スズキMRワゴンのデザインを理解できません。
- 筆者: 清水 草一
其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!
きんちゃんさん、実を言いますと、私は、あの大巨匠・ピカソの絵の良さがほとんどわかりません。
ピカソの絵は、右脳だけで見た像と左脳だけで見た像を組み合わせているといった解説(うろ覚え)を目にしますが、やっぱりサッパリわかりません。
実は、多くの人が私と同じように感じつつ、世界的評価が高いのだからきっとすごいのだろう、と自分に言いきかせているのではないでしょうか。
クルマと絵画を一緒にするな、と思われるかもしれませんが、絵画も売買される商品。ピカソの絵の値段は上がる一方なのです。私にはとても不思議に感じます。
もっとわからないのは、ポロックの絵です。あんな、絵の具をブチまけただけのような絵に、何十億、何百億という値段が付くのですから、本当に不思議です。しかも、誰もそれを言わない!おかしなことだと思いませんか?
きんちゃんさんが、私と前澤さんのMRワゴンへの評価に対して抱いた違和感は、これとまったく同種のものだと思います。自分にはサッパリわからない。そして、誰も特に反論しない。不思議だ。そう思われたのだと思います。
私と前澤義雄さんは、ある意味、美術評論のようなものを目指して、『ベストカー』で毎号、デザイン対談をしています。クルマのデザインに関しては、すべて「好みの問題」で片付けてきたけれど、それでいいのか。もう少しプロの目の評価があってもいいんじゃないか。クルマのデザインにも、美術に対するそれのような、絶対的な評価があっていい。そういうことです。
前澤さんは自動車デザインのプロです。あの初代プリメーラや、Z32型フェアレディZのチーフデザイナーです。しかし、前澤さんのデザイン評論は、あまりにも専門的すぎて理解が難しい。そこで、シロートである私がそこに突っ込みを入れて、わかりやすく読んでもらおうとしたわけです。
ただ、連載が10年近くにおよび、私も徐々に目がプロ化して、それで「ふたりのプロ」に近い感じになり、読者が置き去りになりつつある面はあるかと思います。
しかしそれは、仕方ありません。私を含め、一般人の自動車デザインの見る目を肥えさせることが、連載の目的なのですから!
MJブロンディの「ひとりごと」
なぜ自動車評論家が、誰でもだいたい同じような評価を下すのか。それは、美術評論家が、ピカソやポロックに対して、だいたい同じ評価(大絶賛)を下しているのと同じです。数多くのクルマに乗り、目が肥えた者は、だいたい似たような傾向で、いいものはいい、悪いものは悪い、と感じるのです。
ただし、一般のみなさんが、必ずしもそう感じるとは限りません。私がピカソやポロックの絵をスバラシイと思えないのと同じです。 どうでしょう。わかっていただけましたか?
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