トヨタ ランドクルーザー70 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志/茂呂 幸正
内装は機能的。インパネは運転席&助手席エアバッグの装着に合わせて形状を変えており、かつて国内で販売されていた時のようなスチールパネルがムキ出しになる野生味は薄れた。それでも5速MTの長いレバーなど、往年の雰囲気を色濃く残す。
前席の座り心地には相応の柔軟性があって違和感は生じない。後席は足元空間が狭めだ。商用車なので、バンでも後席の面積よりも荷室を広く取る必要があり、取り付け位置が前寄りになったからだ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ1つ少々。コンパクトカーよりも狭めで、床が高いから膝が持ち上がる。大腿部のサポート性も良くないが、ピックアップを含めて4名乗車は可能だ。
新車で買えるクラシックカー
バンタイプは往年のランクル70に設定があったが、ピックアップは用意されていなかった。導入の検討段階では5ドアバンのほかに3ドアのショートボディも候補に挙がったが、構造的に後席よりも荷室を広げられず、3ナンバー登録になってしまう。これでは法規に適合しないため、ショートボディは見送られてダブルキャブの導入となった。
ランクル70の歴史を踏まえるとバンが本流だが、ピックアップも独特の外観と運転感覚が魅力的だ。荷台の後部に「V6」「4WD」と表示されるのも面白い。
日本では「新車で買えるクラシックカー」のようなものだから、一般的な選択肢ではないが、SUVの原形を感じさせる。裕福なランクルファンであれば、現行型のランクル200と復活した70をガレージに並べたくなるのではないか。
トヨタジープは1951年に登場し、1954年にランドクルーザーに車名を変更した。前述の2台を所有すれば、60年の歴史の内、30年間は手に入れられる。1年間の限定で発売されたランクル70は、そういう人達のクルマだと思う。
[レポート:渡辺陽一郎/Photo:和田清志/茂呂幸正]
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