日産 GT-R 2012年モデル 試乗レポート/桂伸一(3/3)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:茂呂幸正
体感できるほどトルク、加速の向上を感じる2012年モデル
R32の頃はレースでもチューンドカーの世界でも「GT-R使い」と呼ばれた身だ。しかしR35 GT-Rは、恐ろしく速いが機械が先行した感で、操るドライバーの感情移入する間がないことから、敬遠しがちだった。ところが、2012年モデルはそこにクルマとの意思の疎通が図れる何かがある。4年目にして初めて抱いた感情だ。
サスペンションの左右非対称セッティングは、いや「4輪均等接地荷重」というべきは、0-100km/h加速、100km/h以上からのフルブレーキングで、どちらもキッチリと直進状態を維持したままダッシュし、左右にとられることもなく急停車する。パイロンスラロームで2011年モデルと比較すると、2012年モデルはステア操作した際の動きの正確さ、特に切り返しの動きが自然だ。
リヤは若干スライドを発生する11年モデルに対して、12年モデルはリヤ荷重が増えたかのように接地安定性が高い。そこにはステア操作からグリップを感じ、ジワッと変化するロール、ステアリングやリヤタイヤを通じての路面との接地感が自然に伝わる感触がじつに素晴らしい。菅生を選んだ理由が傾斜角30度、高低差約73mの最終コーナーの急勾配を登って理解できた。
エンジンのトルク感、中間加速やそのレスポンスが2012年モデルでは体にGを感じられるほど加速の盛り上がりが違う。3速160km/h、4速190km/h、5速230km/hでバックストレッチエンドに到達するが、そのシフトアップするタイミングも2012年モデルは早い。つまり駆動力がより伝わり、エンジンパフォーマンスが各ギヤのリミットに達する勢いも速めているのだ。
この期に及んで、R35 GT-Rが一気に気になる存在(物欲モードというやつです)になってしまった。
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