アウディ、究極のドライビングマシン「PB18 e-tron コンセプト」を世界初公開

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  1. 一貫性のあるコンセプトを採用
  2. モータースポーツからインスピレーションを得たデザイン
  3. ゼロエミッションによるエモーショナルな走り:3つの電気モーターとquattro四輪駆動システム
  4. LMP1レーシングカーのハイテク技術を流用:サスペンション

アウディは、2018年8月23日、米国カリフォルニア州モントレーで開催されたペブルビーチ オートモーティブ ウィーク(ペブルビーチ コンクール デレガンス)において、電気自動車のAudi PB18 e-tron コンセプトを世界初披露した。

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“PB18 e-tron”という名称は、このコンセプトカーが初公開された場所、Pebble Beachを示すと共に、大きな成功を収めたLMP1レーシングカー、Audi R18 e-tronの技術的なDNAを受け継いでいることを表している。

同モデルは、風洞実験室やサーキットを連想させる幅広くフラットなボディ形状が特徴的だ。Audi PB18 e-tronには、アウディが長年にわたって勝利を積み重ねてきたルマン レーシングカーから数多くの技術が流用されている。

なお、コンセプトの策定は、アウディの高性能スポーツカーを製作する子会社である、Audi Sport GmbHのスペシャリストが担当した。

一貫性のあるコンセプトを採用

Audi PB18 e-tronは、一目見ただけで、2017年に発表されたコンセプトカー Audi Aiconとの共通点が分かる。これらの共通点は、内側に角度が付いたサイドウィンドウや、大きく張り出したホイールアーチをはじめとするデザイン要素だけに留まらない。この2つのコンセプトカーは、全固体電池をエネルギーとする電気自動車であるという点でも共通している。

一貫性のあるコンセプトを採用しながらも、両車はまったく正反対の特徴を備えている。Audi Aiconが完全な自動運転を実現して長距離走行を得意とするラグジュアリーカー、いわば公道を走るビジネスジェットのような存在であるのに対して、Audi PB18 e-tronはサーキットや公道を走行する究極のドライビングマシンとして設計された。

開発プロセスでは、ダイナミクスとエモーショナルなパフォーマンスの実現に焦点が当てられた。推進力、横加速度、完璧なエルゴノミクスといったパラメーターが、各ディテールを決定付けている。ドライバー重視のコックピットは、まったく新しい次元へと進化を遂げた。

このコンセプトカープロジェクトでは、アウディが現在取り組んでいる自動運転のレベル3、4、5と明確な差別化を図る目的で、“レベル0”というスローガンが掲げられた。Audi PB18 e-tronでは、ドライバーがステアリングを操作し、アクセルペダルやブレーキペダルを踏み込む必要がある。したがって、自動運転を実現するための複雑なシステムを搭載する必要がなく、快適機能のために重量が増加することもない。

インテリアには運転席とコックピットが設置されている。このコックピットは、横方向にスライドするインナーモノコックシェルに組み込まれている。1名で運転する場合、このコックピットは、レーシングカーのように、サーキット走行に最適な中央位置にモノポストとして移動させることができる。これは、制御装置との機械的な接続を必要としない、ステアリングとペダル類のバイワイヤ設計によって可能になった。

ドライバー用モノコックをサイドポジションにスライドさせると、一般的なクルマと同様の運転位置に移動することが可能になり、乗員用のスペースが出現。車両の低い位置に組み込まれ、3点式シートベルトが装備された乗員用のシートには、車両の反対側から乗り込むことができる。

このレイアウトは、ドライバーがモノコックに容易にアクセスするためにも役立つ。モノコックは、ドアがシル部分まで開いているときに移動させることが可能だ。

ドライバーの視野内には、透明なOLEDディスプレイが装着されている。このディスプレイには、次のコーナーの理想的な走行ラインなどを表示させることができる。このラインは、ナビゲーションや車載エレクトロニクスのデータを基に精密に制御される。

その一方で、公道走行時には、ナビゲーションシステムの矢印や他のシンボルマークが、ヘッドアップディスプレイと類似した方法で、ドライバーの視界内に表示される。

大型のコックピットディスプレイは、自由にプログラム可能なユニットとして設計されており、利用状況に応じて、サーキットや公道用の様々なレイアウトに切り替えることができる。

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モータースポーツからインスピレーションを得たデザイン

Audi PB18 e-tronのパッケージは、キャビンを可能な限り車両の前方に配置した、伝統的なミッドシップスポーツカーの構造に従っている。クルマの重心は、シートの後方、リアアクスルの前方にあるため、優れたドライビングダイナミクスを実現している。このコンセプトカーには、従来の駆動システムを備えたクルマのように、エンジン及びトランスミッションユニットは搭載されていないが、その代わりにバッテリーパックが配置されている。

Audi PB18 e-tronは、アルミニウム、カーボン、複合材を組み合わせることで、ボディの基本重量を抑えている。特に、革新的で比較的軽量な全固体電池のおかげで、総重量は1,550kg未満になると予想されている。

