新型エルグランドの予想価格は540万〜900万円! アルファードに対抗できる? 気になる全容を解説
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:佐藤 正巳/茂呂 幸正/日産自動車/MOTA編集部
日産の最上級ミニバン「エルグランド」が2026年10月についにフルモデルチェンジされる予定です。ミニバンの王者、トヨタ アルファードに対抗すべく全高を拡大し、全車に第3世代「e-POWER」と4WDシステム「e-4ORCE」を搭載。340馬力相当のパワフルな走りと高い燃費性能を両立します。
そんな新型エルグランドの予想価格や「あえて床を高くした」内装の理由など、最新情報をもとにカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが新型エルグランドの全容を徹底解説します。
目次[開く][閉じる]
- 新型エルグランドとは? 予想スペック
- 新型エルグランドの予想価格は540万円〜! アルファードとほぼ同価格帯に
- 賛否両論! 新型エルグランドの外観デザイン
- 新型エルグランドを「売れるクルマ」へ! アルファードに寄せたボディサイズ
- 現行より大幅に広がる室内空間と先進的なインパネ
- 全幅の広がりにより居住性も向上! 3列目シートは最高水準?
- 3列目の収納方法を工夫し、荷室の使い勝手を向上
- 新型エルグランドが「あえて床を高くした」理由
- 最新の第3世代「e-POWER」搭載で燃費も大幅向上
- 5.0Lエンジン相当のパワフルな動力性能と走行安定性
- 新型エルグランドの運転支援機能は画期的! 将来的には混雑した街中にも対応
- 【まとめ】価格上昇に見合う価値ある一台に
新型エルグランドとは? 予想スペック
日産 エルグランドは、Lサイズの上級ミニバンです。ミニバンは国内市場が主力の商品であり、特にLサイズカテゴリーではトヨタのアルファード&ヴェルファイアが強い人気を持っています。
現行の日産ラインナップにおいて、エルグランドは高価格帯モデルの一つであり、今後導入が噂されるLサイズSUV「パトロール」と共に、日産の収益向上とブランドイメージを牽引するイメージリーダーとしての役割も期待されています。
そんなエルグランドはジャパンモビリティショーで新型モデルが世界初公開され、2026年10月ごろにはフルモデルチェンジされます。
現行エルグランドは3代目で、発売されたのは2010年です。
つまり16年ぶりのフルモデルチェンジで、パワーユニットからプラットフォームまでクルマづくりのすべてを刷新します。
ここでは、新型エルグランドの予想スペックを一覧でまとめました。詳細は記事の後半で詳しくお伝えします。
| 予想データ | |
|---|---|
| 予想価格帯 | 540万~900万円 |
| 予想発売時期 | 2026年10月 |
| 全長 | 4995mm |
| 全幅 | 1895mm |
| 全高 | 1975mm |
| ホイールベース | 3000mm |
| 床から座面までの高さ | 約460mm |
| システム最高出力 | 250kW(340馬力) |
| システム最大トルク | 530Nm(54kg-m) |
| 発電用エンジン | 直列3気筒 1.5Lターボ |
| WLTCモード燃費 | 17.0km/L |
| フロントサスペンション | ストラット |
| リヤサスペンション | マルチリンク |
| 運転支援機能 | プロパイロット&プロパイロット2.0 |
新型エルグランドの予想価格は540万円〜! アルファードとほぼ同価格帯に
新型エルグランドの予想価格は540万〜900万円です。
