BRZ史上“最大規模”のマイチェン!“走り”を高めたスバル 新型「BRZ」を試乗!(2/3)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:和田清志
今回の試乗は富士スピードウェイの構内およびショートサーキットだったが、まず違いとして印象的なのは構内における日常域での違い。
端的にGTはSよりも“しっかり感”が強く、これが走りの感覚全てに備わっていると言って良い。だから走り出しでハンドルを切ると、Sよりも遥かに重みを感じることになる。
また段差等の乗り越えでも、Sよりも多少突き上げが強く感じるのだが、その後の動きの収まり方はGTの方が素早い。このため、乗り味としてはGTの方がフラットな感覚として感じられるわけだ。
そしてサーキットでもやはりハンドリング等にしっかり感が漂っており、走らせるとすぐにカッチリとしたハンドルからの手応えやカーブを曲がる時の粘り強さが感じられる。
当然カーブを走る時の限界性能が高いのもGTで、S以上にガッチリと路面を捉えて踏ん張ってくれるわけだ。この辺りはやはり、最上級グレードを名乗るだけの実力といえる。
ただ、だからといってSが良くないわけではない。例えば日常域での乗り味はSの方が遥かに軽快で、操作に対するクルマの反応もキビキビした印象を受ける。
またサーキットではGTよりは粘らないものの、ハンドルを切った時のクルマの動き方はむしろGTよりも自然な印象がある。加えて限界を超えてリアがスライドするような走りをした際にも、自然な感覚でテールが流れていくのはSの方で、これに対してGTは流れを収束しようとする力が強く働くため、スライドをコントロールしやすいのはSの方だったりするのだ。
「トラックモード」ならテールスライドも楽しめる
またサーキットに関してもうひとつ付け加えておくと、これまで以上に「VDC」の制御が巧みになったことが挙げられる。
これまでVDCは「スポーツモード」を備えていた。これはVDCの制御のしきい値を変更し、サーキット等でスポーツドライビングするときには、ある程度のテールスライドを許容するという仕組みだった。ただ、従来ではテールスライドを許すといっても結構早めに制御されてしまい、ほんの少しテールが滑ったのを体感できるくらいで、コントロールするというレベルではなかった。
しかし、今回VDCに与えられた「トラックモード」では、さらにテールのスライドを許容してくれて、結構なドリフトアングルがついてもVDCを作動させずにテールを流し続けてくれる。そして時間的な猶予を利用してドライバーはコントロールを楽しめるというわけだ。
もちろん、サーキットを走る場合はVDCオフの方がよりクルマをコントロールできるわけだが、安心を担保するという意味ではこのトラックモードもなかなかの印象だったと報告できる。
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