BMW i3(アイ・スリー) レンジエクステンダー 試乗レポート/渡辺陽一郎(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・ビーエムダブリュー・オートックワン編集部
薄手なシートに見えて、座り心地やサポート性は良い
BMW i3の居住性にも触れておこう。フロントシートは前述のように調節機能が部分的に簡略化されたものの、座り心地は満足できる。薄手のシートに見えるが、サポート性は良い。
リアシートは、駆動用電池の搭載で床が少し高い。膝先の空間は、身長170cmの大人4名が乗車して、握りコブシ1つ分。この空間では足を前に伸ばせず、高めの床によって膝が持ち上がった姿勢になり、大腿部が座面から離れる。
なので長距離移動に適したリアシートではないが、座面に底突き感はない。観音開きのドアは、フロント側を開かないとリア側をあけられない不便さはあるが、開口部は相応に確保できる。コンパクトなEVとしては実用性を高めた。
日産リーフに比べ、小さく軽いi3
BMW i3がフルに充電された状態で走れる距離は、JC08モード走行で229kmだ。BMWジャパンでは、「お客様には実質160kmくらいが目安と案内している」と言う。エンジンを積んだクルマの燃費に相当する電力量消費率は、JC08モード走行で98Wh/km。リチウムイオン電池の総電力量は21.8kWhになる。
ちなみに電気自動車の先輩、日産 リーフの「X」グレードは、JC08モード走行による航続可能距離が228km。i3と同程度だが、電力量消費率は114Wh/kmで少し多く、リチウムイオン電池の総電力量も24kWhに達する。リーフXは車両重量が1440kgだから、i3のノーマルタイプより180kgほど重い。i3はリーフに比べると、小さく、軽く造られた。
車両価格は標準仕様のi3が499万円、レンジエクステンダーを装着すると546万円だ。EVだから経済産業省による補助金の交付を受けられるが、本稿を執筆している2014年4月下旬時点で、平成26年度の補助金額は公表されていない。
なのであくまでも参考として平成25年度の実績を挙げておくと、補助金額はi3が40万円、i3 レンジエクステンダーが75万円だ。補助金額を差し引けば、i3は459万円、i3 レンジエクステンダーは471万円になる。補助金額の違いにより、12万円を加えればレンジエクステンダーの発電機能が手に入る。そのためにBMWジャパンによれば、「大半のお客様がレンジエクステンダーを選ぶ」と言う。
日本はマンションなど、集合住宅の居住比率が高い。総世帯数の約40%、都市部に限れば60~70%が集合住宅に住む。
集合住宅では実質的に充電設備を設けられず、EVを所有しにくいが、レンジエクステンダーなら不可能ではない。燃料タンク容量が9リッターだから、長距離の移動には向かないが、日常的な買い物などには使える。ハイブリッド走行と、公共施設などでの高速充電を上手に併用すれば良いからだ。レンジエクステンダーは、BMW i3にとって付加的な機能だが、日本の住宅環境ではブレークスルーとしての大きな価値を持つ。
「BMW i3 レンジエクステンダー装備車」 主要諸元
全長x全高x全幅:4010x1775x1550mm/ホイールベース:2570mm/車両重量:1390kg/駆動方式:後輪駆動/乗車定員:4名/ドア数:5ドア/ステアリングホイール位置:右/駆動用バッテリー:リチウムイオン電池/総電力量:18.8kWh/電気モーター最高出力:170ps(125kW)/電気モーター最大トルク:25.5kg・m(250N・m)/エンジン総排気量:647cc/エンジン種類:2気筒・4バルブ/エンジン最高出力:34ps(25kW)/4300rpm/エンジン最大トルク:5.6kg・m(55N・m)/4300rpm/タイヤサイズ:(フロント)155/70R19・(リア)175/60R19/車両本体価格:546.0万円[消費税8%込み]
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