新型プリウスPHV発売!326~422万円という“高めの値段”をプリウスとの価格差から考える(2/2)

新型プリウスPHV発売!326~422万円という“高めの値段”をプリウスとの価格差から考える
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新型プリウスPHVのEV航続距離は先代の“2.5倍”に!

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エンジンはプリウスと同じ直列4気筒の1.8リッターを搭載して、駆動用と発電用のモーターが備わる。このメカニズムの基本構成はプリウスと同じだが、プリウスPHVでは、必要に応じて発電用モーターも駆動を担当できるようにした。2つのモーターで駆動するため、加速性能が向上する。

駆動用リチウムイオン電池の総電力量は8.8kWhで、先代プリウスPHVの2倍だ。アウトランダーPHVの12kWhには達しないが、BMW 3シリーズの330e、アウディA3スポーツバックe-tronなどと同等の容量になる。

充電は100Vと200Vの普通充電に加えて、新型プリウスPHVは急速充電にも対応した。急速充電の場合、満充電の80%程度しか充電できないが、所要時間は約20分になる。200Vでは満充電まで2時間20分、100Vでは14時間としている。

また、1回の充電で走れる距離は駆動用電池が満充電になっていれば最大で68.2kmだ。先代型は26.4kmだったので、航続可能距離の数値は41.8kmプラスされ、2.5倍に増えた。さらに充電された電気を使わず、ガソリンを燃焼させてハイブリッド車として走る時のJC08モード燃費は37.2km/L。この数値はプリウスと同じだ。

プリウスPHVは充電機能を加えてボディ形状も変更したから、車両重量が170kgほど増えたが、ハイブリッド走行時の燃費数値は悪化させていない。

PHVならではの機能としては、家屋などの外部に電力を供給する「EV給電モード」を設けた。

“世界初”ソーラー充電システムも装備

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また大量生産される車両では世界初の「ソーラー充電システム」もオプション設定した。

ルーフ上に太陽光発電が行えるソーラーパネルを設置して、走行中は駆動用電池の消費を抑え、停車中は駆動用電池に充電を行う。丸1日ソーラー充電を行って走れる距離は、JC08モード走行で最大6.1km、平均2.9kmだという。

ソーラー充電システムのオプション価格は28万800円。凝った装備で生産規模も小さいから高価格だ。仮にプリウスPHVが充電を行わずガソリンだけを使って走っても、レギュラーガソリン価格が1L当たり130円、実用燃費がJC08モードの85%として、1km当たりの走行コストは4.1円だ。28万円をガソリン代に費やせば6万8000kmくらい走れるから、装着してトクをする装備ではない。しかし自車に発電機能を備えて走れることは、いわば自給自足だからエコカーとしては魅力的だろう。環境性能に関心が高く、予算に余裕のあるユーザーは、装着したいと考えるのではないか。

それなのにソーラー充電システムをオプション装着できるグレードは、低価格のSとSナビパッケージに限られてしまう。上級のAグレードにも設定すべきだ。

安全装備は前述のようにToyota SafetySense Pを全車に標準装着した。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用するので、歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動できる。車間距離を自動制御するクルーズコントロールも備わる。

プリウスPHVのお勧めグレードは!?

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グレード構成は価格が最も安いS(326万1,600円)、Sにカーナビや急速充電機能を加えたSナビパッケージ(366万6,600円)、ドライバーの死角に入る後方の並走車両などを知らせるブラインドスポットモニターなどを備えた上級のA(380万7,000円)、本革シートや運転席の電動調節機能を備えたAレザーパッケージ(406万6,200円)、カラーヘッドアップディスプレイなどを備えたAプレミアム(422万2,800円)の合計5種類を用意する。

カーナビは装備の違いを補正すると、31万円くらいで装着される。価格を安く抑えたいならSを選んでディーラーオプションのナビを付ける方法もあるが、プリウスPHVの特徴は、縦長に配置されたナビ画面やTコネクトにもある。可能であれば標準装着を選びたい。

そうなるとSナビパッケージが候補に挙がるが、推奨グレードはAになる。14万400円を加えると、前述のブラインドスポットモニター、駐車時の接触事故などを防ぐインテリジェントクリアランスソナー、シンプルインテリジェントパーキングアシストなどが加わって安心感を高めるからだ。

