ボルボがもっとプレミアムな存在となるために[第3回「CS-VESC」観戦レポート](1/2)

  • 筆者: 伊藤 梓
  • カメラマン:MOTA編集部/ボルボ・カー・ジャパン

全国規模で行われるボルボディーラーのセールス・ロールプレイコンテスト決勝

クルマを販売するディーラーによって「対応が違うなぁ」と感じたことはないだろうか。メーカーの理念や基本的な業務は同じなはずなのに、それぞれの店舗によって社員を教育する人も違えば、それこそ来店するお客も違う。そうなると、すべての店舗でクオリティの高い接客をするというのは簡単ではないことが分かるだろう。

そこで、ボルボ・カー・ジャパンでは、接客をより良いものにして顧客満足度を向上させるために、全国規模でディーラーのセールス・ロールプレイコンテスト「CS-VESC(Customer Satisfaction-Volvo Excellent Salespersons Contest)」を行っている。

まずはそれぞれの拠点で勉強会や選考会を行い、地区大会予選では実際の接客を模したロールプレイをして、最終的に全国大会へ進むチームが決定する。2019年7月24日、全国から勝ち抜いてきたファイナリストが集まり、千葉県浦安市のヒルトン東京ベイで「CS-VESC」ファイナル(全国決勝大会)が開催された。あらかじめ「ボルボのコンテストはレベルが高い」と聞いていたのだが、実際に取材をしてみると本当にそのことを実感した。

>>お客さま役の役者さんがリアル過ぎる! コンテストの模様を画像で見る[フォトギャラリー]

ホテルの大きな宴会場がコンテスト会場になっているのだが、実際にロールプレイをする場所はディーラーそのもの。展示車は、ボルボの最新モデル、「V60」と「V60クロスカントリー」の2台が、パーテーションを挟んだ外側には試乗車用として「V90」が置いてある。さらには接客のための椅子やテーブル、受付の台もあり、そこには電話やカタログなどもきちんと揃っている。まさにディーラーのショールームのような造りになっているのだが、いつもと違うのは、目の前に観客席がずらりと並べられていて、その脇では審査員に一挙手一投足を観察されているということ。観客席から見ているだけでも、ピリピリとした緊張感が伝わってくる。

CS-VESCでは個人戦とチーム戦があり、ファイナルコンテストでは個人6名と7チームが参加。元々約720名という中から、ファイナルで入賞できるのは、たった3チームと個人3名だ。

より難易度を高く、実際の接客シーンへ近づける理由

ボルボのコンテストの特徴は、あらかじめ台本が用意されているわけではなく、コンテスト前夜にお客さま役の簡単な設定だけを渡されて、当日は次々にやってくる予期せぬ事態にその場その場で対処しなければいけないというところだ。前回(2017年)までは、お客のニーズや情報がもう少し渡されていたそうだが、今回からはボルボ・カー・ジャパンの木村 隆之 代表取締役社長の意向もあり、より難易度が高く、実際の接客に近づけた形でのコンテストにしたという。

もともとボルボでは、セールス向けコンテスト「VESC」(Volvo Excellent Salespersons Contest)の開催が過去10回行われたが、その後中断していた期間があり、CS-VESCとして新たなスタートをしてからは今回で3回目のコンテストとなる。

CS-VESCとして復活したのは、木村社長の強い希望によるものだ。木村社長は「ボルボは日本でもっとプレミアムの地位を築かなければいけません。そして、プレミアムカーとして認識されれば、クルマや接客に対して自然とお客さまの期待値も上がって来る。そこで、輸入車のプレミアムカーの中で顧客満足度(CS)ナンバーワンを目指すために、CS-VESCとして新たに復活させることにしました」と語ってくれた。

顧客の声に耳を傾けながら、さりげなくボルボの技術や魅力をアピールする「個人戦」

CS-VESCのファイナルコンテストはまず個人の部から始まった。会場が緊張に包まれるなか、ファイナリストが会場に入ってくると、ディーラーから駆け付けた応援者たちから割れんばかりの拍手が沸き起こる。司会の「準備はよろしいですか?」という問いに、「はい」と答えると、ロールプレイがスタート。最初に「ゴオォー……バタン」という顧客のクルマが入ってくる音声が流れるなど、演出の細かいこと。その音を聞いて、サッと入口まで迎えに行く。驚いたのは、お客さま役の役者さんがとてもリアルな演技をするところ。「あのー、ホームページでボルボのクルマ見て、デザインがかっこいいなーと思って、ちょっと見てみたいなと思って来たんですけど」という、本当にディーラーでありそうなシチュエーションで進行していく。

難しいのは、明確なニーズを持っていないお客さまに対して、丁寧に要望を聞いてボルボの技術や魅力をうまく伝えていくところだ。「デザインが気になって」という点について、参加者それぞれのアプローチが違っていて面白かった。外から見てエクステリアの特徴を細かく話す人もいれば、室内で使われているボルボらしいお洒落なウッドパネルの素材「ドリフトウッド」の説明をしたり、そもそもスカンジナビアデザインとは何かを話す人もいる。しかし、どんな内容でもやはりファイナリストの皆さんはお客さまとの会話がとても上手い。

他にもボルボについて気になっている点を引き出して、「なんか安全技術もすごいんですよね?」という質問から、3点式シートベルトはボルボから始まったことや、最新の衝突安全の技術まで丁寧に説明していく。参加者の中には、家族の話をさりげなく聞いて、娘さんがいてさらに免許を取りたてであるところまで分かると、レッドキーの機能を紹介する人もいた。

レッドキーとは、その鍵自体に速度制限をかけたり、運転サポート支援システムを常にオンにすることができるボルボの新しい取り組みだ。たとえば誰かにクルマを貸すときに、レッドキーを渡せば、より安全にクルマに乗ってもらえるというわけだ。お客さまの情報を引き出しながら、それにあわせたボルボの最新技術をさりげなく紹介するところは素晴らしいと思った。

>>1チーム3人でショールームの接客を実演し競い合う「チーム戦」[次ページへ続く]

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伊藤 梓
筆者伊藤 梓

グラフィックデザイナー時代にミニカーの商品を担当するようになってから、どっぷりと車に魅了されるように。「こんなに人を惹きつける車というものをもっとたくさんの方に知ってほしい」と、2014年に自動車雑誌の編集者へと転身。2018年に、活動の幅を広げるために独立した。これまでの経験を活かし、自動車関係のライターのほか、イラストレーターとしても活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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