絶好調の最新ボルボ、実はバリュー・フォー・マネーにも優れていた ~その魅力、デザイン性や最先端の安全性能だけにあらず~(1/3)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:佐藤 正勝・島村 栄二・小林 岳夫

クルマ選びのお買い得度は様々な要素をチェックする必要がある

商品やサービスの価値は、機能などの内容と価格のバランスで決まる。クルマであれば、居住空間の快適性や荷室の使い勝手、内外装のデザインや質感、走行性能、乗り心地といった様々な要素に対し、価格がどのような設定になるかで買い得度が判断される。

そして人気カテゴリーの場合、国内外の複数メーカーから多彩なライバル車種が用意されており、クルマの価値は相対評価で決まっていく。現時点で買い得だと判断されても、翌年にライバル車が一斉に新型になって商品力を大幅に高めたら、機能に対して価格の割高なクルマになることもあり得るから、その評価も常に変化していく。装備面で言えば、緊急自動ブレーキに代表される先進安全機能が急速に進歩している点も見逃せない。

こうした相対評価のいっぽうで、内外装のデザインや質感、乗り心地は乗員の好みに影響される面も大きく、実際にクルマを見たり運転してみないと最終的な判断がしづらい。

このようにクルマのお買い得度を判断するには、車両と併せて装備内容も細かくチェックする必要がある。

ただ安全だから凄いのではない、安全を等しく全てのボルボ車に提供するから凄いのだ

中でも最近、ユーザーの関心が集まる先進安全装備や運転支援機能に注目してみよう。

「安全」といえばボルボの名は真っ先にあがるが、ここへ来てボルボでは買い得度までも強めてきたのだから凄い。安全装備ではグレード間に格差を設けず、常に最先端の安全性が得られるよう配慮している。

例えば人気コンパクトSUV「ボルボ XC40」で実例を挙げてみよう。

価格が最も安いベーシックグレード、389万円(消費税込、以下同)の「T4」にも、16種類以上の先進安全装備や運転支援機能がフルに装着される。

“City Safety”(シティセーフティ:衝突回避・軽減フルオートブレーキシステム)は、対車両だけでなく歩行者、自転車、大型の動物も検知して緊急自動ブレーキを作動させ、さらに夜間走行にも対応した。対向車線からハミ出してきた車両とのブレーキによる衝突回避を支援する対向車対応機能(2018年9月から国内導入開始の新型V60より採用された新機能で、XC40でも2019年モデルから対応してきた)、ステアリング操作まで支援して、対向車との衝突回避を助ける“オンカミング・レーン・ミティゲーション”、自車が右折しようとしている時に直進する対向車との衝突を避ける“インターセクション・サポート”など、コンパクトなXC40にも、V60など上位モデルと同等の先進安全装備を標準採用している。

運転支援の機能としては、先行車との車間距離を自動調節しながら追従走行する“全車速追従型ACC”(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、車線の中央を走れるようにパワーステアリングを制御する“パイロットアシスト”などが備わり、ドライバーの疲労を軽減する。ドライバーの運転をサポートすることで、さらに安全性も高まるというわけだ。

「City Safety」(衝突回避・軽減フルオートブレーキシステム)機能紹介【VOLVO公式動画】

ボルボ XC40おススメのグレードは!?

このように列記してきた数々の高機能がベーシックな「T4」にも標準装備される点は非常に魅力的だが、同グレードはHDDナビゲーションシステムや12セグ地デジTVなどが備わらない(9インチのタッチスクリーン式センターディスプレイやボイスコントロール、FM/AMラジオ等は備わり、Apple CarplayやAndroid Autoには対応する)。スマホの地図アプリを主に用いるのならT4もアリだが、一般的にはカーナビなどの快適装備が標準装着され、内外装のデザイン性や質感も高まるXC40 T4 モメンタム/T4 AWD モメンタムが推奨される。価格は439万円(FF)/459万円(4WD)だ。4WDは価格差を20万円と少額に抑えており、筆者はこのXC40 T4 AWD モメンタムをイチ推しとしたい。

