日産 ティーダラティオ 試乗レポート
- 筆者: 竹岡 圭
- カメラマン:難波賢二
後席は広々、室内スペースは高級セダン並み
セダンということで、もっと大人しいイメージになるのかと思いきや、ティーダ同様、ハリのある面と、シャープなラインを生かしたもので、スッキリとまとまっている。ボディカラーに気を配れば、営業車的イメージは少ないかもしれない。
インテリアは、ほとんど兄弟車のティーダと同じなのだが、大きく違うのは後席。ラティオはトランクスペースが別にあるために、あのロングスライド機構はついていないのだ。しかし後席は、ティーダのスライドをいちばん後ろに下げた状態でセットされているので、足を組めるくらい広々状態である。その室内スペースは、シーマと同じくらいというから、いかに広いか想像していただけるのではないだろうか。
トランクスペースはさすがにシーマと同じとはいかないがかなり広く、ゴルフバックも余裕で積み込める大きさだ。また長尺物も、センターのトランクスルーを使えば搭載可能である。
新開発のHR15DEエンジンはパワフル&滑らか
ティーダラティオの運動性能で、いちばんの注目はエンジンのスムーズさだろう。ティーダ誕生時新しく作られた1.5Lエンジンは、パワフルかつ滑らか。飛び出し感が強いとまでは感じさせないくらいの勢いで、スルスル~と気持ちよく発進し、その後はグイグイッと加速してくれるといったフィーリングで、なかなか頼りになる感じなのだ。
次に乗り心地だが、実はティーダに試乗したとき「Bセグメントと考えれば十分だけど、Cセグメントくらいに見えてしまう質感の高さを考えると、もう少し要求したくなっちゃうかな…」と思っていたものが、開口部の少ないボディ形状のせいか、気になっていたゴロゴロ感が消え、しなやかな味わいになっていたのには少々ビックリした。
同時に静粛性も高まって、室内での上質さという面では、ラティオの方が上と言えるかもしれない。
走りも乗り心地もインテリアも申し分なし、ドライビングをゆったり楽しめる1台
コンパクトカーというと、ハッチバックがメインの時代、コンパクトセダンというと、どうしても商用車(営業車)のイメージがつきまとってしまいがちだが、ティーダラティオは営業車だけにしてしまうには、少々もったいない気がする。逆にもし、営業車としてラティオが当たったら、ラッキーと思って間違いない。
特筆モノのインテリアの質感の高さは、長い時間過ごせば過ごすほどに、かなりの違いとして現われてくるところ。ゆっくりと開くプッシュダンパー式のボックス類なども、なんだかドライバー側もゆったり気分で、思わず扱いが丁寧になるなんていう効果まであるかもしれない。
そして、走り味もストレスも感じないし、乗り心地もなかなかのものなので、特にロングドライブになればなるほど、その差は現われてくるといったところだろう。ひとつだけ残念なのは最小回転半径。もう少し小さいと嬉しいのだが…もはや欲張りの領域なのかもしれない。
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