ハイブリッドのない新型ランドクルーザー300、ガソリン車との30万円差も減税や燃費で回収可能でキャラにもマッチしたディーゼルが狙い目だ!
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:島村 栄二・TOYOTA
トヨタが14年ぶりにフルモデルチェンジさせた新型「ランドクルーザー300」の試乗がついに実現した! 世界で愛される四輪駆動車の最新モデルについて、四駆専門誌の編集長経験も持つカーライフジャーナリスト、渡辺 陽一郎氏が前後編に渡り徹底解説する。前回の内装編に続き、今回はいよいよ試乗インプレッションをお届け。ガソリン車とディーゼル車でずいぶんと異なる運転感覚の違い、そして買いなのはどちらなのかについて、徹底解説しよう。
2つの新型エンジン、ガソリン車とディーゼル車の違いを実車試乗で徹底チェック
前回のレポートでは、トヨタ 新型ランドクルーザー300の3列シートそれぞれの広さなど、内装についてご紹介した。今回は実際に新型ランドクルーザー300のガソリン車とディーゼル車それぞれに試乗した印象についてお伝えする。
なお新型ランドクルーザー300 GRスポーツの印象については、さらに別の項となるので、そちらも改めてご覧いただきたい。
V6 3.5リッターガソリンツインターボは高回転でパワーを発揮するタイプ
それでは運転感覚を確認してみよう。まずは新型ランドクルーザー300のガソリンモデルに乗ってみる。
V型6気筒 3.5リッターツインターボのガソリンエンジンは、最高出力が415馬力(5200回転)、最大トルクは66.3kg-m(2000~3600回転)と強力で、実用域の駆動力に余裕がある。ガソリンエンジンらしく、3500回転付近を超えると吹き上がりが活発になり、10速ATとあってフル加速したい時には高回転域を維持できる。
アクセル操作に対して駆動力が忠実に立ち上がるが、先代型のV型8気筒4.6Lに比べると、ターボの存在を意識させる。先代型の性能は318馬力・46.9kg-mだから、動力性能は現行型が圧倒的に強いが、先代型のV8らしい自然で滑らかな加速を好むユーザーもいるだろう。
V6 3.3リッターディーゼルツインターボは低速から余裕ある走り、ただしアイドリング時の騒音は試乗時に確認したい
ディーゼルの動力性能は、最高出力が309馬力(4000回転)、最大トルクは71.4kg-m(1600~2600回転)だ。低回転域で強大な駆動力が発揮され、発進直後の1100回転付近でもターボの過給効果を感じる。アクセルペダルを軽く踏んでいる1500回転以下でも余裕を伴う運転感覚は、大排気量のディーゼルターボならではだ。通常の走行で使う2000~3000回転付近はとても扱いやすい。
ただしランドクルーザーはガソリンを含めてアイドリングストップを装着していないので、ディーゼルでは、信号待ちなどの停車時にノイズが少し耳障りに感じる。
新型ランドクルーザー300にハイブリッドがないのはなぜ!? 開発者に直撃!
