ブリヂストン ポテンザ RE-71R 試乗レポート/山本シンヤ(3/3)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:佐藤正勝
RE-71Rを装着したWRX STIは、まさに「オン・ザ・レール」感覚
続いてキャロッセのライトチューン仕様のWRX STIのステアリングを握る。
タイヤサイズはノーマルと同サイズの245/40R18を履く。新型となりリアのスタビリティ向上やフロントの応答性の良さはアップしているものの、サーキットではアンダーを消すための時間が少し必要なノーマルに対して、RE-71Rはステアリングを切れば曲がり、アクセル踏んだだけトラクションがかかる・・・と、まさにオン・ザ・レール感覚。特に横方向のグリップレベルの高さを実感した。
また、ノーマルではアシスト過多に感じたステアフィールも自然になっていたのも驚きだ。山野氏は「開発はこのクラスからスタートしていますので、実は1,400kg前後の車両重量のモデルとのマッチングが一番いいですね」と教えてくれた。
「RE-71R」と前作「RE-11A」をハチロクで徹底比較してみた!
そして最後はキャロッセのライトチューン仕様(サスキット、スタビ、前後タワーバー、ブレーキパッド、バケットシート)のトヨタ86を使った従来モデル(RE-11A)との比較テストである。
新品のRE-11Aで5周しピットイン、そのまま新品のRE-71Rに履き替えて再び5周走行を行なう。もちろんタイム計測を行なっているので、絶対的な違いも確認できる・・・というわけだ。
まずはRE-11Aを装着してコースイン。グリップレベルやコントロール性など、これだけ履いていれば十分OKでしょ・・・と感じである。ただ、気になったのはピットアウト直後のアウトラップでタイヤが温まるまでのグリップ感に不安を感じたことと、コーナー脱出後にトラクションをかけた際に一瞬「グニャ」とタイヤのブロックがヨレるような感じを受けたことだった。
RE-71Rの絶大な安心感
続いてRE-71Rに履き替えて再スタート。ゴーッというロードノイズはRE-11Aよりも大きめに感じで、Sタイヤに近いような印象だ。ただ、アウトラップのタイヤが冷えている時からグリップ力が高いため、RE-11Aで感じた不安な印象がないのが嬉しい。そしてタイムアタックを開始。
一言で言えばRE-11Aよりも運転が“楽”である。コーナリング時はRE-11Aより少ない舵角で曲がってくれる上にグリップ限界付近でのコントロールもしやすいため狙ったラインを外しにくい。絶対的なグリップ力の高さはもちろんだが、ヌメーっと路面とタイヤが粘着シートでくっついているような感触がステアリングを通じて確認できるため「まだイケるのでは?」とチャレンジをしたくなる。
もちろんRE-11Aで感じたヨレを感じることはなく、むしろSタイヤのようなカチッとした印象を受けた。実は筑波サーキット2000では最も車速が高い最終コーナーではRE-11Aだと1周目はグリップしているかどうか不安に感じてちょっと躊躇してしまった部分もあったが、RE-71Rだと何の不安もなくコーナーに飛び込むことができた。この安心感の高さは本当にありがたい。
RE-71Rの「ポテンザ史上最速」の名に偽りなし!
ちなみに今回のタイム計測の結果はRE-11AとRE-71Rで2.031秒の差が出た(ちなみに山野哲也選手は1.4秒弱差)。更に各タイヤで3周走ったタイムのバラつきは、RE-11Aは1周目のタイムが伸びなかったため1.2秒だったのに対し、RE-71Rは0.2秒と安定したタイムを記録。低い温度からも安定したグリップを備えているだけでなく、“懐の深さ”も備えるタイヤであることを実感。
タイムを気にしなければRE-11Aのコントロールする楽しさも捨てがたいのだが、ここまでタイムアップしてしまうと・・・ポテンザ史上最速の名に偽りはない。
ちなみにトレッドパターンから想像するとウエット性能は・・・と思う人もいるかもしれないが、ハイグリップコンパクンドの効果もあり、RE-11Aより高いレベルを確保しているそうだ(ラベリング制度では17サイズで転がり抵抗係数C、ウエット性能b)。これに関しては次の機会にテストしてみたいところだ。
また、総合性能ではRE-11Aよりも摩耗ライフや快適性という部分は若干劣るようだが、「サーキット走行などの本格的なスポーツドライビングで性能を発揮」と言う明確明瞭なコンセプトを考えれば、この部分はサーキットを走るユーザーにとってあまりウィークポイントにはならないはず。ちなみにRE-71Rの「R」はレーシングを意味する。
そう考えるとRE-71Rは従来のポテンザよりも目的が明確で、よりポテンザらしいタイヤに仕上がっていると思う。
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