エコカーの真相/第三回 隠れた大物、台湾の電気自動車(3/3)
- 筆者:
世界的に評価の高い、台湾メーカーの設計能力
さて、最後にもう1点、台湾の電気自動車に関してご紹介しておきたいことがある。
上記にあるように、「Luxgen EV」はリチウムイオン二次電池「18650」を大量使用する仕組みだ。
これは、米テスラ「ロードスター」BMW「Mini E」でも使われている方法である。
どうしてこれら三車は、同じ方式なのか?
その理由は、これが同じ会社のアイディアだからだ。その会社とは、AC Propulsion社(以下ACP/カリフォルニア州サンディマス市)。
同社が1990年代後半に開発した「tzero」というEVの基本技術を、テスラ創業者が特許料を支払いながら使用したのだ。現在、テスラとACP社との契約関係は未公開だ。
またBMWはACPに「Mini E」の開発を完全委託した。そして、裕隆汽車もACPと「Luxgen EV」を共同開発した。
こうした因果関係のなか、ACPは開発当初、台湾製の部品を多く使ってきた。その影響から、テスラ「ロードスター」の場合、モーターは台湾の富田電機(Fukuta)、制御系は台湾の致茂電子が一括生産している。
なお、ACPの制御系については「現在は(中国)上海で製作している」(ACPのトム・ゲージ社長)という。
また、2011上海モーターショーに展示された、中国最大手自動車メーカー「上海汽車」のEVでは、電動モーターは台湾のTyco社製だった。
振り返れば・・・、iPad、 iPhoneの部品にも台湾メーカー製が多い。デスクトップパソコン、ノートパソコンのECUは台湾メーカーのシェアが高い。
電気/電子分野ではすでに、台湾メーカーの設計能力の高さは世界的な評価を得ているのだ。となればEVでも・・・。
世界各地でEV普及が進むなか、今後、台湾の動向から目が離せない。
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