ポルシェ パナメーラV6 海外試乗レポート(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:ポルシェジャパン
動力性能以外にV8との違いは見つけられない
パナメーラの動力性能はまったく申し分ないが、もうひとつの魅力はインテリアにある。
特に、後席が秀逸だ。前席と変わらないホールド性を備えたバケットシートが、タイトに身体を支えてくれ、ハンドルを握っていなくても、この上ない一体感を呼ぶのだ。
運転しても、後席に座っても、パナメーラでのグランドツーリングは痛快なものに違いない。パナメーラにちょっとでも触れてみれば、それを否定する人はいないだろう。
しかし、頭を冷やしてよく考えてみよう。ヨーロッパ大陸と同じように、我が日本国でパナメーラを思う存分に走らせられることのできる道路環境が、どのくらいあるのだろうか?
もちろん、気持ちよく走るということはスピードの高低と直接的には関係しない。
スピードが出ていなくても、優れたクルマは優れている。狭いと言ったって、細長い日本列島には道はたくさんある。「私には、4Sやターボのような超高性能は要らない。でも、ポルシェらしいハンドリングと乗り心地は味わいたい」
そうパナメーラに望みを抱く人は少なくないのではないか、と思ったのが新しく発表されたパナメーラV6に乗った時のことだった。
「パナメーラ」は、フォルクスワーゲンやアウディと共用するカイエンV6とは異なり、専用に開発された3.6リッターV型6気筒エンジンを搭載している。V6で後輪駆動が「パナメーラ」、4輪駆動が「パナメーラ4」。トランスミッションは7速PDKの他に6速MTもあり、うれしいことにポルシェジャパンはこちらも導入する。
最もシンプルなパナメーラとなる6MTのパナメーラに、ケルン郊外で乗ってみた。
こちらも、カイエン同様に動力性能以外での、V8との違いを見つけ出すことができなかった。超高性能を発揮する「4S」や「ターボ」ではトゥーマッチだと自分に正直に考えている人に勧めたくなる、どことなく清々しさの漂うパナメーラだった。
大きくて、速い(ということは高い)4ドア車でMTを装備したものは日本市場には皆無なので、その観点からも、パナメーラV6は憶えておきたい一台だ。
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