ボルボ S60 試乗レポート/岡本幸一郎(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
ボトムグレードでも一体感のある気持ちの良い走りが楽しめる
3種類のあるサスペンションについて、DRIVeでは「コンフォート」、T6 AWD SEでは「ダイナミック」と呼ぶセッティングとなり、R-DESIGNでは専用スポーツサスペンションが与えられるのだが、まず前提としてシャシーの基本素性が初代S60よりもだいぶ変わっていることをお伝えしたい。
具体的に挙げると、ステアリングでは、ギアレシオを10%クイックにし、コラムのねじれ剛性を2倍としている。
サスペンションについては、フロントスプリングストラットに強化ピストンロッド(S80比47%増)を採用したほか、強化スプリング、強化フロントアッパーマウント(先代S60比50%増)、ポリウレタン製リアアッパーマウント、フロント&リアサブフレーム強化ブッシュ(先代S60比100%増)を採用するなどした。
ようするに、運動性能重視のチューニングが施されたわけで、その成果はボトムグレードであるDRIVeに乗っても明らか。
とても一体感のある、気持ちの良い走りを手に入れていた。
反面、乗り心地については、路面からの入力がキャビンに伝わりやすくなったように感じられなくもなかったのだが、得たもののほうがはるかに大きいことには違いない。
また、筆者の印象としては、かつてボルボで「R」の付くクルマというと「やりすぎ」だと感じさせるものが少なくなかったのだが、今度のS60のR-DESIGNはそんなことはない。
明快なスポーティテイストを心地よく楽しめるクルマに仕上がっている。
その他、「アドバンス・スタビリティ・コントロール」にはジャイロセンサーが付き、より早く横滑りを検知できるようになったほか、ステアリング操作だけでは足りない場合、内輪にブレーキをかけて、トルク差で強制的に内側にクルマを向ける「コーナートラクション・コントロール」も備わった。
また、スポーツモードの付いた「DSTC(ダイナミック・スタビリティ&トラクション・コントロール)」により、任意に解除してドリフト走行を楽しむこともできる。
このように、2代目のS60が高いバリュー・フォー・マネーを持つことは明らか。内容的には申し分なく、とくにボトムで400万円を大きく下回る価格は大いに魅力的。
さらには、特徴的なデザイン、充実した安全装備や快適装備、優れた走行性能や燃費性能など、なかなか見所も多く、仮想敵であるCクラスや3シリーズ、A4などのライバルに対しても、積極的にこちらを選ぶに足る「理由」をいくつも身に着けているのではないかと思う。
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