Aを選び、必要に応じてJBLプレミアムサウンドシステム(7万3,440円)、AC100V/1500Wの電源コンセント(7万5,600円)などをオプション装着するのがベストな買い方だ。

新型プリウスPHV グレード別価格比較
グレード名プリウスPHV
S
プリウスPHV
S“ナビパッケージ”
プリウスPHV
A
プリウスPHV
A“レザーパッケージ”
プリウスPHV
Aプレミアム
価格3,261,600円3,666,600円3,807,000円4,066,200円4,222,800円
駆動方式2WD2WD2WD2WD2WD
燃費37.2km/L37.2km/L37.2km/L37.2km/L37.2km/L
EV走行距離68.2km68.2km68.2km68.2km68.2km

プリウスPHVとプリウス、実質的な価格差は

トヨタ 新型プリウスPHV

プリウスとプリウスPHVの実質的な価格差は、装備の違いを補正すると69万円くらいになる。

申請をすれば経済産業省による補助金の交付を受けることも可能で、その金額は2016年度の実績で9万6,000円だ。つまりPHVの価格アップは、実質60万円と考えれば良いだろう。

東京電力の従量電灯Bで計算すると、電気の価格は1kWh当たり19.5円だ。プリウスPHVの電費は10.54km/kWhだから、実用電費が85%とすれば、1kWhで9kmを走れる。そうなると充電された電気による走行コストは1km当たり2.2円だ。プリウスの走行コストは1km当たり4.1円だから、充電された電気を使って走ると1km当たり1.9円安い。

60万円の差額を走行コストで取り戻すには、プリウスPHVがガソリンを一切使わず、電気自動車として走っても32万kmの走行を要する。契約の仕方によっては電気料金をもう少し安くできるが、単純な損得勘定だけでとらえると、プリウスPHVがプリウスよりも買い得になることはない。

そこを考えると、新型プリウスPHVが、プリウスとは違うボディスタイルを採用し、発電用モーターを駆動に使えるなど新しい機能を加えたことには重要な意味がある。損得勘定を超えた付加価値が選ぶメリットを生み出すからだ。

そして矛盾のある表現だが、エコロジーの本質は「60万円の差額を走行コストで取り戻せるか」という話では割り切れない。

高いお金を費やしても、二酸化炭素や排出ガスの量を抑えるのが本来のあり方だろう。Aの価格が380万7000円になるのは、カーナビを標準装着して補助金の交付を受けられるものの、かなり高めだ。トヨタはプリウスPHVの月販目標を2500台に設定するが(2016年12月のプリウスの登録台数は1万2776台)、売れ筋はプリウスであり続けるだろう。

それでも環境技術に対する関心が高く、自宅にソーラーシステムを設置するようなユーザーには魅力だと思う。日産リーフも2017年の後半にフルモデルチェンジを行うので、比較して選ぶのも良いだろう。

トヨタ 新型プリウスPHV [Aグレード] 主要諸元

プリウスPHV Aグレード 主要諸元
項目プリウスPHV A
全長4,645mm
全幅1,760mm
全高1,470mm
ホイールベース2,700mm
トレッド[フロントリア](前)1,530mm(後)1,540mm
乗車定員4人
車両重量1,530kg
駆動方式2WD(FF・前輪駆動)
EV走行距離68.2km
EV最高速度135km/h
ハイブリッド燃費37.2km/L
エンジン種類直列4気筒DOHC ガソリンエンジン
総排気量1,797cc
エンジン最高出力98ps(72kW)/5,200rpm
エンジン最大トルク14.5kgf・m(142N・m)/3,600rpm
モーター型式1NM/1SM
モーター最高出力1NM:72ps(53kW)/1SM:31ps(23kW)
モーター最大トルク1NM:16.6kgf・m(163N・m)/1SM:4.1kgf・m(40N・m)
駆動用バッテリー種類リチウムイオン電池
駆動用バッテリーセル容量25Ah
駆動用バッテリーセル個数95個
駆動用バッテリー総電力量8.8kWh
トランスミッション電気式無段変速機

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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