欧州Bセグ セミAT車 徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
DSGによる途切れのないシフトアップ
5代目となるポロは、ボディサイズが3995mm×1685mm×1475mmと従来よりも少し大きくなるとともに、エクステリアデザインは6代目ゴルフに通じるものに一新された。VWの新たな共通性によるフロントマスクが印象的。これらにより従来のポロに比べてワンランク車格が上がったように目に映る。
さらに、従来と比べて5psの向上となる、最高出力63kW(85ps)/5000rpm、最大トルク132Nm(13.5kgm)/3800rpmのスペックを持つ1.4リッターの自然吸気エンジンを搭載し、このクラスで初となる7速DSGを組み合わせたのが特徴だ。
また、高いボディ剛性を確保しながらも、車体軽量化の数々の努力により、従来に比べて大幅に軽い1080kgという車重を実現したのも特筆できる。これらにより10・15モード燃費は、従来の13.2km/Lより大きくに向上した17.0km/Lを達成。エコカー減税の対象となった。
ベーシックモデルゆえ、エンジン性能にはあまり大きな期待をすべきでもないが、一般走行をこなすには必要十分。シングルクラッチ式が苦手とするシフトアップも、DSGであれば加速Gを途切れさせることなく瞬時でこなす。これこそデュアルクラッチ式の最大の強みにほかならない。
ただし、発進時は半クラッチによるクリープを得られるが、乾式単板クラッチゆえか多少ジャダー(振動)が出ることと、スロットル操作に対する反応がワンテンポ遅れ気味で、やや飛び出し感があるところなどが少々気になる。
フットワークはいたってそつなくまとめられており、乗り心地も悪くなく、高速走行時の安定性も比較的高い。コンパクトながら、VWらしい骨太感のある仕上がりである。
上級モデルよりも好印象の走り
ボディサイズは4045mm×1750mm×1480mmと、今回唯一の3ナンバー車となる。個性的なフロントマスクと、そこからルーフにかけてつながる大きく傾斜したフロントウインドウなどが外観上の特徴。
2009年秋のマイナーチェンジで、エクステリアについて、従来はスタイルと上級モデルで差別化されていたフロントグリルが統一され、308に近い形状に。さらにフォグランプがエアインテーク内側から両サイドに移設されたほか、新たにLEDを採用したリアコンビランプ、一見するとアルミホイールのように見える新デザインのホイールカバーが採用されるなどした。
1.6リッターがPSAとBMWの共同開発であるのに対し、同モデルの1.4リッターエンジンは自社設計で、スペックは最高出力65kW(88ps)/5250rpm、最大トルク133Nm(13.6kgm)/3250rpmとなる。1170kgの車重のボディを、意外なほど軽快に加速させる。
RMTは、クリープはないが、緩く踏んだときの発進はスムーズ。半クラッチの制御も滑らかで、変速ショックも比較的小さくなっている。気になったのは、上り坂で一時停止したときに、油断すると下がってしまうことだ。
パドルシフトが備わり、シフトアップのタイムラグは1秒弱と、まずまず許容できるレベル。ハーフスロットルであれば、オートモードでアクセルペダルを踏みっぱなしにしても、あまりギクシャクすることもない。ATに乗り慣れたユーザーにも、あまり違和感を与えることはないだろう。
小気味よい加速感は、走りの楽しさという意味でも1.6リッター+4速ATを上回る印象だ。足まわりはけっしてソフトではないが、207も例外ではなく、近年おしなべて固めのセッティングとなった感のあるプジョー車において、このスタイルの味付けは、往年の「猫足」のイメージに近い。
少々プアなタイヤに救われている部分もあるが、比較的よくストロークしながらも引き締まった印象もある、いわゆる「しなやか」な乗り味である。
クラスを超えたスタイリッシュさ
4050mm×1685mm×1495mmというボディサイズは、いちはやくBセグの大型化を採り入れたもの。
2ボックスのハッチバックスタイルながら、長めのオーバーハングに、丸みを帯びた豊かな面で構成されたボディパネルが表現するスタイリッシュなルックスは、もっと上級のクルマであるかのような風格も備えている。
2009年5月~の最新モデルでは、フロントのアンダーグリルがクローム仕上げとされた。
2006年の登場から、さまざまなモデルがラインアップされてきたが、2009年5月より、1.4リッターSOHCエンジンと、ATモード付5速シーケンシャルトランスミッション「デュアロジック」搭載モデルのみに絞られた。
エンジンスペックは、最高出力57kW(77ps)/6000rpm、最大トルク115Nm(11.7kgm)/3000rpmと控えめ。プラスグレードの車重は1160kgとなる。
世に出た当初のデュアロジックは、ドライバビリティに少々難があったが、グランデプントに搭載されたものは、だいぶ洗練されている。発進では半クラッチのミートポイントを探りながらつなぐ感覚で、ゆるやかに走り出す。シフトアップではどうしても加速Gが途切れるのだが、まあ許容範囲だろう。
ただし、オートモードでは高めのギアを選ぶ傾向が強いことと、再加速でもう少し素早くキックダウンして欲しい点は、日本の交通事情を考えると、やや気になるポイントではある。
乗り心地も悪くなく、基本はソフトライドながら、高い速度域でもフラット感のある乗り心地をもたらす。その感覚は、ポロや207がコンパクトカーらしいキビキビ感を身につけているのとは反対で、もっとサイズの大きなクルマに乗っているような感覚となる。
ゆったりとGT的に乗れるのがグランデプントの持ち味といえるだろう。電動パワステのアシストが増して操舵力が軽くなる「シティモード」が付いているのも特徴だ。
総評
100km/h巡航時のエンジン回転数は、ポロが2100rpm、207が3000rpm、グランデプントが3100rpm。ポロはよしとして、ラテン系の2台はやや高め。もう少し低いほうが好ましい。ゼロ発進で少し遅れて走り出すのはいずれも共通していえるが、ほかの2台はどうしてもシフトアップ時に加速Gが途切れるところ、ポロはデュアルクラッチが途切れないところが強み。ただし、乾式クラッチの弱点も見受けられなくはない。人によって見方は違うだろうが、トータルで見て、もっともエンジン~トランスミッションのフィーリングが好印象だったのはプジョー207、フットワーク面ではグランデプント、しかしながら走りの総合力ではポロといった印象。
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