コンパクト トールワゴン徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
副変速機を持つCVTを搭載
4mを大きく下回る3710mmという全長、1620mmという小さめの全幅、今回の中でももっとも高い1765mmという全高を持つボディは、軽自動車プラスアルファのサイズ感で、街中での取り回しに優れる。
全体的にスクエアな形状で、サイドウィンドウは直立しており、フロントウィンドウの傾斜角も、下の2台に比べると起き気味となっている。
プレーンでシンプルなフォルムながら、スケルトングリルやバックドアガーニッシュが与えられているのが印象的。さらに、XやSグレードを選ぶとエアロパーツが付き、スポーティな雰囲気が高まる。
スイフトにも搭載される、吸排気の両側にVVTの付く1.2リッターエンジンは、最高出力67kW[91ps]/6000rpm、最大トルク118Nm[12.0kgm]/4800rpmというスペック。これに副変速機を持つジャトコ製CVTを組み合わせる。
わずかに1トンを超える車体に対しては、やや線の細さを感じるものの、大きな不満はなく、乗りやすさと経済性の両立が上手く図られている。静粛性については、タイヤの発するノイズがやや気になるが、パワートレイン系の遮音性はそこそこ高い。
それなりに背の高いクルマながら、意外やフットワークはあまり重心の高さを感じさせない味付け。後席の乗り心地には、やや固さ感が見受けられるものの、キビキビ感のある走り味は好印象だ。
スポーティでしっかり感のある走り味
ボディサイズは3990mm×1695mm×1585mmと全高はそれなりに高い。しかし、前進感のあるサイドビューや四隅の張り出したフェンダーにより踏ん張り感が表現されているため、「トールワゴン」っぽさをあまり感じさせないスタイリングだ。
エクステリアは、スバルファミリーのアイコンであるスプレットウインググリルの採用に伴い、ラクティスに対して、ヘッドランプ、バンパー、ボンネットフード、フロントフェンダーなどが専用品とされており、リアコンビランプのデザインやガーニッシュの色も異なる。
グレード体系では足まわりは標準だが、アルミホイールやエアロパーツが付くというトレジア独自の設定がある一方で、ラクティスのような女性向けのグレードは無い。
エンジンは、1.3リッターの1NR-FE型(70kW[95ps])と、1.5リッターの1NZ-FE型(80kW[100ps])を用意。
設計の新しい前者のほうが回転感はスムーズでノイズも小さいが、後者のほうがやはりトルク特性に優れ、余力を感じさせる。
ドライブフィールはいたって素直で、しっかり感がある。電動パワステのフィーリングにも適度な重さがあり、とても自然に仕上がっている。
標準グレードでも十分に引き締まった欧州風味の乗り味のところ、今回のタイプユーロはよりスポーティな固めの乗り心地で、高速巡航時のフラット感も高い。
背の高いハンデをあまり感じさせない
ベースのフリードとは異なる雰囲気とされた、押し出し感のあるフロントマスク。リアクオーターウインドウ部にはパネルカバーが施されているが、やや後付け感が強いところは少々気になる。
全長は4210mmと今回の中でもっとも大きく、全幅は1695mm、全高は1715mmとなる。
背高フォルムながら、横風安定性がそれほど悪くないところはよいが、重心の高さをカバーするセッティングのためか、コーナリング時のロール感にはややつっぱった印象も見受けられる。
ベース車では、やや跳ねるような動きが見られたが、心なしか薄れたように感じられた。電動パワステの操舵感は軽く、転舵時の接地性はそこそこ高く保たれている。
総じて、背の高いハンデをあまり感じさせない仕上がりとなっている。
エンジンは1.5リッターのみで、最高出力87kW[118ps]/6600rpm、最大トルク144Nm[14.7kgm]/4800rpmというスペック。これにCVTが組み合わされる。
フィットでは余力を感じさせるパワートレインも、同車の約1.3トンという車両重量に対しては、ちょうど帳尻が合っているという印象だ。
デザイン・スペックの総評
3台の10・15モード燃費(2WD車)は、ソリオが21.0km/L(X、S)~22.5km/L(G)、トレジアが1.3リッター、1.5リッターとも20.0km/L、フリードスパイクが、16.4km/Lとなっている。こうして3台を同時に見比べてみると車体のフォルムがだいぶ違って、フリードスパイクの大きさと、ソリオの車高が高くガラス面積が広いところが印象的だ。フットワーク面では、いずれも背の高いハンデを上手くカバーしているという印象だが、トレジアは車高が低めであるだけでなく、全体の走りのまとまりが一段上を行っている。
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