新型オーリス(トヨタ) 新型車解説(2012年フルモデルチェンジ)(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
エンジン排気量は先代と変わらず
新型オーリスのエンジンは先代オーリスと同様、1.5リッターと1.8リッターを用意する。
1.5リッターはカローラやポルテ&スペイドが搭載する新開発のタイプで、最高出力は108馬力(6000回転)、最大トルクは13.9kg-m(4800回転)だ。1.8リッターは当然ながらパワフル。無段変速ATのCVTに組み合わせられる仕様で、最高出力は143馬力(6200回転)、最大トルクは17.6kg-m(4000回転)に達する。
CVTも新しく、効率の向上と併せて1.8リッターモデルにはスポーツモード時の「ステップ変速制御」を採用した。有段式ATのようにエンジン回転の上下動を伴いながら速度を高め、吹け上がりの良さを実感できる。
サスペンションはフロント側は全車がストラット式を採用するが、リヤ側は異なる。1.5リッターの2WDモデルはトーションビームの車軸式だが、1.8リッター(2WDのみ)と1.5リッターの4WDはダブルウイッシュボーンによる独立式だ。
先代オーリスでダブルウイッシュボーンを採用するのは4WDのみだったから、1.8リッターの2WDはリヤサスペンションの形状が上級化されている。先代型に比べると、ドアの開口部などを補強してボディ剛性を向上。「ねじれ剛性」は10%向上し、走行安定性と乗り心地がバランス良く高められた。
新型オーリスのグレード構成は1.5リッターが「150X」、1.8リッターが「180G」と「RS」になる。4WDは「150X」のみ。先代型に設定されていた「180G」の4WD仕様は省かれた。
新型オーリスでユニークなのは1.8リッターのRS。
ATのCVT仕様を選べない6速MT(マニュアルトランスミッション)専用のグレードだ。CVTを採用する180Gとはエンジンのチューニングも異なり、最高出力は1馬力のアップにとどまるが、最大トルクは8kg-m上まわる18.4kg-m。
しかも最大トルクの発生回転数を4000回転から3800回転に引き下げたため、力強い運転感を味わえる。
新型オーリスの安全装備については、横滑り防止装置は全車に標準装着され、サイド&カーテンエアバッグはオプション設定。ヘッドランプは曲がる方向を照らすインテリジェントAFSで、ディスチャージヘッドランプと併せてSパッケージを中心に幅広いグレードに標準装着した。
180G・Sパッケージでは、対向車を検知して自動的にハイ/ロービームを切り換える「オートマチックハイビーム」もオプションで選べる。
環境技術としては、アイドリングストップを150Xにオプション設定した。
価格面では1.8リッターはやや割高、燃費・減税など考慮すると150Xがおすすめ
新型オーリスのグレード選択だが、まずはエンジンを考えたい。車両重量が1200kgを超えるので、動力性能とのバランスを考えれば、1.8リッターとの相性が良い。
ただし、価格が20万円以上も高まる。1.8リッターのリヤサスペンションはダブルウイッシュボーン式にグレードアップするが、150Xの4WD仕様は、4輪駆動システムとダブルウイッシュボーン式を組み合わせて18.9万円の価格上昇だ。
サスペンションの変更コストは価格に反映させていない。カローラアクシオの1.3リッターと1.5リッターの価格差が4.5万円に収まることなども踏まえると、1.8リッターエンジン搭載車は、1.5リッターに対して少なくとも10万円は割高になる。
また、JC08モード燃費は150Xが18.2km/Lで180Gは16km/L。RSは6速MTの計測方法が不利に働くこともあって14.4km/Lまで下がる。この燃費の違いはエコカー減税の対応でも明暗を分け、150Xは50%の減税、アイドリングストップ装着車は19.2km/Lだから75%の減税だ。一方、1.8リッターモデルは減税対象外になる。
以上の点を考慮すると、新型オーリスにおけるベストグレードは179万円の150X。アルミホイールやディスチャージヘッドランプが欲しい場合は、150X・Sパッケージを選ぶのが良い。Sパッケージは19万円の価格上昇だが、プラスされる装備と価格のバランスは取れており、妥当な設定だ。
渋滞の多い地域のユーザーは、アイドリングストップの装着も検討したい。減税額の違いで、実質的な価格上昇を抑えられる。1.8リッターモデルは高速道路や峠道を使った長距離移動の機会が多いユーザーに向くが、前述のように価格が割高で減税対象にも入らず、現状では選択しにくい。
180Gの価格は206万円。ミニバンのウィッシュ1.8Xが185万円といった価格バランスを考えると、他車との比較でも割高になる。
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