フォルクスワーゲン up!(アップ!) 新型車解説(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
フォルクスワーゲン up!は「輸入品」と「国産品」の垣根を乗り越えた!
クルマほど「輸入品」と「国産品」を区別して考える商品はない。ファッションから食品まで、さまざまな分野に輸入品は存在するが、大半はブランド名で呼ばれる。「輸入品」というジャンル分けは今ではあまり聞かないが、クルマには「輸入車」が浸透している。背景にあるのは国産車との違いだ。商品の特徴、価格、売り方まで、さまざまな点が国産車とは異なり、「輸入車」の区分が生まれた。
しかし近年では、「輸入車」と「国産車」の垣根がかなり低くなっている。30年くらい前までは、走行性能から価格まで明確な開きがあったが、今は肩を並べることも多いからだ。「輸入車」という言葉は今でも引きずるが、実態は曖昧になりつつある。
この「輸入車」と「国産車」の垣根を完全に取り去ったのが、先ごろ登場したフォルクスワーゲンのup!(アップ)だろう。価格が最も安い2ドア(3ドアハッチバック)の「move up!(ムーブ・アップ)」は149万円[価格は消費税込み、以下同]。軽自動車の「ダイハツ ムーヴ カスタム RS」と同額で、日産のコンパクトカー「ノート X・DIG-S」と比べても1万円も違わない。
ライバルは国産コンパクトカー!
4ドア(5ドアハッチバック)の「move up!(ムーブ・アップ)」は168万円。日産 ノートの最上級グレード「ノート メダリスト」や、「ホンダ フィット ハイブリッド スマートセレクション」などとほぼ同額だ。
最上級の「high up!(ハイ・アップ)」は183万円で、「トヨタ ラクティス 1.5S」、「日産 ジューク 15RXタイプV」などと同じ価格帯に入る。いずれの場合も国産コンパクトカーが競争相手になる。
一方、従来から売られているフォルクスワーゲンの低価格車といえば「ポロ」。最廉価の「ポロ TSI コンフォートライン・ブルーモーション」は218万円で、up!とは35~69万円もの開きがある。
安いと言うけれど・・・ではフォルクスワーゲン up!は、国産車に比べどの点が「買い得」なのか
このように、低価格で話題を呼ぶフォルクスワーゲン up!だが、クルマは安ければ良いという商品ではない。「機能や装備と価格のバランス」に基づく買い得感で判断すべきだ。この点を探ってみたい。
まずはボディサイズだが、up!はかなり小さい。全長は3545mm、全幅は1650mmだから、トヨタのコンパクトカー「パッソ」と比較しても約100mm短く15mmほど狭い。ホイールベースも2420mmだから、パッソや軽自動車の「スズキ ワゴンR」などと同程度だ。全高は1495mmだから「トヨタ ヴィッツ」と同等だが、ボディがコンパクトでホイールベースも短いため、リアシートはやや窮屈。
エンジンは直列3気筒の1リッターを搭載。最高出力は75馬力(6200回転)、最大トルクは9.7kg-m(3000~4300回転)だから、「三菱 ミラージュ」の1リッターエンジンを少し上まわる。
組み合わせられるATは、ポロなどの7速DSGではなく、5速ASGと呼ばれるタイプ。DSGが2組のクラッチを使うのに対し、ASGは1組になり、加速の滑らかさなどで差が生じる。
車両重量は900kgだからパッソと同等。JC08モード燃費はアイドリングストップを使わずに23.1km/Lだ。この数値はミラージュのアイドリングストップを用いない最廉価グレードとほぼ同じになる。
以上のように、フォルクスワーゲン up!はコンパクトカーといっても、フィットやヴィッツよりもボディサイズ、居住空間の広さ、動力性能などが下まわる。110~120万円を売れ筋にするミラージュ、マーチ、パッソなどのライバル車だ。
もしかすると、買い得なクルマとはいえないのか?(次ページへ続く)
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