最近のトヨタ車の多くは、ハイブリッドを用意するが、ランドクルーザーには設定がない。開発者に尋ねると以下のように返答された。
「ハイブリッドを設定しない理由は、まずランドクルーザーが過酷な条件下で使われること。地域別の販売比率は、中東が50%で、そこにオーストラリアとロシアを加えると90%に達する。万一故障すると、帰還できなくなる心配が生じるため、ハイブリッドシステムは採用していない。また今のトヨタが搭載するハイブリッドのTHSIIでは、後退時はモーター駆動のみになる。悪路走破力の不安も伴う」。
ニーズは承知しているものの、日本では想像も及ばないほど厳し過ぎる使用環境を考慮すると難しいようだ。
大柄なボディだが突飛な挙動変化は抑えられ、ゆったりとした走りを堪能できる
ランドクルーザー300 ZXグレードの車両重量は、ガソリンが2500kg、ディーゼルは2550kgと重く、全高は1925mmと高い。しかも足まわりは悪路向けの設定だから、舗装路では安定性(特に後輪の接地性)を保つために、操舵感を鈍めに抑えた。そのために峠道などを走ると、ボディの重さを意識させ、曲がりにくく感じる。
ボディの傾き方も大きいが、唐突な挙動変化は抑えたから、カーブを曲がったり車線を変える時でも不安は感じにくい。車両の動きを鈍く抑える設定でバランスを取っており、悪路向けのSUVらしい、ゆったりした走りを味わえる。
最上級グレード「ZX」の20インチタイヤは乗り心地にやや難あり! 18インチモデルと比較して検討したい
気になったのは乗り心地だ。先代型の前期型に見られた路上のデコボコをユサユサと伝える感覚は抑えたが、20インチのホイールとタイヤ(265/55R20)が、バタバタと粗く動いている印象があった。ドライブモードセレクトでコンフォートを選び、ショックアブソーバーの減衰力を下げると、ボディ上側の動きが柔軟になるから、むしろ前述の粗さが目立ってしまう。
それが別項で試乗記を掲載する18インチタイヤ(265/65R18)のGRスポーツでは、20インチの粗さを感じない。
乗り心地について開発者に尋ねると、以下のように返答された。
「20インチタイヤは日本で重視される車外騒音を抑えるため、サイドウォール(タイヤの側面)が薄目になる。そのために乗り心地が18インチとは異なる」。
高価格車でもあるから、購入時には20インチのZXと、18インチのGRスポーツやVXなどを乗り比べて判断すると良いだろう。前述の通り、新型ランドクルーザー300 GRスポーツの試乗レポートも後日お伝えするので、そちらも併せてご覧いただきたい。
トヨタ 新型ランドクルーザー300は割高な上位グレードよりも中間グレードが狙い目だ
トヨタ 新型ランドクルーザー300のグレード選びは、用途に応じて行うのが良い。ガソリンエンジンモデルならば、最も価格の安いGX(510万円)にも、衝突被害軽減ブレーキや全車速追従型のレーダークルーズコントロールなど先進運転支援機能が標準装着されるから、基本的にどのモデルでも推奨しやすい。
むしろ機能や装備と価格のバランスを見ると、グレードが上級化するほど割高になっていく。ガソリンでは運転席の電動調節機能などを備えるAX(550万円)が推奨グレードだ。
それでも今の販売構成では、約50%がガソリンエンジンを搭載するZX(730万円)になる。残りの50%をディーゼルのZX(760万円)と、GRスポーツ(ガソリン:770万円&ディーゼル:800万円)が分け合う。
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筆者 渡辺 陽一郎氏の推奨はディーゼル! 購入価格差も減税や燃油代で十分に補える
車両全体のバランスとしては、ディーゼルに魅力を感じた。前述の通りランドクルーザーは、重いボディを備えた悪路向けのSUVだから、操舵感などを鈍めに抑えている。この運転感覚は、高回転域の吹き上がりよりも実用回転域の駆動力を高めたディーゼルと親和性が高い。
またディーゼルのグレードはZXとGRスポーツに限られ、価格はガソリンよりも30万円高いが、購入時の税額も異なる。ZX同士で比べた場合、ガソリンは環境性能割と自動車重量税の合計額が18万900円に達するが、ディーゼルは非課税だ。従って実質的な差額は約12万円に縮まる。
さらにカタログ燃費でも、ガソリンは7.9km/L、ディーゼルは9.7km/L(WLTCモード燃費)だ。ディーゼルの数値が優れ、プレミアムガソリンと軽油では、燃料の単価(正確には燃料に含まれる税金)も後者が1L当たり約30円安い。
こういった点まで含めると、ディーゼルを選ぶ余地も生じる。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:島村 栄二]
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