トヨタ プリウス 試乗レポート/日下部保雄 編

トヨタ プリウス 試乗レポート/日下部保雄 編
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ハイブリットとしては言うまでもなく最高水準だ。

プリウスは事前情報ではあまり変り栄えのしないのではないかと思っていたが、実際の新型プリウスはかなり好印象だった。やや角ばったスタイルも未来感があっていい。インテリアも高い素材は使っていないが、それぞれデザインされており、スッキリした印象が好ましい。

ハイブリットシステムは、これまでトヨタが全世界で180万台を販売した実績と、それが積み上げたノウハウが生かされている。例えば、回生ブレーキと通常のブレーキとの相性が向上し、普通に使うには殆ど気にならないレベルにまで向上している。また、心臓部のハイブリットシステムは燃費の向上に重点が置かれて、1.8Lのプラス300CCの排気量は、パワーと言うよりも運転する余力をもたらすように配分されている。

トヨタのハイブリットシステム、THS-llは非常に巧妙なシステムでハイブリットとしては言うまでもなく最高水準だ。モーターとエンジン、常に効率の良いところを捉えて走るので優れた燃費に磨きをかけ、10・15モード38km/Lと優れた値をはじき出すが、実用燃費でも20km前後は走ることが出来る。

ちなみにEVモードを駆使し、ECOモードを中心にして街中と高速を注意深く走った値は約29km/Lを記録した。ただこの数字は結構気を使った数字なので、通常では23km/Lぐらいだろう。ポイントはいかに電気を上手に使うかだが、ちょっとインテリジェントな遊びが出来る。もっとも燃費にばかり気をとられて、他車の走行妨害になったり安全性を無視することは本末転倒だ。このシステムの弱点は重くなることと、アクセルのツキが悪いことで、軽快な運動性能を実現するには限界があることだ。とはいえプリウスは良くできている。キビキビ感はシャシーでよく具体化されているし、乗り心地、静粛性も文句ない。

欲を言えばもっとダンピングをしっかりさせたいし、リアから感じるすこしバタバタした動きも抑えたいが、これだけの完成度にしたのだから文句も言えまい。

ハンドルを握って、スポーティとは違うがキッチリと良く走り、燃費だけではない高い価値を持っていると思う。購入して損のないクルマだ。

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

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