小さくたって本格派!小さなカップに入ったちょっとクセのあるオシャレな飲み物「スズキ カプチーノ」【I LOVE 軽カー】
- 筆者: 望月 達也(MOTA編集部)
「軽自動車」それは、日本独自の規格の中で成長してきた小さな自動車だ。限られた規格の中で生み出されたその車体には、日本人の英知が凝縮されている。「トール系」「ハイト系」「スーパーハイト系」「セダン」「SUV」などなど、現在ではその枠の中に多様なモデルが登場している。ここでは、そんな人々の生活を支える軽自動車にフォーカスしてお届けする。今回は、「スズキ カプチーノ」のお話。
カプチーノ、それは小さなカップに入ったちょっとクセのあるオシャレな飲み物
これまでに振り返ったマツダ AZ-1、ホンダ ビートとあわせて「平成ABCトリオ」と呼ばれた軽スポーツカー、スズキ カプチーノ。
ライバルAZ-1同様に1989年の第28回 東京モーターショーでコンセプトモデルが出展され、その後1991年より販売が開始されました。
車名の由来は、まさにコーヒーのカプチーノから。「小さなカップに入ったちょっとクセのあるオシャレな飲み物」というイメージが込められています。
ロングノーズ・ショートデッキのボディサイズは、全長3,295mm×全幅1,395mm×全高1,185mmと低く、車両重量に至っては700kgと非常に軽量です。
さらにルーフは4分割構造になっていて、クローズ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンの4スタイルを楽しむことができます。
可愛く見えて、本格スポーツカー
そんな見た目も名前も可愛らしいカプチーノですが、搭載するエンジンは可愛らしいとはかけ離れたものでした。
1991年から1998年まで販売されていたカプチーノですが、モデル前期に搭載されたのは、アルトワークス向けに開発されたF64型3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボエンジンを搭載。馬力は規制値いっぱいの64馬力を発生させました。ちなみにこのエンジン、チューニング次第では64馬力を簡単に越える3ケタ馬力に迫るほどの出力を出すことが可能な耐久性の高いエンジンなのです。
その後、1995年のマイナーチェンジでは、オールアルミニウムのK6A型3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボエンジンを搭載。これによりただでさえ超軽量だったカプチーノの車重は690kgとなり、スピードに磨きがかかります。
ライバルのホンダ ビートやマツダのAZ-1がミッドシップ(MR)なのに対し、カプチーノはフロントエンジン・後輪駆動のFR方式を採用し、ハイパワーなエンジンもフロントミッドシップに縦置き搭載するこだわりっぶり。理想的な51:49の前後重量配分を実現しています。
足回りも本格的で、軽自動車でありながらサスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式、ブレーキも四輪ディスクを採用。軽自動車ながら歴とした本格スポーツカーを体現していました。それは軽量・非力な“ハチロク”が格上の大排気量スポーツカーを倒していく「頭文字D」においても、物語序盤で埼玉エリアの対戦相手チームの切り札のマシンとして出てくる程です(笑)
販売終了から20年以上が経った今でも根強い人気
そんなカプチーノも、「平成ABCトリオ」のビートと同じく、1998年の軽自動車規格変更や、バブル崩壊の煽りを受け1代限りで生産を終了します。
しかし、販売終了から20年以上が経った今でも根強い人気を誇り、中古車市場では大きな値崩れは見せません。
マツダ AZ-1、ホンダ ビート、そしてカプチーノと「平成ABCトリオ」と呼ばれ、今以上に「軽2シーターオープンスポーツ」といった愉しいモデルで賑わっていた昔の自動車業界。“時代”という言葉で片付けるのはもったいないクルマがその時確かにあったのでした。
次回予告☆
このコーナーでは、日本独自の規格の中で成長してきた軽自動車についてアレコレ掘り下げていきます!
次の更新は4月16日(木)。 来週もお楽しみにー!
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