意外!車高のあるSUVが高齢者にも優しかった理由|車椅子利用者と1200km乗って分かったこと
- 筆者: 加藤 久美子
- カメラマン:原田淳/加藤 久美子
横浜からお伊勢参りに
先日、プロパイロットを装備したエクストレイルに試乗する機会を得ました。距離は横浜~伊勢市(三重県)との往復で約1200キロ。高齢の母も同乗しての移動です。
ちなみに、母はマリリンモンローやエリザベス女王と同じ年齢で、元気いっぱいではありますが、自重?と加齢で足腰が弱くなり、移動には車いすを使っています。
プロパイロット装備のエクストレイルで、とても楽な長距離移動を体験
片道500km以上でプロパイロットを使って走行するのは今回が初めてでした。横浜から伊勢市までの高速道路を中心としたルートで使ってみたわけですが、操作がとても簡単で、表示が分かりやすいことにまずは感動しました。日産自動車が「高速道路同一車線自動運転技術」と公言するだけあります。
なお、ステアリングから手を離していても自動でハンドルが動いて走行できますが、10秒以上離すとシステムが除されます。ただ、ステアリングを両手で握っている必要はなく、軽く手を添える程度でもOKでした。(手放し運転は危険なのでやめましょう)
こんなに楽をして長距離を走ると、眠くなったりしないだろうか?と思っていましたが、これが全く眠くなりませんでした。
プロパイロット初体験だったからでしょうか?心地よい緊張感がずっと続いている感じで、眠くなるどころか頭の中が冴えわたるような、すっきりした雰囲気で運転を楽しむことができました。
実はセダンのトランクよりSUVのラゲッジの方が車椅子が積みやすい
車椅子を車に積むことを考えると、「SUVは車高が高いから積み下ろしが大変では?」と思われそうですが、実は、セダンやクーペのように低い位置にトランクがある車より、SUVのようにほどほどに車高が高いほうが積みやすいように思えます。
うちには初度登録から19年経過したトヨタ カレンがありまして、トランクは意外と広く、手動の折り畳み車椅子なら余裕で入ります。しかし、車いすを折りたたんで抱えるようにして積まなければならず、車高は低いけれども実はかなり積み下ろしがしにくいのです。
一方、SUVはリアゲートを開いて、写真のようにひとまずタイヤをラゲッジに乗せればあとは転がして積み込めば良いので楽なのです。なお、車いすを立てて積む場合も、寝かせて積む場合も必ずブレーキをかけておいた方が安全ですね。荷室から降ろす際、車椅子の車輪が不用意に回って指を挟んでしまうトラブルが防止できます。
ちなみに、今回試乗したエクストレイルはハイブリッドモデルなので、ラゲッジの床部分にバッテリーを搭載しています。そのせいで、荷室の床に段差が出現して少々積みにくいのが気になりますが、数センチ高くなっても荷室高は十分あり、車椅子を立てたまま積んでも余裕です。
足腰の弱い母がエクストレイルを気に入った理由は?
一般的に、足腰が弱い高齢者が車高のあるSUVに乗るのは大変だと思われていますし、実際、よじ登るようにして乗る高齢者も少なくないでしょう。身長152cmで歩行が困難な母も、別のSUVだと乗りにくそうにしていることが多かったのですが、予想に反して、エクストレイルでは2~3回練習したら、乗るときも降りるときも実にスムースに自力でできていました。
その理由を考えてみました。
・シートの形状や硬さがちょうどいい。適度に厚みがあって柔らかいけど弾力のある素材が良いようです。
・シートの表皮素材がほどほどに滑りやすい。
エクストレイル自慢の防水シートですが、この素材が実は乗降性にも貢献していたようです。シート表皮がファブリック素材だと滑りにくくて、シートの奥に進むのが大変になります。本革シートは逆に滑りすぎるものもあるのですが、エクストレイルの防水シートのおかげで、余計な力をあまり使うことなく滑らせながら乗り込むことができました。
さらに、足をかける場所やアシストグリップの使い方を教えてあげることも重要です。(高齢者は車高が高い車への乗り込み方を知らない場合が多いので)
このほか、ドア開口部の形状やドアが90度近く開くことも、乗降性の良さを支える隠れアイテムとなっていたのかもしれません。
ハイブリッド車の意外なメリット
ハイブリッドと言えば燃費がよく、環境に優しい車として絶大な支持を得ていますが、実は全く別の理由で高齢者にも優しい車だということをご存知でしょうか?
ハイブリッド車のモーターを使った発進が、足腰が弱った高齢者に優しいのです。発進、停止がソフトに行えるため、足腰に無駄なGが掛かりません。それで体への負担も大幅に軽くなるようです。
これは、10年ちょっと前にアルファード ハイブリッドで1000km走った時に気づいたのですが、やはり当時から足腰の弱かった母を乗せており、母が「この車はとてもいい。全然疲れない。」と感動していたのです。
どうやら、ハイブリッド車特有の「優しい発進」が、弱った足腰にも効いたようです。
今回のエクストレイルもハイブリッド車でしたから、足腰への負担が少なく、乗降時の「体力」を温存することができたのかもしれませんね。
[TEXT:加藤久美子/PHOTO:原田淳・加藤久美子]
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