日産先進技術説明会&体験会レポート/飯田裕子(3/3)
- 筆者: 飯田 裕子
- カメラマン:オートックワン編集部
更なるアクティブ・セーフティ技術の段階的な採用
安全マージンを取って体験できるはずの今回の様々なプログラムの中でも唯一、悲鳴を上げずにはいられなかったのが、緊急回避支援システムだった。
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日産は「ビジョン・ゼロ」を合言葉に、日産車による死亡・重傷者数をゼロにするという究極の目標を掲げ、安全対策に取り組んでいる。今回は前方の障害物に対し、“警告→急ブレーキ→緊急自動ステアリング”で衝突回避を状況に応じ、段階的に作動させるという技術の体験をさせてもらった。
体験試乗をしたリーフには前方を観るミリ波レーダーとカメラ、車輌左右後方の2つのミリ波レーダー、周囲に取り付けられた5つのレーザースキャナーを搭載。接近する対象物に関する情報を車載コンピュータ(ECU)が受け取り、素早く計算をする。そして状況に応じてシステムが作動するのだ。スキャナーなんてコピー機でしか身近になかった印象があるのに、動くクルマにも搭載されるなんてビックリだ。
走行中、レーザースキャナーが道を認識しその上に存在する障害物を把握。高速で接近してくる障害物の有無を検出し、この体験試乗のために用意された画面(モニター)にはもし今何かあった場合にハンドルを切り込んでもOKなエスケープゾーンをグリーンで表示していた。そして、ここでは障害物の接近に伴い、最後に残された手段がハンドルだけだというシチュエーションで回避体験をしたのだった。
シチュエーションは、50km/h程度でボーっと運転していたときに目の前に歩行者が飛び出したとき…クルマはどう対処するか、という体験だった。
リーフは急ブレーキをかけながらハンドルを切り、飛び出してきた歩行者を避けてくれた。街中で注意を払いながら運転しているドライバーであれば、行うであろう操作をクルマがしてくれたのだ。が、かなりスリリングな体験だったために、目を開けているのがやっとであり、思わず「うわぁ~っ!」と声を上げてしまった。
もう1シーンは高速で渋滞に気付かず渋滞末尾車輌に追突しそうなシチュエーション。70km/h程度の速度で体験をしたのだけれど、こちらも左右の障害物(クルマ)を認識しつつ、空いているレーンに向かってスイッとクルマが回避動作を行った。
今回は障害物に対して急ブレーキで減速を行う技術とハンドルの自動操舵による回避が組み合わされていたが、このシステムでは障害物の手前で完全停止はしない。ブレーキで停まるより、ハンドルで避けるほうが場合によっては短時間で回避が可能であり、緊急回避の最終手段をステアリング回避で行っている。
その一方で日産は一年以内には追突を防止する急ブレーキ(完全停止まで制御)の採用も予定しているそうだ。
ハンドルを使った回避システムの採用時期については明言していなかったが、これが採用されれば飛び出してきた子供や痴呆の進んだ徘徊老人の痛ましい事故や野生動物との接触を回避したために自車が衝突事故を起こすというような事故も減るだろう。
日産の「ビジョン・ゼロ」は乗員のみならず、日産車が起こしうる周辺事故(歩行者や他車)を減らすのが目的。この取り組みは素晴らしいと思う。
商用車でも電気自動車を普及
2013年から日産ではリーフに加え、これまで世界中で実証実験を行ってきた電気商用車「e-NV200」の市販化が始まる。日本では日本郵政やFEDEXなどが実証実験を行ってきた。
e-NV200はリーフのパワートレインをベースにチューニングを施し搭載されている。e-NV200の車重はリーフより200㎏ほど重く、乗用タイプのNV200に対しても150㎏の重量増となるそうだが、果たしてその走行性能はいかなるものなのか…、ということで、1.6Lガソリンエンジンに4ATを組み合わせたNV200に150㎏分の荷物を積んだ状態とe-NV200の比較試乗をした。
最初に乗ったガソリンモデルも背の高いミニバンとしてはロールも少なく、商用ミニバンとしての走行パフォーマンスも十分ではないかと思った。
一方、e-NV200はEVの特性を活かし、とにかく停止状態から発進する際の出足の良さに感心し、商用モデルにEVを採用するメリットを実感した。
ドライバーにとってストレスのない走行が可能であり、街中を走る際にも騒音もなく、CO2の排出もゼロなのだ。これなら場合によって店舗の奥(中)までクルマで入り、荷物の積み下ろしもできるかもしれない。 さらにEVのある種の重量物であるリチウムイオンバッテリーを床下に配置していることで、結果的により低重心なドライブフィールも得られ、安定感が強い。
実証実験を行ってきた国内の企業は1回の充電で平気で100kmほど走行をしているそうで、実用上の航続距離にも不満はないという。今回はEVの新たな利便性を知る機会にもなった。
クルマはまだまだ進化する
ここで紹介した新技術が今回のすべてというわけではない。
すでに販売されているノートの内装、ハードプラスチックを採用していてもプラスチック感を軽減する乱反射を抑えた素材の開発もここで紹介された。
また2013年以降の採用を見込んでいる“疲労軽減シート”も驚きだった。血圧を計測しながら体にかかる負担を証明して見せてくれたこのシートは体の体重を今まで以上にしっかりと受け止める形状と面圧に工夫あり。
開発者の方によると2時間運転していても筋肉、とりわけ腰の疲労感はなく、これは30%の疲労低減につながるという結果が出ているそうだ。
不運にも出遭うかもしれない事故を減らす一方で、誰もが快適にそしてより楽しいドライビングが得られる機会を増やすことができそうな先進技術の開発に触れ、すでに成熟しているクルマも「まだまだ進化するんだ・・・」とつくづく思った体験だった。
良い技術は早く低価格なクルマにも採用してほしい、と思うのは私だけではないはず。ここで紹介した新技術で目に留まるものがあればぜひ覚えておいて、2013年以降、「あの技術はこのクルマに採用されたんだ…」と技術の先取り感も楽しんでいただけるのかもしれない。
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