日産先進技術試乗会2010(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
安全技術の取り組み
日産では、2015年までに日産車1万台あたりの死亡・重傷者数を1995年比で半減させる、という目標を掲げている。
すでに日米英では2008年の時点で半減近く(欧州では半減以下)に達しており、目標達成はほぼ確実視できるところだが、最終的な目標はもちろん限りなくゼロに近づけること。
そのためには、当然ながら事故そのものを減らすことが最重要と考えている。これまでも通常運転から衝突後まで、運転状況に応じて、表示や音に加え、ドライバーに直感的に状況を伝えることにより、全方位の危険に対してドライバーの回避操作を支援し、少しでも危険に近づけないようサポートする「セーフティ・シールド」の考え方の技術開発に鋭意取り組んでいる。
今回試乗したアイテムおよび各インプレッションは以下のとおり。
DCA(ディスタンスコントロールアシスト)
DCA(ディスタンスコントロールアシスト)アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え操作を促し、先行車両との車間距離維持を支援。有効には違いないが、現実的にはもっと近い車間距離でも機能させることができたほうがいいかもしれない。
BCI(バックアップコリジョンインターベンション)
BCI(バックアップコリジョンインターベンション) 自車が後退する際、進路に車両が進入しようとすると自動的にブレーキを作動させ、ドライバーの危険回避操作を支援。
本来は、できるだけ後ろ向きで駐車すべきで、その場合は不要の技術ではあるが、現実的には前向き駐車を求められる場所が増えているらしく、衝突を防ぐ上では間違いなく有効なアイテム。高価格帯のクルマだけでなく、むしろユーザーの多い小型車への早期導入に期待したい。
これら実用化されているものに加え、今回はさらに、「衝突回避支援コンセプト」と、「MOD(ムービングオブジェクトディテクション)」の2つの新技術のデモを体験することができた。
MOD(ムービングオブジェクトディテクション)
AVMの4個の広角高解像度カメラを用いて、車体の周辺の移動物を検知してモニターに表示し、ドライバーに注意を喚起させるというもの。モニターの表示は、AVMと同じく停車時は車両を俯瞰表示するトップビュー画面、前進時はフロント周辺を表示するフロントビュー画面、後退時はリア周辺を表示するリアビュー画面という3タイプとなり、駐車場から出庫したり、見通しの悪い路地から通りに合流したりする際など、見落としによる事故を防ぐ上で有効だ。
物体の検知能力に問題はなく、動くものすべてを検知することができるのだが、逆に、あまり小さなものまで何でも反応すると、いわゆる「狼少年」状態となって、注意喚起が意味をなさなくなってしまう。
そのため、むしろどこまでのものを排除するかということのほうが悩みどころと開発陣は述べているが、まったくその通りだと思う。実際に世に出た際に、そのあたりどのような設定とされるのか興味深い。
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