自衛隊が福島第一原発で使用した放水車

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自衛隊が福島第一原発で使用した放水車

福島第一原発事故現場での決死の作業。

その勇気ある行動に、日本人のみならず、世界中から感動の声が湧きあがっています!

特に自衛隊による放水活動は、動画が配信されたことで世界が震撼。海外では隊員の命がけの奮闘ぶりが恐ろしいほど絶賛されています。

ところで、自衛隊が使用した放水車ですが、不肖MJ、10年前に取材していたので、改めて解説させていただこうと思います。

あの放水車は、「空港用化学消防車」です。

そう、本来は、空港で航空機が火災を起こした時に消火に当たる、化学消防車なのです。

もともとは、航空機の火災を消すことだけが目的で、短時間に大量の化学消火剤をまくことができるように造られています。よって自衛隊も、航空機やヘリコプターの火災消火用に保有していました。

ちなみに私が取材したのは羽田空港でした。

航空機は、多量のジェット燃料を積んでいるので、火事になったら一瞬で燃え広がってしまう可能性があり、消火栓にホースを接続している時間が惜しい。そこでこの消防車は、車体内に6100リットルの水と400リットルの消火薬液を積み、それを混ぜながら噴射する機能を備えているのです。

また、一刻も早く現場に到着できるように、580馬力のディーゼルエンジンを積み、加速力もなかなかのもの。総重量24トンにもかかわらず、最高速度115キロ、0-80キロ加速は34秒を誇ります。

サンダーバードに出てくるみたいなイカしたボディは、フェラーリ458イタリア同様の総アルミ製、お値段は約2億円と聞きました。

放水銃は運転席上と前面の2つあり、上がメインターレット、前面の小さいのは周辺の残火を消すためのものです。

原発の放水に使われたのは、もちろん天井上のメインターレットでした。

私が取材した羽田空港の化学消防車は、さらに多量の1万2000リットルの水を搭載できる最大タイプで、「放水は最大100メートル飛ばせる」とのことでした。

全力で放水すると、わずか2分で1万2000リットルすべてを使い切ってしまいます。

原発の放水現場では、航空機事故ではないので、化学消火液ではなく「水」の放水となりました。放水時間から見て、ほぼ全開に近い放水だったと思われます。

私の取材時も、撮影のために放水してくれましたが、かなり手加減しての放水でも、あたり一面は豪雨状態になるほどの威力でした。

あれが一ヶ所に注がれれば、相当な効果があるでしょう。通常の航空機火災なら、90%は1分以内に鎮火させることができるそうです。

原発の場合は、使用済み核燃料プールの容量が約1400トンと非常に大きく、6.5トンの水がすべてが命中しても0.5%にも満たないわけですが、繰り返し放水することで、なんらかの効果は確実にあったと推定されています。

その後、3号機への放水に関しては、東京消防庁のハイパーレスキュー隊に受け継がれ、屈折放水塔車とスーパーポンパーを組み合わせることで、13時間もの連続放水を行ったのはご存知の通りです。

日本を救うためにわが身を賭して活動されている自衛隊ならびに東京消防庁、原発作業員のみなさんには、心から敬礼であります!

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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