STIはビックマイナーチェンジで力強さをアップさせた一方で、大型ウイング仕様以外に小型トランクリップ仕様やWRブルー以外のボディカラーをイメージカラーにするなどロードカー寄りにシフトしているが、逆にシビックタイプRは先代モデル(FK2)よりも過激でガンダムチックなスタイルとなった。
この2台、全長や全高は大きく変わらないのだが、視覚的にシビックタイプRのほうが大きく見えるのは、全幅がWRX STIの1795mmに対して、シビックRは1875mmだからかもしれない。
シビック タイプR vs WRX STI|インテリア比較
インテリアはベース車に対して、ブラック&レッドのコーディネイトや専用のステアリング/シート/メーター/ペダルなどの採用により差別化されるのは共通。どちらも質感にも気を使っているが、個人的には400万を超えるモデルなので、オーディオなどの装備面も含めてもう少し頑張ってほしいのが本音だ。ちなみにWRX STIはスバル初のレカロ製電動シートをオプション設定、シビック タイプRは先代比25mm下げられたヒップポイントでドライビングポジションが適正化される。
居住性に関してはベース車に準じており、後席周りはロングホイールベースのシビックが有利だが、視界を遮るスポーツシートと小さなリアウィンドウによる閉塞感があるので、実際にはイーブンか!?
シビック タイプR vs WRX STI|エンジン・動力性能比較
パワートレインはどちらも2リッターターボだが、シビック タイプRは先代から採用のK20C(320ps/400Nm)、WRX STIは初代インプレッサWRXから脈々と継承されてきたEJ20ターボ(308ps/422Nm)を搭載。スペックではメルセデスAMG A45(381ps/475Nm)に負けるが、どちらも世界トップレベルのパフォーマンス。ただし、その性格は大きく異なる。
ターボ特性比較
シビック タイプRは低回転からアクセルレスポンスや滑らかなトルク特性や環境性能や燃費性能も考えた、いわゆる最新のターボユニットだが、官能性もシッカリ備わっており、回すほどに気持ち良さも感じられ、「ターボのVTEC」ではなく「VTECのターボ」だ。
それに対して、WRX STIは長年の熟成/進化で実用域トルクもシッカリ出ているが、基本的には高回転で本領発揮の古典的なターボである。ショートストロークを活かし8000rpmまで使える気持ち良さは唯一無二の存在だが、実際は7000rpmより上はちょっと苦しい。そういう意味では、CVTモデルのWRX S4に搭載されるFA20・DIT(300ps/400Nm)のほうがシビック タイプRに近い特性なのかも。
燃費性能比較
燃費性能に関しては高速道路では余裕で15km/L以上をマークするシビックタイプRに対し、WRX STIは12~13km/Lが限度。環境性能も含め、この辺りは時代を感じさせる部分だ。
トランスミッション比較
トランスミッションは共に6速MTのみの設定。ドライバーに操る楽しさを味わってほしい……と言うメーカーの良心だが、実はスバルには高トルク対応の2ペダルがないのも事実。どちらも正確なシフト操作やフィールにこだわっているが、シビック タイプRは変速時にエンジン回転を自動調整する「レブマッチシステム」を搭載するなど、ドライビングミスを最小限に留める配慮も。クラッチはどちらも最近のクルマとしてはかなり重めなので、女性はちょっと大変かもしれない。
シビック タイプR vs WRX STI|プラットフォーム・走行性能比較
プラットフォーム性能比較
シビック タイプRは新開発のグローバルプラットフォームを採用。元々シビックタイプRを想定した開発が行なわれ、ボディ補強は必要最小限で軽量化しながら剛性アップ。サスペンションはフロント・ストラット/リア・マルチリンクでアーム類は専用品、ダンパーはZFザックス製のアダプティブダンパーを採用。タイヤは245/30ZR20サイズのコンチネンタル・コンチスポーツコンタクト6、ブレーキはフロントにブレンボ製モノブロック6ポッド対向キャリパー&ドリルドローターを採用する。
一方、WRX STIは4代目インプレッサのSIシャシーをベースにWRX用に専用設計。実はSGPの考え方が先行して投入されている。最大のポイントはAWDシステムで、新たに「新電子制御マルチモードDCCD」を採用。DCCDは従来から採用されるが、シャシー性能アップに伴い、前後トルク配分制御/前後輪の差動制限を電磁式LSD&機械式LSD併用式から電磁式LSDのみのフル電子制御仕様に変更。AWDシステムに合わせサスペンションもリセッティング。タイヤは245/35R19サイズのアドバンスポーツV105(タイプS)、ブレンボ製モノブロック対向キャリパー(フロント6ポット/リア2ポット)&ドリルドローターを採用する。
スタビリティ・走行性能比較