T4に搭載されるエンジンは直列4気筒 2リッター ガソリン直噴ターボで、最高出力は190馬力(4700回転)、最大トルクは30.6kg-m(1400~4000回転)と余裕がある。モメンタムグレードは、内装の質が高いことも注目される。

ボルボ XC40とライバルのドイツ製コンパクトSUV、バリュー・フォー・マネー度を徹底比較

それならば、ボルボの買い得度をライバル車と比べたらどうなるか。新世代のボルボ車はいずれも内装の質、シートの座り心地、走行安定性、乗り心地などを大幅に向上させている。ここではドイツのプレミアムブランドを代表して、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの各コンパクトSUVと徹底比較したい。

まずはメルセデス・ベンツだが、XC40のライバル車はコンパクトSUVの「GLA」だ。

XC40のT4 AWD モメンタムに近いグレードは、直列4気筒2リッターターボを搭載する4WDグレード、GLA220 4マチックになる。価格は458万円だから、XC40 T4 AWD モメンタムとほぼ同額だが、GLA220 4マチックはブラインドスポットアシストなどをセットにしたレーダーセーフティパッケージを20万1000円のオプションにしている。

そもそもGLAには、“インターセクション・サポート”や、高度な操舵支援を行う“パイロットアシスト”などに類した、いわゆる自動運転(レベル2)に相当する先進機能は装着されないため、安全面において特にXC40との差が大きい。

このほか運転席の電動調節機能もセットオプションに含まれ、カーナビは17~20万円のディーラーオプションだ。こうなるとXC40は、非常に先進的で高機能な割に価格を随分と抑えたと判断される。

BMWでは「X1」がライバル車だ。

比較対象となるグレードは、直列4気筒2リッターターボエンジンと4WDを組み合わせるX1 xドライブ 20iスタンダードになる。価格は458万円だから、メルセデス・ベンツ GLA220 4マチックと同額だ。このカテゴリーは人気が高いためにライバル争いも激しく、買い得グレードが狭い価格帯に集中している。

X1 xドライブ 20iスタンダードの装備を見ると、車間距離を自動調節できるクルーズコントロールなどのセットオプションが15万5000円、運転席の電動機能は12万8000円のセットオプションになる。装備だけ見てもXC40 T4 AWD モメンタムは28万円ほど割安だ。

加えて、先に述べたXC40に相当する先進安全&快適装備はそもそも用意されないため、買い得度ではさらに差が開く。

アウディでは「Q3」がライバル車になる。

XC40 T4 AWD モメンタムと同様の性能を備えた4WDグレードは、直列4気筒 2リッターターボのQ3 2.0 TFSI クワトロだ。価格は469万円だから、XC40に比べて10万円高い。こちらはわずか10万円の差だが、装備面で見てみると、カーナビが24万円のオプションで、安全装備も異なる。Q3は車線逸脱を防ぐ機能を17万円のオプションとして用意したが、それ以上の装備はない。こうして比較してみると、XC40は少なくとも50万円以上は割安だし、それ以上に圧倒的な先進性も備える。

以上のようにボルボ XC40 T4 AWD モメンタムは、一見すると価格こそメルセデス・ベンツ GLA220 4マチック、BMW X1 xドライブ 20iスタンダード、アウディ Q3 2.0 TFSI クワトロとほぼ同程度だが、まず快適装備の水準が大幅に上回る。そのうえでXC40は、XC60などの上級車種と同等の先進安全装備を標準採用しており、GLAやX1では得られない機能も多く含まれるから、ますます買い得度が強まるわけだ。

加えて内外装の質、少し機敏に反応するスポーティな運転感覚なども魅力だから、XC40の買い得度はドイツのプレミアムブランドよりも強いと言って良いだろう。

>>ボルボ 新型V60とライバルのドイツ製ステーションワゴン、バリュー・フォー・マネー度を徹底比較[次ページ]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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