新型エルグランドでは全車に第3世代のe-POWERとe-4ORCEを搭載するため、2.5Lガソリンの2WDモデル(408万5400円〜)などを設定していた現行エルグランドと比較すると、大幅な価格上昇となります。
一方、ライバルのアルファードは510万〜1065万円です。こちらは2WD車の設定があるためスタート価格は低いものの、プラグインハイブリッド車もラインナップするため、最高価格は1000万円を超えています。
賛否両論! 新型エルグランドの外観デザイン
新型エルグランドの外観は、フロントマスクに特徴があります。日本の伝統工芸とされる組子の手法を取り入れて、メッキパーツの使用は控えられています。このデザインは個性的で賛否両論でしょう。
最強のライバル車になるトヨタ アルファードやヴェルファイアとの違いを表現するため、斬新なデザインを採用したとも受け取られますが、豪華さに欠けると評価される可能性もあります。
新型エルグランドを「売れるクルマ」へ! アルファードに寄せたボディサイズ
新型エルグランドのボディサイズはアルファードに近づけました。
全長は4995mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は3000mmで、アルファードと完全に同じ数値です。全幅はアルファードや現行エルグランドよりも45mm広い1895mmです。
新型エルグランドと現行エルグランドを比べた時、外観の印象に最も大きな影響を与えているのが全高です。
新型エルグランドは全高1975mmに達するため、現行エルグランドより160mm高く、アルファードに比べても40mm上まわります。
新型エルグランド、アルファード、現行エルグランドのボディサイズを一覧でまとめました。
| 全長 | 全幅 | 全高 | |
|---|---|---|---|
| 新型エルグランド | 4995 | 1895 | 1975 |
| アルファード | 4995 | 1850 | 1935〜1945 |
| 現行エルグランド | 4965〜4975 | 1850 | 1815 |
寸法はmm
新型エルグランドで全高を大幅に高めた理由は、1815mmに抑えた現行エルグランドの反省です。現行型は全高が低いので、外観がスポーティに見えて重心も下がるため、走行安定性にも良い影響を与えました。
その代わり、ボディを大きく見せて存在感を強める上では不利となります。そこが災いして現行エルグランドは売れ行きが伸び悩みました。
全幅と全高を大幅に拡大する新型エルグランドのクルマ造りは、言い換えればアルファードに近く、日産らしいスポーティな個性はデザイン面で乏しくなります。
この判断を行った背景には、今の日産の厳しい経営状況もあるでしょう。新型エルグランドでは失敗が許されないため、好調に売れるアルファードに近いクルマ造りをするのです。
現行より大幅に広がる室内空間と先進的なインパネ
新型エルグランドは、全高が現行型よりも160mm高くなっているため、室内空間も大幅に拡大されます。
現行エルグランドは、車内に入ると天井が低く感じますが、新型エルグランドでは室内高に余裕があるので開放感があります。
そして16年ぶりのフルモデルチェンジとなるため、新型エルグランドでは内装のデザインも大きく変更されます。
ジャパンモビリティショー2025に出品された新型エルグランドを見ると、インパネには14.3インチのワイドなモノリス・スクリーンが2つ並び、多彩な情報を表示できます。
ステアリングホイールは2本スポークで、運転支援機能のスイッチなどが装着されます。
ATの切り替えは、インパネの下側に装着されたプッシュ式スイッチで行います。この機能は日産 リーフなどと同様です。
エアコンの操作は、木目調パネルに埋め込まれた静電式スイッチで行います。この装備は電気自動車の日産 アリアで注目されました。
全幅の広がりにより居住性も向上! 3列目シートは最高水準?