シビック タイプRはFFとは思えない高速でのスタビリティの高さと、低・中速コーナーではアンダー知らずでグイグイと曲がる。その上、路面を問わずタイヤが路面から離れる気配は一切なく、手足のごとくしなやかに路面を捉える足の動き、ステアリングの正確性や懐の高いコントロール性の高さなどは感動レベルだ。
WRX STIは新電子制御マルチモードDCCDと前後バランスを整えたサスペンションセットにより、4つのタイヤをより効率的に使えるようになっており、ターンインではAWDを感じさせないノーズの入り方とコーナー脱出時のAWDらしいトラクションの良さを両立。コーナリング時の一連の動作がよりスムーズになっている。
どちらもドライビングが楽な上に、日常域からニュルのような過酷なステージまで安心感の高い走りを実現しており、ロードカーとしてのレベルも高いが、どちらかと言えば安定方向のシビックタイプRに対して、WRX STIは振り回す楽しさも残されている。
乗り心地・快適性比較
快適性に関してはWRX STIもかなり頑張っているが、シビック タイプRのアダプティブダンパーの効果は大きく、ドライビングモードをコンフォートにすればスポーツモデルであることを忘れるくらいの柔らかな乗り味。この辺りはエンジン制御しか変更ができないWRX STIのSIドライブはちょっと役不足で、次のステップを期待したい所だ。
安全装備比較
ただし、どちらも最新モデルでありながら安全支援装備が用意されていないのは大きなマイナスポイント。シビック タイプRは欧州仕様にはホンダセンシングの設定があるが、日本仕様にはオプション設定がない。恐らく、企画当初はここまで安全支援システムが普及すると考えていなかったのだろう。これは年次改良でもいいので早急に設定すべきだと思う。
一方、WRX STIはスバルには非常に優秀なアイサイトがあるにも関わらずMTモデルには設定すらない。スバルのエンジニアは、「技術的には可能だが、絶対的な販売台数が少ないので開発優先度が低い」との事。スバルの走りのフラッグシップに設定がないのは、逆にマイナスポイントだと思うが……。
個人的には「スポーツカーだから必要ない」はメーカーの勝手な思い過ごしで、スポーツカーだからこそ必要なアイテムだと思う。
シビック タイプR vs WRX STIどっちが買い!?
このように色々と書いてみたが、性能云々だけでなくメーカーの思想の違いもあるのでこの2台の優劣をつけるのは難しい。価格はシビックタイプRが450万360円、WRX STIは386万6400~406万800円とWRX STIのほうが若干安いが、それは全く決め手にはならない。
どちらも武闘派のスポーツモデルだが、かつてのような一つの性能に特化した尖ったモデルではなく、世界に出して恥ずかしくないマルチパフォーマンスを備えたロードカーに仕上がっている。強いて言えば全てが洗練されたシビックタイプRに対して、パワートレインに昭和の匂いが残るWRX STIと言ったイメージか!?
どちらを選んでも満足度は高いので、自分の直感を信じて選んでほしい。
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ホンダ シビック タイプR & スバル WRX STI スペック表
ホンダ シビックタイプRとスバル WRX STIの主要スペック | ||
---|---|---|
車種名 | ホンダ シビック | スバル WRX |
グレード | TYPE R | STI Type S |
駆動方式 | FF | ADW |
トランスミッション | 6MT | 6MT |
価格(税込) | 4,500,360円 | 4,060,800円 |
JC08モード燃費 | 12.8km/L | 9.4km/L |
全長 | 4,560mm | 4,595mm |
全幅(車幅) | 1,875mm | 1,795mm |
全高(車高) | 1,435mm | 1,475mm |
ホイールベース | 2,700mm | 2,650mm |
乗車定員 | 4人 | 5人 |
車両重量(車重) | 1,390kg | 1,490kg |
エンジン | 水冷直列4気筒横置 DOHC | 水平対向4気筒 DOHC デュアルAVCS ツインスクロールターボ |
排気量 | 1,995cc | 1,994cc |
エンジン最高出力 | 235kW(320PS)/6,500rpm | 227kW(308PS)/6,400rpm |
エンジン最大トルク | 400N・m(40.8kgf・m)/2,500~4,500rpm | 422N・m(43.0kgf・m)/4,,400rpm |
燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | 無鉛プレミアムガソリン |
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