スバル レガシィツーリングワゴン 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
スバル レガシィツーリングワゴン 試乗レポート
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日本を代表するワゴンモデルであるレガシィ

古くからワゴン作りを続けてきたレオーネの伝統を受け継いでレガシィがデビューしたのは1989年。この年は日本車にとって極めてエポックメーキングな年で、ほかのメーカーからもセルシオ、スカイラインGT-R、ユーノス・ロードスターなど、さまざまに魅力的なクルマが発表された年だった。

そんな中でセダンとツーリングワゴンによって独特の存在感を表現したのがレガシィであり、伝統のワゴンの使い勝手の良さ、これまたスバルの伝統である水平対向エンジンをベースにしたバランスの良い左右対称AWD(当時は4WDと言っていた)による走破性の高さ、追加されたターボ仕様のエンジンを搭載する GTの走りの良さなど、いろいろな魅力を兼ね備えるモデルだった。

こうした基本的な魅力となる部分は現在の4代目レガシィにも受け継がれており、その4代目にして初めてレガシィが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したこともまだ記憶に新しい。この年には2代目プリウスも登場したが、それを上回る支持を集めての受賞だった。

飛行機の翼をイメージしたフロントグリル

現行の4代目レガシィから全幅が1700mmを超える3ナンバー車として作られるようになったが、全幅の拡大は側面衝突への対応のほか、デザイン的な自由度の拡大にも使われている。より安定感のあるデザインが採用されるようになったのが4代目の特徴だ。

またスバルが航空機メーカーであることのアイデンティティーを表現するため、飛行機の翼をイメージしたフロントグリルが作られるようになったのもこのモデルからだ。

4代目モデルがデビューから3年ほど経過した今年はマイナーチェンジが行われ、モデルの熟成が進められたが、その中で外観デザインはグリルやバンパーなどフロント回りのデザインが一新され、内装も一段と高いクォリティが表現されるようになった。

フロントグリルのデザインは、標準モデル系が飛行機の翼をイメージしたものとされ、2.0GTスペックBではよりスポーティなメッシュのグリルが採用されるなど、モデルの個性を際立たせる方向に進んでいる。

3機種の性格の異なるエンジンを搭載したのと同等の魅力を備えるSI-DRIVE

今回のチェンジの大きなポイントは2Lターボと3Lエンジンに搭載されたSI-DRIVEだ。これはエンジンの電子制御技術を駆使して、インテリジェント、スポーツ、スポーツ#の3種類のモードを選べるもの。いわばひとつのエンジンで3機種のエンジン特性が楽しめるようになったといっていい。

ターボ車でもインテリジェントを選ぶと、穏やかな吹き上がりで燃費の良い運 転が可能。普通のユーザーならこのモードのままで走っても十分といった感じの 動力性能だ。

スポーツを選ぶとエンジンを高回転域まで使って元気の良い走りを楽しむことができる。さらにスポーツ#を選ぶと、一段とスポーティな走りになる。スポーツ#ではATの変速スケジュールなども変わるのだが、今回のモデルからパドルシフトによるギアチェンジが可能になったため、スポーツ#で走らせるようなときにはATの自動変速を待たずにパドルを操作してしまうことのほうが多かった。

スポーティな走りを積極的に楽しみたいユーザーには2.0GT系がお勧め

今度のレガシィツーリングワゴンのお勧めグレード選びはとても難しい。SI-DRIVEがとても魅力的なシステムなので、できるならSI-DRIVEを搭載したモデルを選びたいのだが、ターボ系や3L車など、上級モデルにしか設定されていない。価格帯で言うと300万円級のモデルでないとSI-DRIVE が手に入らないから、単純にお勧めグレードとして上げにくい面がある。

レガシィを買う段階では、ほかにオプションのカーナビを始めとする快適装備や安全装備などを装着することになるが、そうなると車両価格はさらに高くなり、諸費用を含めた合計では400万円級の予算になってしまう。

となると、ワゴンとしての実用性の高さ、シンメトリカルAWDの操縦安定性の高さをリーズナブルな予算で手に入れることができる2.0iや2.0Rなどをターゲットにするのも良いと思う。ともに装備を充実させたBスポーツが設定されているので、一般のユーザーにはこれらがお勧め。走り志向が強く、スポーティな走りを積極的に楽しみたいユーザーには2.0GT系がお勧めとなる。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

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