新型エルグランドは全幅が1895mmに達するので、左右に座る乗員同士の間隔も広く、前席の中央に装着されたセンターコンソールボックスもワイドです。
1列目
新型エルグランドの1列目シートはサイズに余裕があり、ゆったりと座れます。助手席にも乗員のふくらはぎを支えるオットマンを装着しました。
2列目
ジャパンモビリティショー2025に出品された新型エルグランドの2列目シートは、両側にアームレストを装着したセパレートタイプです。
背もたれの上側には、中折れ機能を採用しました。背もたれを寝かせても、肩の部分を持ち上げることで、前方が見やすくなります。2列目シートにもオットマンを備えています。
気になるのはアルファードとの違いでしょう。アルファードの2列目には、姉妹車のヴェルファイアも含めて、固定式アームレストを装着した豪華なシートを用意しています。
この2列目シートは人気が高いので、エルグランドも用意すべきです。売れ行きにも大きな影響を与えるでしょう。
3列目
現行エルグランドと比べて、最も居住性を向上させるシートが3列目です。現行型では床と座面の間隔が不足して、足を前方へ投げ出す座り方になっていました。
新型エルグランドはそこが改善され、足を投げ出す格好にはならず、膝は持ち上がりにくいです。1/2列目に比べると居住性は下がりますが、国産ミニバンの3列目シートとして、新型エルグランドの快適性は最高水準になります。
ちなみにアルファードも3列目の居住性が優れていますが、着座姿勢と座面の柔軟性を改善する余地はもう少しあります。
新型エルグランドはアルファードを徹底的に研究して開発されたので、3列目が最も快適なミニバンになる可能性が高いのです。
3列目の収納方法を工夫し、荷室の使い勝手を向上
新型エルグランドでは3列目シートの格納方法も変わります。
現行エルグランドは背もたれを前側に倒して格納するため、荷室の床面が広がっても、折り畳んだ3列目シートの厚みによって、荷室の床面も高くなってしまいます。Lサイズミニバンなのに、自転車などを積みにくい状態でした。
そこで新型エルグランドは、3列目を左右に跳ね上げる方式を採用します。これはアルファードやミドルサイズミニバンの日産 セレナなど、さまざまな車種が採用する格納方法で、荷室の床を低く抑えられるために自転車などの重い荷物も積みやすいです。
新型エルグランドが「あえて床を高くした」理由
新型エルグランドはプラットフォームを刷新するので、開発の過程では、床を低く抑えることも可能でした。
必要な剛性と最低地上高(ボディの最も低い部分と路面の間隔)を確保した上で床を低くすれば、乗り降りがしやすくなり、低重心になって走行安定性や乗り心地も向上できます。十分な室内高を確保しても天井が下がるため、空気抵抗が減って燃費性能でも有利です。
ところが新型エルグランドは、あえて床を低く抑えませんでした。路面からスライドドア部分の床面地上高は、約460mmと高く設定されています。アルファードを若干上まわります。
走行安定性、乗り心地、動力性能、燃費などの不利を承知で、新型エルグランドが床を高めた理由は2つあります。
まずは1つ目は、乗員の着座位置を高くすることです。Lサイズミニバンのユーザーは、周囲を見下ろす感覚を好む傾向があり、乗員の着座位置と視線を持ち上げるために床も高くしました。
2つ目の理由は、天井を高くして全高を2m近い高さに設定することです。
アルファードに対抗して新型エルグランドを大量に売るには、外観を立派に見せる必要があります。そこで天井を高めるわけですが、ウィンドウの位置も持ち上げないと外観のバランスが悪くなります。
そのため、極端にいえば観光バスのように、天井/乗員の着座位置/床をすべて高くしました。
この天井や床を高める開発手法もアルファードと同じです。機能的には「良いクルマ造り」ではありませんが「売れるクルマ造り」であることは確かです。今の経営状況が苦しい日産としては、必然の選択でした。
最新の第3世代「e-POWER」搭載で燃費も大幅向上
新型エルグランドのパワーユニットは、ハイブリッドのe-POWERのみです。エンジンが発電を行って、駆動はモーターが担当します。
駆動方式も後輪を前輪とは別のモーターで駆動する4WDのe-4ORCEで、前輪駆動の2WDは用意しません。
現行エルグランドは直列4気筒2.5LとV型6気筒3.5Lのノーマルガソリンエンジンのみなので、パワーユニットは大幅に変わります。
新型エルグランドに搭載されるe-POWERは第3世代と呼ばれるものです。発電用の直列3気筒1.5Lターボエンジンを最も効率の優れた一定の回転数で回すことで、燃料消費量を抑えます。
