フォルクスワーゲン パサート オールトラック 海外試乗レポート/桂伸一(2/2)

  • 筆者: 桂 伸一
  • カメラマン:オートックワン編集部
フォルクスワーゲン パサート オールトラック 海外試乗レポート/桂伸一
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200km/hまで加速しても高速直進性と安定性はお見事

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雪を求めて向かった先は、オーストリアのスノーリゾート“エルマウ”。ミュンヘン空港でオールトラックを受け取り、まずはアウトバーンでドライの高速性能を確認する。

装着タイヤが標準のスポーツタイヤ(コンチネンタル・スポーツコンタクト3)からM+S(ピレリ・ソットゼロ)のオールシーズンに交換されたことで、乗り味に滑らかさがプラスされた分、ハンドリングから剛性感とシャープな特性は削られた。とはいえ、200km/hまで加速しても高速直進性と安定性に、タイヤによる腰砕け等のマイナス要因はない。

雪を求めてたが、行けども行けども雪はなく、強い直射日光に肌が焼かれる。

4WDシステムの4モーションは通常前輪駆動でスタートし、高速であれば10%程の駆動力が後輪に配分される。駆動輪のスリップ率を感知して瞬時に前後の駆動配分を可変させるのが4モーションを司る「ハルデックスカップリング」の特性だが、いまやフルタイム4WDと遜色がない制御の速さに驚いた。

日本へは今夏上陸予定。来期の冬が待ち遠しい!

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エルマウに到着すると路面は雪も氷も解けてザクザクのシャーベット状、あるいは水分をたっぷり含んだ土が泥粘地になった不安定な路面状況。だからこそ4モーションの威力が確認しやすいという幸運。

走行中に1輪が深い轍に落ち瞬間に駆動力を失い、そこで4WDになるタイミングが一瞬遅れて制御されるのが「従来の特性」。ところが、車輪のどこかがグリップを失うと、瞬間に空転を感じた直後、即座に駆動力が伝わり空転も同時に収まり難し状況に陥らない。

そんな路面状況とタイヤの変化を0対100~100対0とバリアブルに前後駆動配分を可変しながらグイグイ強引に進む頼もしさ。ティグアンやトゥアレグに採用されるオフロード用ESPの制御が左右輪のブレーキ制御などを加えて空転を抑え、ハラハラもドキドキもさせられることなく悪路を走破して行く。こういう場面に遭遇するユーザーには本当に頼れる1台といえるだろう。

乗り味に優れているのは、オールシーズンタイヤの効果が大きいのだが、それ以外でも「ノーマル」「スポーツ」「コンフォート」と3段階に可変するダンパーの減衰力が明確にハンドリングと乗り味に個性を提供する。標準装着のスポーツタイヤであれば、峠や高速でより高いコーナリング速度を可能にして走行シーンを楽しくするに違いない。

0-100km/h加速は7.8秒。最高速度は212km/hに呆気なく到達する。燃費は8.5L/100km、つまりリッター約12kmほどだが、移動する速度や峠でアクセルを頻繁に床まで踏み込んだことを考えると納得の数値である。

日本へは夏頃に上陸予定。最上級のパサートは道を選ばないオールランダーということだった。来期の冬には日本でもその潜在能力を見せつけてくれるだろう。

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桂 伸一
筆者桂 伸一

1982年より雑誌「OPTION」誌編集部員からレーシングドライバーに転身!!92~93年はR32 GT-RでN1(現スーパー)耐久シリーズチャンピオン。近年はドイツ・ニュルブルクリンクで開催される24時間レースに、アストンマーティン・ワークスカーのドライバーとして参戦。2度の優勝を飾る。日本ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本カーオブザイヤー(COTY)選考委員、ワールドカーアワード(W-COTY)選考委員。記事一覧を見る

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