日産 新型モコ 試乗レポート/藤島知子(1/2)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:茂呂幸正/オートックワン編集部
女性のツボを上手に押さえた新型モコ!
日産 モコが3代目にフルモデルチェンジした。
モコは代々、スズキのMRワゴンをベースとしたOEM車で、日産オリジナルのフロントフェイスを採用するなど、内外装に専用パーツを用いることで、日産が得意とする『オシャレ感覚』を上手に表現してきたモデル。
OEM車というと、「メーカーのバッヂが違うだけじゃないの?」と見られがちではあるものの、じつはこのあたり、女子にとっては単に「バッヂが違うだけ」とは言い難い、奥が深い部分ともいえる。
「奥が深い」理由のひとつが、顔つきやボディ色でクルマの存在価値が違って見えるところにある。とくに、女子の場合、色のニュアンスに関しては男性の100倍くらい(?)敏感なものだ。
「あのピンクがカワイくて、ひと目惚れしちゃったの!」といった具合に、クルマを購入するうえで、ボディ色はデザインに匹敵するくらい重要な要素だったりする。
その点、モコにかけられた“カラーリングの魔法”はじつに巧みで、女性のツボを上手に押さえている。『モコベリー』と呼ばれるモコ専用のピンクの外板色は、口紅のニュアンスカラーに通じるものがある。シーズンごとに似たような色が登場するにもかかわらず、光沢感やテクスチャーに変化をもたらすことで、「これを使えば、もっとキレイになれるかもしれない……」なんていう、淡い期待を抱かせてくれるのだ。
日本人の肌に映える優しいコーラル系の色合いは、自然体を好む時代に見合ったもので、大人でも自然に受け止められる。バブル期に丸の内のOLたちがこぞって愛用していた青味がかったピンクの口紅がいまの時代に流行るのか?といえば違っているように、ピンクひとつをとってみても、時代に合っていなければ途端に気持ちが萎えてしまう。女性はトレンド感のあるちょっとしたニュアンスの変化に、今日より幸せな明日の自分を妄想しつつ、心を踊らす生きモノなのだ。
話をクルマの話に戻すと、専用デザインが施されたボンネット上にフロントグリルに向かって緩やかなV字ラインが描かれ、繊細なイメージを与えている。その2本のラインのわずかなエッヂが、運転席から前方を見たときにボンネットの奥行きの目安となり、狭い場所を取り回すさいに手助けとなってくれそうだ。
横基調のフロントグリルや、ひと目でモコだと認識できる優しい目をしたヘッドライトも、睨みをきかせた新型MRワゴンとはずいぶん異なる。さり気なく『上品さ』を表現しているあたりも、エイジレスな魅力をもつモコならではの持ち味といえるだろう。
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