日産 ノートNISMO S ~岡崎五朗のクルマでいきたい(ahead)~
- 筆者:
レース屋の作った ストリートホットハッチ
正直なところ、僕のノートに対する評価は低い。見た目はカッコいいし、室内も広いし、価格も安いのだが、 如何せん乗ったフィーリングがよくない。全体に薄っぺらい感じが漂って、乗り心地も渋い。サスペンションが滑らかに動かないから段差では突き上げが大きく、にもかかわらずコーナーではグラリとロールする。
売りの1.2リッタースーパーチャージャーエンジンにしても、肝心なところで過給をしないためトルク感に乏しく、かといってアクセルを深く踏み込むと今度は燃費が急激に悪化する。典型的な「安くて室内が広くてカタログ燃費がいいだけのクルマ」なのだ。
そんなノートにニスモシリーズが加わった。試乗したのは専用チューンした1.6リッターエンジンに5速MTを組み合わせたノート ニスモS。1.2リッタースーパーチャージャー+CVT仕様のノート・ニスモもあるが、どうせ買うなら絶対にニスモSだ。
とにかく走りが素晴らしい。合計6ヵ所の補強材が取り付けられたボディが生みだすしっかり感はベースモデルとはまるで別物。コストより性能を重視したダンパーを強固なボディに取り付けたため足もしなやかに動く動く!
決してソフトな足ではない。むしろ引き締まっている。タイヤもハイグリップタイプだ。しかし乗り心地はベースモデルより断然上質。ステアリングを切ったときのボディのしゃっきり感、コーナーでの接地感も別次元である。
気持ちのいいサウンドを奏でながらトップエンドまで鋭く回りきるエンジンもニスモSのチャームポイントだ。低めのギア比をもつ5速MTを駆使してアップテンポな走りをすれば、クルマの運転ってこんなに楽しいもんだったんだなと再認識できるに違いない。
価格は224万円。内容を考えればかなりお買い得だが、個人的にはもう少し控えめな外観のモデルが欲しい。というか、この走り味の半分でもいいからノーマルモデルに反映できないものだろうか?
日産 ノートNISMO S
かつては全てのメーカーから「ホットハッチ」と呼ばれるスポーティーなエンジンを搭載したモデルをラインアップしていたことを考えれば、現在の日本のホットハッチ市場は寂しい状況である。そんな中、長年レースに携わってきたニスモが本気でつくったノートNISMO S は、レーシーでニスモらしいホットハッチである。
日産 ノートNISMO S主要諸元
車両本体価格:¥2,244,240(消費税込) / 全長 x 全幅 x 全高(mm):4,100 x 1,525 x 1,695 / 車両重量:1,080kg / 定員:5人 / エンジン:DOHC水冷直列4気筒 / 総排気量:1,597cc / 最高出力:103kW(140ps)/6,400rpm / 最大トルク:163Nm(16.6kgm)/4,800rpm / 駆動方式:前輪駆動
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