トヨタ 新型カローラフィールダー 試乗レポート／渡辺陽一郎(2/3)

インテリアは居住性、操作性ともに向上！ただひとつ気になるのが「質感」

次はインテリアを見てみよう。

運転席に座った時、少し疑問を抱くのが「質感」だ。メーターパネルは見やすくて造形も良いが、インパネの中央から助手席にかけての造り込みが気になる。

特に助手席の前側に装着される収納ボックスのフタには布が貼られるが、ユーザーによって見方は賛否両論になりそう。ここは好みが分かれるところではないだろうか。ちなみに担当編集者は「見栄えが良くなりましたね」と絶賛していたが･･･。インパネの中央部分も先代型では微妙な曲線を描いていたが、新型では直線基調に改められた。

その半面、スイッチの操作性は向上している。

先代型は低い位置にカーナビの画面（あるいはオーディオのスイッチ）が収まり、この下側にエアコンの操作パネルを装着していた。新型ではこれらの位置が高まり、左手をハンドルから自然に伸ばした位置にエアコンの操作パネルがある。カーナビ画面の視認性、スイッチの操作性が両方ともに向上した。

この変更に伴ってインパネ上面の位置は持ち上がったが、前方の視界はむしろ向上している。フロントピラー（ルーフを支える前側の柱）を手前に引き寄せて左右方向の視野を拡大。ボンネットは相変わらず見にくいが、ボディの前端が60mm短くなったことと併せて、先端位置の把握も容易になった。

これらの大幅な変更が可能となったのも、プラットフォームを変更したメリットの一つである。そう、フロントピラーの位置や角度というのは、プラットフォームの基本設計に依存するもので、実は変更が難しいものなのだ。

車体は小さくなったが、室内は広くなった！？

フロントシートはサイズが十分に確保されており、座り心地が良い。

特に今回試乗したグレードは、1.8リッターエンジンを搭載するスポーティな「1.8Sエアロツアラー」で、サイドサポートが適度に張り出し、シートの生地も滑りにくく、体をしっかりと支えるシートが装着される。

リヤシートは座り心地が大幅に向上した。空間効率の高いプラットフォームを採用したことでフロントシートの位置が前に寄り、前後席に座る乗員の間隔を15mm拡大。シート形状の見直しも行い、足元空間が25mm広がった。

身長170cmの大人4名が乗車した時、先代型ではリヤシートの膝先空間は握りコブシ1つ半だったが、新型であれば2つ収まる。さらにリヤ側の床面は先代型に対して4mm下がり、着座位置は25mm高まったから、床と座面の間隔は29mm拡大されている。

座面の前方を適度に持ち上げ、フロントシートの下側にも足が収まりやすいから、膝が持ち上がらず座面が大腿部をしっかりと支える。座面の奥行寸法も十分に確保され、ミニバンなどから代替えしても窮屈には感じない。

また、ワゴンボディは天井をほぼ水平に後方まで伸ばしているから、セダン版の「カローラアクシオ」と比べても頭上の空間も十分に確保されている。

身長170cmの大人が座って、頭上には握りコブシ1つ分が収まる。コンパクトワゴンでありながら、前後席の居住性はミドルサイズ並みだ。居住性の向上は、ヴィッツのプラットフォームを使った大きなメリットだろう。

荷室の奥行寸法は、足元空間の広いリヤシートを使った状態で先代型を90mm上まわり積載性も良好で、407リットルの容量を確保する。リヤシートのバックレストを倒せば、フラットな荷室にアレンジできる。荷室のレバー操作で後席を全て倒した状態なら、最大872リットルの広大な荷室空間が生まれる。