ポルシェ パナメーラ 海外試乗レポート/金子浩久 編(1/2)

  • 筆者: 金子 浩久
  • カメラマン:ポルシェジャパン株式会社
ポルシェ パナメーラ 海外試乗レポート/金子浩久 編
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ポルシェ パナメーラ 海外試乗レポート

発表されたばかりのポルシェ・パナメーラを南ドイツのガルミッシュ・パルテンキルヘンで試乗し終え、同じポルシェのカイエンが発表された6年半前のことを思い出した。

あの時、カイエンは“ポルシェ初のSUV”として発表された。

スペインはヘレスの、保管庫代わりに使っていたシェリー酒の蔵元から姿を現したたくさんのカイエンの体躯の、樽に負けない大きさをよく憶えている。

カイエンは、オンロードでもオフロードでも素晴らしくよく走るSUVに仕上がっていた。

それまでのSUVというと、まず第一にオフロード走行が念頭に置かれた設計がなされ、オンロード走行は二義的に考えられていた。

だが、カイエンはオンとオフ、それぞれを同時同等に新しい基準にまで高めていた。

そして、その走りっぷりはオンとオフの境目がわからないくらい、シームレスに統合されていた。それほど素晴らしいカイエンだったが、クエスチョンマークが付かなかったわけではない。

「デキはいいけど、誰が買うのか思い浮かばない」

そんな大きなお世話に反して、カイエンは世界中で売れに売れた。

ポルシェ社の経営状況を飛躍的に向上させ、カイエンは瞬く間に911とボクスターに並ぶ3本柱に成長した。ファンというのは懐疑的なものだから、カイエンの成功を最初から疑わなかった人はいなかった。

多かれ少なかれ、「スポーツカーじゃないポルシェなんて」「SUVを買う人が、そんなにたくさんいるのか」と、疑心暗鬼の眼差しを向けていたのだ。

世の中の流れが、ちゃんと見えていなかった。あの時の、一種の戸惑いにも似た気持ちを、パナメーラにも抱いてしまった。

そう、クルマはいいのである。ポルシェが作っただけのことはあって。パナメーラは、全長4,970mm、全幅1,931mm、ホイールベース2,920mmにものぼる大型4ドア4座席GT(グラントゥーリズモ)。

独立したトランクはなく、テールゲートを開けると後席後ろがそのまま荷室になっている。3対2に分割された後席の背もたれを倒せば、その分荷室容積が増加する。

国際メディア試乗会が、ミュンヘン空港ビルから始まったことで、ポルシェがパナメーラに掛ける意気込みがうかがえた。

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金子 浩久
筆者金子 浩久

モータリングライター 1961年東京生まれ。 自動車と自動車に関わる人間について執筆活動を行う。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』など。記事一覧を見る

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