レギュラーとハイオク、分けずに同じにしてくれ~!

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レギュラーとハイオク、分けずに同じにしてくれ~!

レギュラーとハイオクの、そもそもの違いを教えてください。全部同じならコストも下がり値段も下がりそうに思うのですが。

エンジンも同じ仕上げで、輸入車も国産車も同じガソリンで走るなら不公平感もないし。全部同じにしてくれ!!(コンチキチンさん)

其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!

コンチキチンさんは、なぜガソリンが2種類もあるんだ、1種類のほうが面倒がないし、安くなるはずじゃないか!と、思ってらっしゃるんですね?

まず、レギュラーとハイオクの違いですが、それは「アンチノック性」です。「ノッキングしずらさ」とでも言いましょうか。ノッキングとは、エンジンの燃焼室内のはじっこで、自己着火してしまうこと。これが起きると、振動や「カリカリ」という音が発生するだけでなく、パワーの低下やエンジン破損につながります。

オクタン価が高いガソリンは、アンチノック性が高いので、その使用を前提にすれば、その分圧縮比を高くするなど、高性能化することもできます。日本のハイオクガソリンは、さらにエンジン内部清浄剤などが添加され、お値段がリッターあたり10円ほど高くなっていますね。

では、どうやって作るのか?まずガソリンそのものですが、これは、原油を蒸留・精製すると、重油・軽油・灯油・ナフサなどと同様、自動的にできてきます。 昔は、揮発性の高いガソリンは使い道がなく、ゴミとして捨てていた時代もありました。ガソリンは、原油を分解して生成される成分のひとつ、と言えばいいでしょう。

現在のガソリンは、昔ゴミとして捨てていた「直留ガソリン」に、さまざまな成分(分解ガソリンや脱ベンゼン改質ガソリン)を混ぜ、オクタン価を高めてあります。ちなみに直留ガソリンのオクタン価は70程度。日本のレギュラーガソリンは90くらいです。

一方ハイオクガソリンは、イソガソリンやアルキレートガソリンに、「MTBE」などの高級?な成分を加えて、オクタン価98~100に作られています。つまり、レギュラーとハイオクの違いは、ブレンドの違いのようなもので、ハイオクのコスト上昇分は、当然ハイオクの値段に転嫁されているわけです。ですから、ハイオクガソリンを廃止しても、その分レギュラーガソリンの精製コストが下がることはない、と考えていいのです。

ガソリンが2種類あることで、スタンドは2種類のガソリン貯蔵タンクが必要になるなど、流通コストの上昇要素はあります。しかしそれを今廃止しても、大きくコストが下がるというより、「宝の持ち腐れが発生する」という感じです。結局、今からハイオクを廃止しても、特にメリットはありません。

逆に、欧州車はほとんどがハイオク仕様なので、それらに乗れなくなる、というデメリットは、国際問題になるでしょう。 たとえばオクタン価95くらいに一本化するという手もありますが、そうすると今のレギュラーガソリンよりは値段が上がるので、不満が出るでしょうね。欧米では、ガソリンは3種類です。

オクタン価は、国や地域によって微妙に違いますが、91、95、98(アメリカでは計算方法が異なるので、87、89、92と表示されますが、実質的にはほぼ上記と同じ)あたりです。ただしヨーロッパでは、91(93の地域もアリ)は売られていないスタンドも多く、95が実質的なレギュラーガソリンです。

一方アメリカでは、91がレギュラー扱いで、95がハイオク。98は「準レース仕様」扱いで、あまり一般的ではありません。ガソリンのオクタン価は、各国で微妙に異なり、それに合わせてクルマも作られているので、日本だけでは決められないのです。欧米の基準からすると、日本の2種類は少ないわけですが、90と100という両極端なオクタン価なので、幅広く対応が可能、というメリットはあります。

MJブロンディの「ひとりごと」

ヨーロッパ車の多くは95オクタンを基準に作られているので、日本の100オクタンのハイオクは、欧州車にとってもオクタン価が高すぎて、ムダな面があります。なので私は、自分の欧州車には、ハイオクとレギュラーを、セルフスタンドでブレンドして給油したりします。オクタン価が95あれば十分なので、半分づつくらい入れるんです(そんなに厳密にやらなくても、2~3オクタンの低下なら大丈夫です)。

金額的にはわずかですが、節約は楽しいです(笑)。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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