これぞ「ベストカングー」！／ルノー 新型 カングー ゼン 1.2ターボ EDC 試乗レポート(3/3)

1.6リッターNA＋4速AT時代の悩みが全て解消

実際に乗ってみると、1.6リッターNA＋4速AT時代の悩みが全て解消されていると言ってもいい。1.2リッター直噴ターボはダウンサイジングターボながらもドーピング的な力強さとは違い、排気量を上げたような自然なトルク感なのはMT仕様のカングーで経験済みだが、6速EDCの組み合わせは、これまでの4速ATのようなシフトショックやレスポンスの悪さは皆無だし、ギアの選択や高速走行時のエンジン回転数にも悩む必要はない。

また、デュアルクラッチMTは、ダイレクト感や滑らかな変速の一方で、発進時や低速走行時のギクシャク感が気になる事が多いのだが、カングーはいい意味で“普通”である。車両重量は1450kgと重めなので、クラッチの制御も俊敏さよりも滑らかさを狙った設定なのだろう。一つだけ要望を言わせてもらうのならば、次はパドルシフトかな、と。

更に驚いたのは、「カングーってこんなに静かだったっけ」と思う静粛性の高さである。もちろん、今のクルマとしては平均的ではあるが、エンジンが唸る感じやメカニカルノイズが車内によく入ってきた1.6リッターNA＋4AT時代から考えると、雲泥の差である(笑)。

アナウンスはないけれど・・・走りの質感がさらに向上している！

今回、1.2リッター直噴ターボ＋6速EDCの搭載以外の変更は“基本的”にはないようだが、走りの部分でも違いがあった。

これまでも大柄なカングーを走らせると、車体の動きはゆったりでロール(傾き)も大きいのだが、背の高さを全く感じさせない絶妙なチューニングのフットワークが与えられている。この魅力は新型でも不変だが、路面からのアタリがより柔らかくなっており、優しい乗り心地がより優しくなって、質感の高さも感じたほどだ。車両重量は6速MTモデルに対して＋20kg、4速ATモデルに対して－10kgなので、恐らく6速EDC搭載に合わせて最適化されているのだろう。また、シフトショックによる揺すられ感がなくなった事も、快適性アップに繋がっているのかもしれない。

これぞ「ベストカングー」だ！

結論、見た目と走り、そして実用性のバランスから考えると、日本では「ベストカングー」と言っていいだろう。もちろん、欲を言えばナビの操作性の悪さや電動スライドドアがないなど、日本のミニバンと比べてしまうと不便な部分もあるものの、カングーにはそれを超える魅力がたくさん詰まっている。

今回の1.2L直噴ターボ＋6速EDCの組み合わせは、1.6リッターNA＋4ATのユーザーは乗ったら悔しがるのはもちろん、これまで「カングーに乗りたいけど・・・」と悩んでいた予備群の人たちにも、安心してお勧めできる一台に仕上がっていると思う。

[レポート：山本シンヤ／Photo：茂呂幸正]

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RENAULT KANGOO ZEN EDC[1.2L TURBO／FF] 主要諸元

全長x全幅x全高：4280x1830x1810mm／ホイールベース：2700mm／車両重量：1450kg／乗車定員：5名／駆動方式：前輪駆動(FF)／エンジン種類：ターボチャージャー付 直列4気筒 DOHC 16V ガソリン直噴エンジン／総排気量：1197cc／最高出力：115ps(84kW)/4500rpm／最大トルク：19.4kg-m(190Nm)/1750rpm／トランスミッション：6速EDC(エフィシェント デュアル クラッチ)／燃料消費率：14.7km/L[JC08モード燃費]／タイヤサイズ：195/65R15／メーカー希望小売価格：2,590,000円[消費税込]