Audi PB18 e-tronの全長は4.53m、全幅は2m、全高はわずか1.15m。ホイールベースは2.7mで、短いオーバーハングを特徴としている。

側面から見ると、穏やかに傾斜するルーフラインに目を奪われる。このルーフは、大きなCピラーを包含しながら車両後端まで続いている。このデザインは、ほぼ垂直に設置された大きなリアウィンドウと共に、シューティングブレークコンセプト(クーペのようなリアデザインを備えたステーションワゴン)を連想させる。

その結果、特徴的なシルエットに加えて、通常のスポーツカーでは考えられない、470リットルという広いカーゴスペースが生まれた。カーゴスペースに合わせてカスタマイズされた専用のラゲージセットは、ラゲージコンパートメントを最適に使用するために役立つのだ。

フラットな赤い光の帯が、リアエンドの横幅全体に広がり、ボディの幅広さを強調している。幅広いホイールアーチのショルダー上に設置されたキャビンは、後ろから見ると非常に優雅なラインを描いていることが分かる。

リアディフューザーのエアアウトレットの位置は引き上げられている。これも、モータースポーツから流用された機能のひとつである。ダウンフォースを高めるために、ディフューザーをメカニカルに下げたり、通常固定されているリアスポイラーを後方に伸ばすことができる。

センターキャビンの両サイドには、ホイールアーチが大きく張り出している。このホイールアーチは、Audi PB18 e-tronの非常に幅広いトレッドを強調すると同時に、横力に対する高い潜在的な能力とquattro (クワトロ)4輪駆動システムの存在を誇示している。

非対称8本スポークデザインを備えた22インチの大径ホイールは、タービンのインレットを連想させる。このホイールは、ホイールアーチに設置されたエアインレットとアウトレットと共に、大型のカーボンブレーキディスクに十分な冷却エアを供給する。

フロントには、幅広く水平にカットされたお馴染みの六角形のシングルフレームグリルが設置されている。ブランドロゴは、典型的なアウディスポーツカーの流儀に基づいて、ボンネットの先端に配置されている。シングルフレームの左右に設置された大型のエアインテークは、必要な冷却エアをブレーキ及びフロント電気モーターに供給する。

さらに、フロントには、デジタルマトリクステクノロジーとレーザーハイビームヘッドライトを統合した、ワイドでフラットなライトユニットが装着された。

また、非常に長い照射範囲を特徴とするレーザーハイビームヘッドライトを装備。このテクノロジーは、Le Mans R18レーシングカーと共にデビューし、その圧倒的な明るさによって、300km/hを超える夜間のサーキット走行でも高い安全性を確保している。

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ゼロエミッションによるエモーショナルな走り:3つの電気モーターとquattro四輪駆動システム

このコンセプトカーは、3つの強力な電気モーターを搭載している。1つはフロントに、他の2つはリアに設置されている。後者はステアリングナックル中央に配置され、ハーフシャフトを介して、それぞれが1つのホイールを直接駆動する。フロントアクスルには最大150kW、リアアクスルには350kWの出力が供給される。

そして、Audi PB18 e-tronは、quattro四輪駆動システムを搭載。最高出力は500kWだが、ブーストモードでは一時的に最大570kWのパワーを利用することが可能だ。830Nmの最大トルクとの組み合わせで、このコンセプトカーは、0~100km/hを2秒未満で加速する。このタイムは、最新のLMP1レーシングカーに限りなく近い数値である。

また、公道走行時には、最高速度を航続距離に合わせて制限することができる。このシステムは、サーキット上では無効にすることが可能で、地域の規制に適合させることもできる。

その焦点は、パワフルなパフォーマンスだけでなく、最大の効率にも当てられている。走行中、Audi PB18 e-tronは多くのエネルギーを回生。中程度のブレーキングでは、電気モーターだけで車両を減速させる。従来の油圧ブレーキは、強い制動時のみに使用する。

リアアクスルに別々の電気モーターを搭載するコンセプトは、スポーティなハンドリングを実現する上で大きなメリットがある。

水冷式の全固体電池は、95kWhのエネルギー容量を備えており、1回の充電で、WLTPサイクルにおいて500km以上を走行することが可能。Audi PB18 e-tronは、800Vの急速充電に対応できるように設計されている。それにより、約15分でバッテリーを完全に充電することができる。

さらに、Audi PB18 e-tronは、アウディワイヤレスチャージング(AWC)による非接触充電にも対応。これは、クルマを駐車するフロアに内蔵コイルを有する充電パッドを配置して、それを電源に接続することによって行われる。交流電流の磁場により、空間を隔てて、車両のフロアに設置された2次コイルに交流電圧が生み出される。

LMP1レーシングカーのハイテク技術を流用:サスペンション

独立懸架式のフロント及びリアサスペンションは、ロワ及びアッパートランスバースコントロールアーム上に設置され、レーシングカーによく見られるように、フロントアクスルにはプッシュロッドシステムを、リアアクスルにはプルロッドシステムを採用している。

ショックアブソーバーは、前後共にマグネティックライド式のアダプティブダンパーを装着。サスペンションの基本構造は、Audi R18 e-tron quattro Le Mansレーシングカーをモデルにしている。

ホイール径は22インチで、フロントには275/35タイヤを、リアには315/30タイヤを装着。電気ブレーキと連動して作動する19インチの大径カーボンブレーキディスクは、サーキット走行における厳しい条件下でも、Audi PB18 e-tronを安全かつ確実に減速する。

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