CVTで世界シェアトップを誇る「ジヤトコ」見学レポート/飯田裕子(3/3)

  • 筆者: 飯田 裕子
  • カメラマン:オートックワン編集部/日産自動車株式会社
CVTで世界シェアトップを誇る「ジヤトコ」見学レポート/飯田裕子
CVT分野では実に48%という高い世界シェアを誇る「ジヤトコ」を見学!写真は飯田裕子さん 軽・小型FF車用ベルトCVT 中・大型FR車用7速AT Jatoco CVT8 ジヤトコ工場を見学!写真は飯田裕子さん ジヤトコ CVT生産ライン ジヤトコ CVT生産ライン ジヤトコ CVT生産ライン ジヤトコ工場では日産 リーフのDC/DCコンバータケースも製造されている ジヤトコ工場では日産 リーフのDC/DCコンバータケースも製造されている ジヤトコ工場では日産 リーフのDC/DCコンバータケースも製造されている 画像ギャラリーはこちら

あくまでCVTへのこだわりを見せるジヤトコ

今回見学をした富士1地区工場では、CVT7の完成品の加工や鍛造、組み立てや最終検査などを見学させていただいた。

ジヤトコ CVT生産ライン
CVTカバーのバキューム吸引作業の様子CVTカバーのバキューム吸引作業の様子

ここでは一日に3,000機のCVTが生産されているという。機械ものは何でも同じだと思うが、とにかく一つ一つの部品の精度や品質の検査が大事。

アルミ製のケースにはいくつも送油用に穴が開いていて、穴を削り出したカスが残留していないか入念にチェックされていた。組み立てラインでは、ホコリが入るのも防ぐために独立した空間で行われる。

最終検査は『超振力テスト』と言って、コンピュータ制御で走行シーンを再現し、ギヤの噛み合い時に発生する振動を測定するほか、『聴感検査』と呼ばれる異音のチェックではコンピュータでも判断できない異音を人の耳で確認していた。

走行上の性能に問題がなくても、ドライバーにとって不快に感じる音が出ていた場合、出荷が認められないのだとか。

ジヤトコ 富士第1地区工場
ジヤトコ CVT生産ラインジヤトコ工場では日産 リーフのDC/DCコンバータケースも製造されている

世界的に自動車の環境性能を高める必要がある現在、ジヤトコのCVTの需要もますます高まっているそうで、海外生産も中国やタイ、メキシコなどで生産能力を高めるべく、新工場の建設、既存の工場の拡大などが始まっている。

2種類に統合されたCVTは、生産性やクオリティコントロールを世界的に高く保つことも可能だろうし、万が一どこかの国で生産がストップしても他の国で賄える可能性も高まるため、リスクマネージメントにも繋がるだろう。

2011年、ジヤトコは6000億円の売り上げがあったそうだが、2018年には売上高を1兆円とする企業になることを中期目標で発表している。

工場見学が終わったあとの質疑応答のなかで、いわゆる2ペダルと呼ばれるDCT(デュアルクラッチトランスミッション)の開発について質問が挙がった。ジヤトコでは「DCTも素晴らしいと思う」と言ったあとで、「MTを持つ会社にはそういう手もあるが、CVTのようにエンジンの美味しいところを使おうとするとギヤの段数を増やさないといけない」と言い、さらに「ジヤトコはAT出身であり、CVTはエンジンの美味しいところを使える」とメリットを説明した。

CVTのサプライヤーとして、ジヤトコはグローバルシェアナンバー1。

これまでの技術の積み重ねもある。最新CVTの環境性能への取り組みや快適な走行性能のお話を伺い、精密機器としての最新の製造現場を見た者としては、日本企業の今後のさらなる躍進を期待したいと思うのだった。

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飯田 裕子
筆者飯田 裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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