スバル レガシィB4 3.0R 試乗レポート
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:原田淳
レガシィの走りを象徴するモデル 3.0R spec.B
平成15年にデビューした現行レガシィも各方面から高い評価を受けてきた。特にスバル車として初めての日本カー・オブ・ザ・イヤーを、プリウスを破って受賞したことは記憶に新しい。現行レガシィも水平対抗エンジンを基本にした左右対称のシンメトリカル4WDを採用し、走りに優れたクルマとして評価されている。
今回追加された3.0R spec.Bはレガシィの走りを象徴するモデルである。現行レガシィには先に6気筒エンジンと電子制御5速ATの組み合わせが採用されてきたが、今回はスバルの6気筒エンジンならではの特性をより良く引き出すことのできる6速MTと組み合わせたモデルとして3.0R spec.Bが設定された。
単に6速MTのトランスミッションを組み合わせただけでなく、ビルシュタイン製のショックアブソーバーや専用デザインの18インチアルミホイールするなど、走り志向を強めた仕様が用意されている。
スポーティな走りを支えるエクステリア&インテリア
先に水平対抗6気筒エンジンを搭載したモデルとして3.0Rが設定されているので、今回の3.0R spec.Bもエクステリアデザインは3.0Rに準じる形で大きな変更は受けていない。フロントバンパーは3.0R系に共通するもので、これに専用のスポーティグリルが組み合わされている。サンルーフはオプション設定だ。
タイヤサイズは214/45R18で、これは3.0RのAT車とは異なり、2.0GTのspec.Bと共通する仕様となる。ただし、ハイクラスター塗装を施した7本スポークのアルミホイールデザインは、3.0R spec.Bに専用のものが設定されている。
インテリア回りのデザインでは、本革巻きのシフトノブが6速MT車に専用のものが用意されるほか、滑りを防止してスポーティな走りを支えるアルミバッド付きのスポーツペダルも3.0R spec.B専用だ。シート地はファブリックが標準で本革シートはオプションで設定されている。
MTとのマッチングでワインディングを愉しむ
すでに電子制御5速AT仕様の3.0Rが設定されているだけに、これに追加する形で設定された3.0R spec.Bにはマニュアル車にふさわしいスポーティな走りのための仕様が用意されている。
まず6速MTだが、これは基本的にはインプレッサのものと同じ。インプレッサ用に自社で開発した6速MTであり、その採用を拡大する形になった。ただし、ギア比などはインプレッサやフォレスター用のものとは異なり、3.0R spec.B専用に設定された。全体にワイドなギア比を採用するのと同時に、1~4速のギアをクロスさせて加速のつながりを良くし、高いギア比の6速によってクルージング燃費を良くする設定である。
足回りは多くのスバル車でおなじみのビルシュタイン製のショックアブソーバーを専用にチューニングして採用している。2.0GT spec.Bと比べるとやや乗り心地にも配慮した大人の乗り味を実現したともいえる。タイヤサイズは前述のように214/45R18で、ポテンザの RE050が装着されている。
水平対抗6気筒エンジンは理論的にいえば、完全バランスが可能な究極の気筒配置。スバルのボクサー6も左右のピストンからの力がほぼ均衡してクランクシャフトに伝えられるため、回転バランスに優れてスムーズな吹き上がりを実現する。だかこそレッドゾーンが7000回転から始まる高回転型のエンジンに仕上げられている。
逆にいえば、その分だけ低回転域のトルクが細いことも指摘できるワケで、こうした素性のエンジンにはATよりもMTのほうが良くマッチする。実際3.0R spec.Bの走りの魅力はエンジンの吹き上がりとともに盛り上がるパワーフィールにある。シフトフィールも極めてスムーズで、軽い操作でレバーを動かすことができるので、スポーティな走りが楽しみやすいのも良い。
中速コーナーが連続するワインディングロードを走るなら、こんな楽しいクルマはないという気持ちになるだろう。低めのギアで高めの回転数まで引っ張って、きびきびした走りを楽しみたい。
マニュアル車を望むユーザーの声に応えたスバル
製品としては極めて魅力的に仕上がったのが今回のレガシィ3.0R spec.Bだが、商品として考えると厳しい面もあるのが実情だ。そうでなくてもAT車が主流の日本で、300万円を超える価格帯のマニュアル車を選ぶユーザーはかなり限られたものになるからだ。
でも、そんな硬派の走り志向の強いユーザーを多く抱えているのがスバルであり、レガシィだ。先に3.0Rが発売されて以来、一貫してマニュアル車を望むユーザーの声が入り続けていたという。絶対的な販売台数はさほど多くなりそうにないが、安定した売れ行きを示す可能性は十分にある。またこうしたスポーティモデルを設定することが、スバルというメーカーに対するユーザーの支持にもつながっていくのだと思う。
マニュアル車を買うときには妻の同意が得られるかどうかがポイントになるが、通勤にクルマを使うなどして運転するのはほとんどが夫というような夫婦、あるいは妻用の専用車がある夫婦なら、3.0R spec.Bのようなスポーツモデルを選んでも良いのではないか。
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