トヨタ 新型ポルテ・新型スペイド 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
その点、1.5リッターは幅広い回転域で駆動力が高まり、車両重量とのバランスは良好。発進時の力不足はさほど感じない。
1.5リッターエンジンで気になるのは、最大トルクを4800回転で発揮する設定で、やや高回転指向になること。エンジンやAT(無段変速式のCVT)の設定は、基本的にカローラアクシオ&フィールダーと同じ。アクセル操作に対して駆動力が忠実に増減するから扱いやすいが、4200回転を超えたあたりから車速の上昇が活発になる。最大トルクの発生を4000回転以下に抑えると、さらに運転がしやすくなるだろう。
操舵感は、背の高いコンパクトカーの割に鈍さを感じない。速度を高めて曲がると旋回軌跡を拡大させるが、その度合いは小さい。
危険回避時などは後輪が踏ん張る。全高が1690mmに達する5ナンバー車としては、バランス良く仕上げられている。
サスペンションのセッティングは全車共通だが、装着されるタイヤによって微妙に性格が異なる。
まずはベーシックな1.3Xが装着する14インチタイヤ仕様(165/70R14)。
試乗車は「グッドイヤー・デュラグリップ」を履いていた。ヴィッツと共通の燃費性能を重視したエコタイヤで、転がり抵抗を抑えるために空気圧も240kPaと高い。従って路面状況によっては乗り心地に粗さを感じる。コーナリング時には外側のフロントタイヤが歪みやすく、路面をつかむ力が削がれやすい。走りの総合バランスは低い。
1.5リッターモデルは15インチ(175/65R15)を装着するが、同じサイズでも標準装着のスチールホイール仕様とオプションのアルミホイール仕様では、タイヤのブランドを変えている。
スチールホイール仕様が履くのは「ダンロップ・エナセーブEC300」。現行型のカローラアクシオ&フィールダー用に開発されたタイヤで、グリップ性能と転がり抵抗軽減の両立をめざした。空気圧は230kPaで14インチよりも少し低い。それでも時速50km前後までは少し硬い印象だ。コーナリング時の踏ん張り感は不満のないレベル。1.3Xの14インチ仕様に比べて走行安定性は高い。
アルミホイール仕様は、同サイズながらヴィッツ用に開発された「ダンロップSPスポーツファーストレスポンス」に変わる。グリップ力が高まり、路面からの手応えもメリハリがあって分かりやすい。乗り心地は「ダンロップ・エナセーブEC300」よりも硬いが、重厚感が伴うために不快ではない。
以上の点を踏まえると、おすすめグレードはセパレートシートを備えた「1.5F」かベンチタイプの「1.5Y」(両車ともに164万円)になる。燃費は19km/L(JC08モード)だが、オプションでアイドリングストップを装着すれば「20.6km/L」に高まる。
「1.3X」は乗り心地と走行安定性が下がり、燃費はアイドリングストップを備えながらも「19.6km/L」。非装着の1.3Vでは「18.4km/L」になってしまう。設計の新しいCVTを含め、1.5リッターエンジンの方がさまざまな点で優秀だ。
なお、新型ポルテと新型スペイドで異なるのはフロントマスクと取り扱いディーラーのみ。装備、グレード名、価格などは共通化されている。
新型ポルテ&新型スペイドは、基本的には使い勝手を重視したコンパクトカー。左側のドアが1枚しかない不利は伴うが、ユーザーの工夫次第で楽しく使える面も併せ持つ。その一方で、タイヤの設定など、走りや燃費の違いも多岐にわたる。いろいろなグレードを試乗して、自分にピッタリ合った新型ポルテ&スペイドを選びたい。
停車中も含めて、親子で楽しく使えるクルマに仕上がっている新型ポルテ&新型スペイド。
子育て世代なら、数年後に子供が成長して一緒に行動する機会が減った時、新型ポルテ&新型スペイドの車内で過ごした時間が懐かしく思い出されることだろう。
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