スズキ スイフト 試乗レポート

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:原田淳
スズキ スイフト 試乗レポート
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スズキの世界戦略車 新型スイフト誕生

2002年のパリサロンでデビューしたコンセプトSが原型となっている新型スイフト。思えばスイフトは最初から、日本市場だけでなく世界を見据えたクルマだったのだ。

プラットフォームを一新し、デザインや運動性能を欧州で練り上げたという今度のスイフトは、スズキの新型車としては初めて、日本、ハンガリー、インド、中国の4カ国一斉の生産の立ち上がりを予定しているという世界戦略車なのである。

先駆けて発売される日本では、1.3Lと1.5Lエンジンモデルに5MTと4AT(1.5は4ATのみ)が組み合わされ、それぞれに2WDと4WDが用意されるといったラインアップ。コンセプトは「スズキが熱意を込めて小型車をつくるー世界戦略車への新たな意気込みそれ自体」というくらい、今度のスイフトには熱意が込められているのだ。

かなりオシャレなスタイリング インテリアも新しい

このデザイン、特にルーフラインを見ると、どことなくアルトの兄貴分という思いを抱かせる。アルトよりも、キュッとコンシャス感を高め、スポーティに進化した感じ。つまりだと思うのだ。

インテリアも「面」という感じで構成されているのが新しい。ダッシュボードが2段構えになっているのも新鮮味がある。

さて特に小柄な女性が気になるのはドライビングポジションだが、シートリフターが標準装備されており、調整幅も十分なため問題はなさそうだ。しかし、座面が前に向かって斜めに上がるタイプなので、肩幅が厚く腕が長めな私のような体格の場合、ステアリングが近くなってしまうのが難点。チルトステアリングとともに、テレスコピック機能がつくと、もう言うことナシといった感じだ。続いてペダルの踏み具合も、自然な角度で踏み込めるのでポジション的なストレスは、ほとんど皆無といっていいだろう。

ちょうどよく自分の手足感覚で操れる感触、普段使い+αで楽しめる

JWRCで大活躍中のスズキイグニス。先日のラリージャパンで、その黄色いマシンの雄姿を目にした方も多いのでは? そんなモータースポーツシーンのイメージを彷彿とさせる、しっかりとしたベース性能を今度のスイフトはバッチリ感じさせてくれるのだ。

まず、ひと言で言って、想像以上にスポーティなのである。かといって、スパルタンということもないので、ちょうどよく自分の手足感覚で操れる感触、普段使い+αで楽しめるレベルと言うとわかりやすいかもしれない。

ハンドリングも素直で、想定ラインにスッと乗せられる。限界もわかりやすいし、ブレーキもコントローラブルで扱いやすい。乗り心地的にも、硬くも柔らかくもなく、しっかり感があるのに突き上げ感は少ないといった感じ。さらには、静粛性もなかなかのものなのだ。1.5Lモデルも、基本的に違うのはエンジンの排気量だけなので、感触的には同じフィーリングである。200㏄の余裕が、出足や高速域の伸びで感じられるといったところだ。

全体的なバランスを重視するならば1.3Lのほうが上

1.3Lと1.5Lの違いはエンジンの排気量だけ、タイヤも足回りもまったく同じで、エンジンの重さもほとんど変わらず、違うと言えばホイールの重さくらい…(アルミホイールの方がオリジナルのスチールホイールよりも1本あたり1kg重い)、とのことなのだが、1.3Lのほうが回頭性がよい感触を覚えた。さらに乗り心地の面も、1.5Lのほうは若干ゴロゴロとした硬さが感じられるので、全体的なバランスを重視するならば1.3Lのほうが上と言えそうだ。というよりも、高速走行やロングドライブが多いというのならば別だが、普段街中をキビキビ走り回るのならば1.3Lで十二分というくらい元気なのである。

今までは「泣く子も黙る79・5万円」という、価格で勝負といった感じの強かったスイフトだが、今回は性能で十分に勝負できるに違いない。もちろん価格も101万3250円~と、相変わらずお買い得なのには違いないのだが…。

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

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