エンジンを常に一定の回転数で回すと、平坦路では過剰な発電を行いますが、この時には容量の大きな駆動用リチウムイオン電池に充電します。そうすることで、エンジンを停止して走行できる距離を長くします。
新型エルグランドのWLTCモード燃費は、17.0km/L前後と予想され、アルファードのハイブリッド4WDと同程度になる見込みです。ノーマルガソリンエンジンを搭載する現行エルグランドの燃費8.4km/L〜10.0km/Lに比べると、大幅に向上します。
5.0Lエンジン相当のパワフルな動力性能と走行安定性
新型エルグランドに搭載される駆動用モーターのシステム最高出力は、前後モーターの相乗効果により、250kW(340馬力)と予想されます。システム最大トルクは530Nm(54kg-m)くらいでしょう。
これは国産ミニバンとして最高水準の動力性能で、日産の電気自動車、アリアの上級グレードと同等です。
この動力性能は、ノーマルガソリンエンジンに当てはめると4.5Lから5.0Lに相当します。しかもモーターは、アクセル操作に対する反応が機敏です。
例えば高速道路を時速70kmで巡航中、混雑が解消されて時速100kmまで加速するような場面では特に力強いです。
しかし、背の高いミニバンに高い動力性能を組み合わせると、走行安定性の確保が難しくなります。
そこで新型エルグランドは、新開発されたプラットフォームを使ってボディ剛性も向上させます。サスペンションは前輪がストラット、後輪がマルチリンクの4輪独立懸架です。
4輪独立懸架では、文字通り4輪が独立して動くため(非独立式は左右のサスペンションが連係して動きます)、タイヤの接地性が優れ、その性能を最大限度まで引き出せます。したがって走行安定性、さらに乗り心地でも有利になります。
さらにショックアブソーバーの減衰力を電子制御で調節するインテリジェントダイナミックサスペンション、前述のe-4ORCEも採用します。これらの相乗効果で、優れた走行安定性と乗り心地を目指すのです。
ライバル車のアルファードは乗り心地に重点を置いているので、後発の新型エルグランドは快適性とあわせて「走りの良さ」も重視したクルマ造りになるでしょう。
新型エルグランドの運転支援機能は画期的! 将来的には混雑した街中にも対応
新型エルグランドの先進装備では、さまざまな日産車に搭載される運転支援機能のプロパイロットと、進化したプロパイロット2.0を採用します。
プロパイロット2.0は、オプション、あるいは上級グレードに標準装着され、高速道路ではステアリングホイールから手を離しても運転支援を受けられます。
長距離ドライブ時の快適性を大幅に向上させ、疲労を抑えるために安全性も高まります。
幅広いグレードに標準装着されるベーシックなプロパイロットも、ステアリングホイールから手を離しても運転支援が続く機能が加わります。
アルファードと比較した場合、特にプロパイロット2.0の採用は大きなメリットになります。
さらに2027年の後半から2028年の初頭になると、AIを使ったプロパイロット2.0の進化版も登場する予定です。このシステムは、混雑した街中でも、ステアリング/アクセル/ブレーキの運転支援を可能にします。
例えば信号機のない横断歩道の手前で人が立っていた時は、自動的に停車して横断を促します。
歩道のない裏道で路肩を歩いている人が車両に近付きそうな時は、飛び出しを予想して速度を下げたり、人と車の間隔を開くようにステアリングを操作することができます。画期的な運転支援機能となりそうです。
【まとめ】価格上昇に見合う価値ある一台に
新型エルグランドでは、アルファードをターゲットに渾身のクルマづくりを行っています。特に先進機能が数多く採用されるので、大いに期待できます。
予想価格は540万円~900万円と、現行モデルから大幅な価格上昇が見込まれますが、それに見合うだけの「第3世代e-POWER」による強力な走り、「e-4ORCE」による安定性、そして「プロパイロット2.0」などの先進技術が詰め込まれています。
アルファードと同等のサイズと存在感を手に入れつつ、日産独自の電動化技術と運転支援システムで差別化を図った新型エルグランド。
単に広いだけでなく、運転感覚を楽しむクルマとしての魅力も兼ね備えた一台として、王者アルファードの牙城を崩せるのか。2026年10月の登場が今から待ち遠しいモデルです。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:佐藤 正巳/茂呂 幸正/MOTA編集部 画像提供:日産自動車】
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