トヨタ次期型プリウスは2021年発売か 5代目はEV/FCVモデルのプリウスも!?
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:トヨタ自動車/桃田健史
プリウス生誕20周年イベントが大変なことに!!
「なんだよ、オマエ邪魔だよ、どけよ!」
2017年8月4日、午前9時半過ぎの千葉県・幕張メッセ。古き良き時代を感じるビンテージカーが集結するオートモビルカウンシル2017のトヨタブースでのプレゼンテーションが終わった直後、トヨタ会長の内山田竹志氏の”ぶらさがり”記者会見でテレビ局のニュースクルーたちがピリピリした雰囲気だ。
今回、トヨタの出し物はプリウス。1997年の初代誕生から20周年を記念して、歴代の二次電池バッテリーや制御システムなどを展示。プレゼンは、初代プリウスの開発を指揮した内山田会長が直々に行った。
ところが、困ったことが起こった。同日、朝の一部メディアで、トヨタがマツダに資本参加しEV(電気自動車)の共同開発を行うという報道があったため、NHKから民放主要局が内山田会長のコメントを取ろうと集結したのだ。
”おしくらまんじゅう”の中で、テレビ局、新聞、経済メディアから飛んでくる質問は「マツダ」「資本提携」「EV戦略の見直し」といった言葉ばかり。
”ぶら下がり”の終盤、ある自動車ジャーナリストがやっと、プリウスの開発に関する質問をした。そこで筆者は、その質問に被せる感じで、「それでは、次の新型プリウス、5代目のイメージを現状でお持ちですか?」と聞いた。
それに対して、内山田会長は「あはは」と笑いながら「まだありません。いま、これからです」と言うに止めた。
その笑顔はけっして、メディアを意識した慇懃無礼なものではなく、エンジニアとして”さらなる高見を目指すことは楽しい”といった感情が込められているように思えた。
プリウスの歴史を振り返り、5代目となる次期プリウスは21年に
内山田会長の”ぶら下がり”の後、隣のマツダブースに移動し、ロータリーエンジン50年の歴史、さらには今年末から予約を開始し、来年初頭から始めるマツダ本社によるロードスターのレストア事業の説明を聞いた。
それから再び、トヨタのブースに戻り、大型の展示パネルと各種の技術展示をじっくり見ながら、プリウスがこれまで築き上げてきた歴史について改めて学んだ。また、以前から面識のあるトヨタ関係者らと立ち話をしたり。そうした中で、筆者のなかで第五世代となる次期型プリウスの姿がうっすらと浮かんできた。
それは”プリウス・ブランド”という大きな括りとしての進化だ。
トヨタのブースには今回、初代プリウスと共に4代目である新型プリウスPHVが展示されていた。そこには、第四世代でしかもPHVである同車には”プリウスという単体のクルマとしての完成形”という雰囲気がある。
実際、内外装のデザイン、空力、乗り心地、ハンドリングからは、プラグインハイブリッドという特殊車両のイメージは感じされない。大型の車内モニターや、スマホの専用アプリによる多種多様なサービスなど、最新の通信技術を活用したコネクテッドカーとしても高く評価できる。
こうした完成形を、どうすれば進化させることができるのか? その答えが、プリウスが築き上げてきた次世代車文化を、プリウスというひとつのモデルではなく、プリウスという世界観を広めるようなサービス体系となるのではないだろうか。
アメリカでは、アクアをプリウスCと命名しているが、こうしたモデルラインアップによるプリウスファミリーという製品企画ではなく、”無からハイブリッド文化を造り上げた”トヨタのモノ造り魂がユーザーに伝わることが求められる。
内山田会長のプレゼンにもあったが、初代プリウスの時代、プリウスは”オタクなクルマ”だった。そこからマスマーケットへと広がったきっかけは、トヨタ自身によるマーケティング活動ではなく、プリウスを愛する人たちの”想い”が社会全体へと自然と伝承したことだった。
だが、市場での成長を続け、トヨタのハイブリッド累積販売台数1000万台を超えた今、プリウスは”究極のコモディティ”になってしまった。「とりあえずプリウス」という”安全パイ”になってしまったのだ。
次期型となる5代目においては、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、さらにはEVや燃料電池バージョンが併存するのかもしれない。その中で求められるのは、トヨタの次世代にかける”志”と”挑戦”であり、その世界観をユーザーに伝えることだと思う。
5代目となる次期型プリウス、歴代プリウスの過去歴を考慮すると、現行の4代目が誕生した2015年の6年後となる2021年デビューとなる。
[桃田健史]
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