大人気ロッキー&ライズにも追加されたハイブリッド! 人気のコンパクトSUVに搭載されるハイブリッドシステム4種の中身を解説

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:茂呂幸正/土屋勇人
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登場から2年が経っても人気が衰えないコンパクトSUVのトヨタ ライズとダイハツ ロッキーに最近加わったハイブリッドは、ガソリン車のライズ&ロッキー同様のコストパフォーマンスの高さもあり、ライズ&ロッキーの大きな柱となりそうな存在だ。

しかし、最近はハイブリッドカーの普及により詳細を気にする人も少なくなっていることだろう。今回はライズ&ロッキーの登場を期に、ハイブリッドシステムのタイプ別にコンパクトSUVを紹介していく。

目次[開く][閉じる]
  1. 1) 低コストで省スペース! コンパクトモデルにピッタリの2モーターシリーズハイブリッド
  2. 2)高速域での燃費性能も高い! エンジン直結モード付2モーター“シリーズハイブリッド”
  3. 3)初代プリウスから基本構造は同じ! トヨタ式2モーターハイブリッド
  4. 4)超低コストだが効果も相応 マイルドハイブリッド

1) 低コストで省スペース! コンパクトモデルにピッタリの2モーターシリーズハイブリッド

コンパクトSUVではライズ&ロッキー、e-POWERのみとなる日産 キックスが該当する2モーター“シリーズハイブリッド”は、エンジンは発電機による発電専用に使い、発電機が作った電気で駆動用モーターを動かしタイヤを駆動するというシステムで、元々は鉄道や船舶で使われていたものである。

メリットとしてはシンプルな構造のため、量産されればトヨタとの協力もあるライズ&ロッキーにように低コストかつ省スペースで済む、エンジンの性能などによっては電気自動車に近い静粛性の高さ、バッテリーを含むモーターの使い方次第では電気自動車のようなスムースかつパワフルな走りを楽しめるといったことが挙げられる。

デメリットは日産で初のe-POWER搭載車となった先代ノートe-POWERの宣伝が「電気自動車の新しい形」というものだったように、2モーター“シリーズハイブリッド”はデメリットもトランスミッションがないこともあり最高速が伸びない、おおよそ100km/h以上のスピード域での燃費の低下が目に付くと、電気自動車に似た弱点を持つ。

といった点を総合すると渋滞が多い、平均スピードが遅い日本には向いたハイブリッドシステムとも言える。

2)高速域での燃費性能も高い! エンジン直結モード付2モーター“シリーズハイブリッド”

これは2モーター“シリーズハイブリッド”の弱点克服のため、2モーター“シリーズハイブリッド”にエンジンで直接タイヤを駆動するためのクラッチ(おおよそ70km/h以上の速度域で使う)を加えたものだ。コンパクトSUVではホンダ 現行ヴェゼル、それ以外の日本車ではホンダのe:HEVや三菱 アウトランダーが採用している。

メリットは1)の2モーター“シリーズハイブリッド”の美点に加え、高速域での燃費低下が少ない点、デメリットはクラッチが付く分、1)の2モーター“シリーズハイブリッド”に対しコストは高く、スペースも必要になることだ。

なお、先代ヴェゼルのハイブリッドシステムはDCTというトランスミッション+1モーターだった。しかし、このシステムは年々改良されたものの、EV走行から加速する際のレスポンスの悪さなど悪い意味でのクセが克服できなかった点や、初期にリコールが相次いだことも一例となる信頼性の確保の問題などによりホンダも懲りてしまったようだ。

そのため、現在ではコンパクトクラスのヴェゼルやホンダ フィットもエンジン直結モード付2モーター“シリーズハイブリッド”となり、コンパクトステーションワゴンのホンダ シャトルとコンパクトミニバンのホンダ フリードはDCT+1モータータイプを使っているが、いずれはエンジン直結モード付2モーター“シリーズハイブリッド”となるだろう。

3)初代プリウスから基本構造は同じ! トヨタ式2モーターハイブリッド

コンパクトSUVではトヨタ ヤリスクロスに付くこのシステムは、簡単に言うとエンジンの出力を発電機とタイヤによる駆動分に振り分け、タイヤは駆動用モーターとエンジンそれぞれで駆動される多々こともあるというもので、基本構造は世界初の量産ハイブリッドカーとなった1997年登場の初代プリウスから変わっていない。

メリットはエンジンやバッテリーなどの進歩もあり、燃費と動力性能が高次元でバランスされていることで、デメリットは長年生産されていることもありコストダウンも進んでいるため特になく、現時点ではもっとも完成されたハイブリッドシステムといえる。

4)超低コストだが効果も相応 マイルドハイブリッド

コンパクトSUV市場ではライズ&ロッキーの登場前から今一つ目立たなかったスズキ クロスビーは通常のエンジンに付くオルタネーター(発電機)を発展させ、加速の際の若干のアシストと減速エネルギーを助手席下にあるリチウムイオンバッテリーに貯める、スズキがいうマイルドハイブリッドとなっている。

このシステムは「超低コストな分、得るものも相応」というのが特徴だ。ここ数年はマイルドハイブリッドといっても、特に輸入車のものはモーターのパワーが20馬力程度あり、目に見える効果があるだけに、スズキのマイルドハイブリッドはマイクロハイブリッドくらいのイメージである。そのため、今後は軽自動車はともかく、登録車にはいろいろな意味で最低でも輸入車のマイルドハイブリッドくらいのものが必要となりそうなだけに、登録車から姿を消しそうだ。

クルマの使い方によって選ぶべきハイブリッドシステムも異なる

コンパクトSUVだけでなくクルマ選びは総合的なものだけに、ハイブリッドのシステムだけで選ぶということは少ないと思う。ただ、ここで挙げたメリットとデメリットくらいは知っておくと、自分の使い方により合ったものを選べると思うので、参考にしてほしい。

【筆者:永田 恵一】

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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