ガチのライバル不在! トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーが開拓したのは他社が挑まないSUV未開の地だった【ライズが売れる理由】

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トヨタ最小のコンパクトSUV「ライズ」と、兄弟車「ダイハツ ロッキー」が売れている。2020年1月から12月の販売は、2台を合算すれば実質1位の実力だ。そんな人気の2台が売れ続ける理由は、他社にない隙間を狙う商品企画の勝利にあった。モータージャーナリストの鈴木 ケンイチ氏がレポートする。

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  1. 2020年、もしライズとロッキーを合算していれば「ヤリス」を上回るNo.1の売れ行きだった!
  2. 他社が挑まなかったAセグメント市場に切り込んだトヨタ・ダイハツの見事な商品企画
  3. いまだガチのライバルも不在! 他社が続々とSUVを投入する前に発売出来たタイミングも後押し

2020年、もしライズとロッキーを合算していれば「ヤリス」を上回るNo.1の売れ行きだった!

トヨタの「ライズ」とダイハツの「ロッキー」は、どちらもダイハツが開発・生産する、コンパクトSUVだ。ダイハツの工場で作られ、トヨタがOEM製品として「ライズ」の名称で販売する。ダイハツでの製品名は「ロッキー」となる。この2台は、2019年11月に発売となった。

その「ライズ」と「ロッキー」が売れている。いや、大ヒットした。2019年11月のデビュー直後となる、翌12月は登録車の新車販売ランキング(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)で、「ライズ」が2位に飛び出た。年が変わって、2020年1月と2月は1位を獲得。トヨタ名義とはなるのもの、ダイハツの生産する登録車が販売ナンバー1になるのは、これが初めての快挙だ。ただし、2020年2月にはトヨタ「ヤリス」が発売され、春以降の月間ランキング1位を「ライズ」から奪ってゆくことになる。

製造を担当するダイハツでも過去最高の生産台数を記録

しかし、それでも1~6月の販売では「ライズ」が1位を獲得。発売開始が「ヤリス」よりも、3か月ほど早かったのが効いた格好だ。そして、2020年1~12月の販売ランキングでは、1位が「ヤリス」、2位が「ライズ」に。トップの「ヤリス」と2位「ライズ」の差は、わずか2万5000台ほど。兄弟車である「ロッキー」が24位で3万1153台だったことを考えれば、「ライズ」+「ロッキー」と計算すれば、登録車ナンバー1は「ライズ」&「ロッキー」のものであったのだ。これほどの好成績は、ダイハツの登録車としては、過去最高となる。

そして、ダイハツの2020年1~12月の登録車の累計生産台数は33万3868台となり、過去最高を記録している。

他社が挑まなかったAセグメント市場に切り込んだトヨタ・ダイハツの見事な商品企画

そんな「ライズ」と「ロッキー」は、なぜそれほどのヒットになったのだろうか。いろいろな理由がからみあうだろうが、基本的に「商品の良さ」がベースにあると言っていいだろう。

その「商品の良さ」にも、いろいろなポイントがある。まず、挙げたいのが「商品企画の良さ」だ。「ライズ」「ロッキー」は、どんなクルマかといえば「AセグメントのコンパクトSUV」だ。Aセグメントというのは、登録車として最も小さなクラス。ここにSUVを投入しようと考えた、商品企画が素晴らしい。

近年の自動車業界で流行っている車形はSUVだ。そのため、各メーカーから、さまざまなSUVが投入されている。ところが、Aセグメントにはクロスオーバーばかりで、SUVと呼べるのは「ジムニーシエラ」しかなかった。そして、「ジムニーシエラ」は、軽自動車派生で、しかも3ドアの本格派クロスカントリー車。玄人向けの実用モデルという色合いが濃い。つまり、今、流行りの乗用SUVではない。そこに乗用SUVである「ライズ」「ロッキー」を投入。SUVブームだというのに、ライバル不在なのだから、それは売れるだろう。

実サイズ以上に大きく立派に見えるデザインも功を奏した

さらに、「ライズ」「ロッキー」は、実際に見ると、意外と大きく感じる。デザインもいかにもSUV風だ。そして。内装の質感も悪くない。見栄えもいいのに、実はお買い得。端的に言えばコスパが良い。ダイハツ得意の「良品廉価」を地で行く製品であったのだ。

世のSUVブームという追い風をAセグメントというライバル不在の地で、見事にキャッチしたのが「ライズ」と「ロッキー」だったのだ。

いまだガチのライバルも不在! 他社が続々とSUVを投入する前に発売出来たタイミングも後押し

また、2019年11月という「ライズ」「ロッキー」の発売のタイミングも良かった。

冷静になって見渡せば、AセグメントこそSUVはいないが、その上のBセグメントにはトヨタの「ヤリスクロス」、ホンダ「ヴェゼル」、日産「キックス」、マツダ「CX-3」という人気モデルがうじゃうじゃといる。しかし、「キックス」は2020年6月、「ヤリスクロス」は2020年8月、「ヴェゼル」は2021年4月にデビュー&フルモデルチェンジしている。残る「CX-3」は、2015年のデビューから5年目という古いモデルとなる。

つまり、「ライズ」「ロッキー」が売れまくった2020年前半、コンパクトSUV市場は旧型ばかり。まさにライバル不在に「ライズ」「ロッキー」は売り抜いたのだ。

逆に言えば、2020年後半から2021年にかけて、ライバルが続々と登場したことになる。そのためか2021年1~6月の販売ランキングでは、「ライズ」が6位、「ロッキー」が31位。明らかに前年と比べると旗色が悪くなっている。それだけ2020年前半は、「ライズ」「ロッキー」にとって良い時期だったのだろう。

デビューから2年が過ぎようとするが真のライバル車は現れず

とはいえ、AセグメントSUVで「ライズ」「ロッキー」は、いまだライバル不在。まだまだ、この2モデルの販売は、堅調に続くことだろう。

ちなみにダイハツは、2021年3月にマレーシアで「Ativa」、4月にインドネシアで「Rocky」という、「ライズ」「ロッキー」をベースとしたコンパクトSUVを発売している。このコンパクトSUVがダイハツに果たす貢献度は、まだまだ大きくなる予定だ。

[筆者:鈴木 ケンイチ/撮影:土屋 勇人・TOYOTA]

トヨタ/ライズ
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新車価格:
170.7万円232.8万円
中古価格:
140.4万円302.3万円

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鈴木 ケンイチ
筆者鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。最近は新技術や環境関係に注目。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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