スバル レガシィ3.0 試乗レポート

スバル レガシィ3.0 試乗レポート
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世界をライバルに見据えるレガシィ 3.0R

3.0R フロントスタイリング3.0R リアスタイリング

スバルが市販車用として水平対向6気筒エンジンを発売したのは1987年6月。2ドアスペシャルティカー、アルシオーネVX用としてだった。

ER27型と名付けられたこの水平対向6気筒は2.7L、150ps/5200rpm、21.5kgm/4000rpmという性能だった。オールアルミ製のこのエンジンは軽量、コンパクトというのがウリだっ た。

その後、91年9月にアルシオーネはフルチェンジし、SVXへと進化。エンジンもER33型3.3L、240ps/6000rpm、31.5kgm/4800rpmになった。

レガシィへの投入は2000年5月。ランカスター6にEZ30型という水平対向6気筒を搭載した。今回の新型レガシィ 3.0R用エンジンはEZ30-R型。EZ30型の部品を80%以上新しくしたエンジンだ。

3Lモデルの外観上の見分け方はフロントグリルがクロームでトリミングされ、バンパーもフロントのエアインテークを左右に振り分けている。サイドシルのクロームモールの追加や金属調塗装した17インチアルミホイールも目につく。リアビューではセダンB4がコンビランプ周囲にクロームトリムを配しているのが 3Lモデルの目安になる。

エムブレムなどでグレードを表わすものは何もついていないのだ。

80%以上のパーツが新設計

B4 リアスタイリングB4 試乗

旧型の3Lエンジンを大幅に改良、80%以上のパーツを新設計した。さらにAVCS(可変バルブタイミング機構)の採用で全回転域での出力が向上している。

ダイレクト可変バルブリフトは、吸気バルブのリフト量を走行状況に応じて個別に変化させるメカ。低回転域では1気筒あたり2個ある吸気バルブのリフト量に差をつけている。高回転域ではリフトを最大として、高出力化を実現している。

このエンジンのマニアックなところは、バルブリフト量の切りかわりの瞬間を、意図的にわかるようにしたこと。これにより、ドライバーのマニアックな心をくすぐろうというのだ。

排気音も以前からのスバルサウンドをやや変え、6500回転以上の伸びの音をよくしている。

この結果、新3.0Lエンジンは旧型より30ps、1.5kgmの性能アップとなり、250ps/6600rpm、31.0kgm/4200rpmとなった。しかし10・15モード燃費は0.6km/Lから1.0km/Lも向上したのだ。

フラットなトルクと週敏さをみせる水平対向3L

3.0R エンジン3.0R 試乗

出力/トルクアップした新水平対向3Lエンジンに組み合わされるミッションは新開発の5速AT。専用トルクコンバーターやアダプティブ制御の進化により、効率をアップしている。さらにマニュアルモードも選択できる。

省燃費走行したいときは、ECOスイッチをONにすることで、エンジンとATの制御を省エネモードに切りかえることもできる。

AWDシステム(今回のレガシィからスバルは4WDではなくAWD=オールホイールドライブと表記)は、VTD-AWD(バリアブル・トルク・ディストリビューション)AWDを採用。前後トルク配分を前45:後55の基本とし、走行状況に応じて前後輪直結まで変化させることができる。

サスペンションは2.0GT系よりもややソフト傾向のセッティングだ。

水平対向3Lのフィーリングは、フラットなトルクで、力強く、しかも軽快な加速を体感させてくれる。V6や直6の3Lよりも重厚感はないが、俊敏な感じ。4気筒に近い軽さが特徴だ。

3Lモデルはワゴン、セダンともにあるが、操縦性に関しては、ワゴンのほうが上だ。

スポーツエンジンとしても通用する軽さ

3.0R インパネ3.0R フロントシート

レガシィに3Lモデルが加わった。新開発の水平対向6気筒エンジンは、吹き上がりもV6や直6の3Lよりも軽く、スポーツエンジンとしても通用する仕上がり。正直に言ってしまうと、レガシィのワゴン、B4にはちょっともったいない気もする。

新しい2ドアクーペやもっとスポーティなモデルを開発し、そちらに搭載してほしいほどだ。

それほどにこの3Lエンジンは素晴らしい。

レガシィのボディには充分すぎる出力とトルクは、余裕のドライビングが楽しめる。

ロングドライブにも使える。さらにエンジン重量が軽いので、ワインディングでの操縦性もバランスがとれている。

1台でいろいろな走行シーンを、ハイレベルで楽しみたい人にすすめたい。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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