日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック by AUTECH 試乗レポート/渡辺 陽一郎(2/3)

日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック by AUTECH 試乗レポート/渡辺 陽一郎
日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック リアビュー 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック フロントマスク 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック リア周り 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック フロント周り 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック(右)と、新ラインナップのライダー ブラックライン(左) 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック(右)とライダー ブラックライン(左) 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック バッジ 日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック 画像ギャラリーはこちら

背高ミニバンならではの"走る楽しさ"とは

日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック
日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック リアビュー専用19インチx8.0J アルミホイール (ダークスパッタリング)

エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックが「ミニバン特有の"走る楽しさ"」を可能にした背景には2つの要素がある。

ひとつは先に触れたベース車の素性。ティアナと共通のプラットフォームは優れた性能を持ち、2トンを超えるハイルーフミニバンと組み合わせても無理が生じにくい。

2つ目はライダー ハイパフォーマンススペックとしてのチューニング。ボディ前後の骨格をクロスステーで補強し、中央にもクロスバーが入る。さらにリヤサスペンションのメンバーステーの部分には、ヤマハ製パフォーマンスダンパーも装着した。

パフォーマンスダンパーとは、サスペンションに装着されるダンパー(ショックアブソーバー)と、基本的には同じ構造だ。走行中、ボディには不可避的に捩れが生じるが、強固に補強すればどこかに皺寄せがきてしまう。そこでボディをサスペンションのスプリングに見立て、穏やかに捩れるようにダンパーでコントロールする。制御された捩れによってエネルギーが使われるから、唐突な挙動変化や乗り心地の悪化を抑えられる。

実際、エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックの乗り心地は、ベース車のエルグランドとさほど変わらない。タイヤ&ホイールはベース車の350ハイウェイスターに対して1インチ拡大された19インチ(245/45R19)だが、硬い印象はなく、むしろ引き締まった重厚感を伴う。これには、ミシュラン プライマシーLCとの相乗効果も利いている。

チョイ乗りの分かりやすさよりも、高度なバランスを重視

日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック バッジ
日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック

ただ、スポーティ派のドライバーが運転すると、もう少し機敏に向きを変えて欲しいと感じるかも知れない。前述のように後輪の接地性が十分に確保されるから、もう少し曲がる度合いを強める手もあるだろう。

とはいえ、機敏な方向にチューニングすると、3列目の乗員が左右に揺すられたり、危険回避時に後輪の横滑りが拡大するなど、バランスの悪化が懸念される。乗った瞬間にキビキビ曲がることが体感しやすい「分かりやすいスポーティ感覚」にしていないところも、エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックの特徴だ。高重心でボディが重いミニバンの特性を踏まえた上で、乗り心地を落とさずに安定性を高め、2.5リッター並みの軽快感も実現している。この抑制を利かせたバランスに、完成車として販売される高性能モデルの価値がある。

ハイパフォーマンススペック向けに再度セッティングし直されたVDC(横滑り防止装置)の設定も同じ。挙動を乱した時の作動タイミングに遅れはなく、ムダな動きを確実に抑え込む。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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