マクラーレン P1 新型車解説(3/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
有利になりすぎるとの理由からF1では禁止されたテクノロジーの数々を採用
シャシーもスペシャル。今日のF1では性能面で有利になりすぎるとの理由から使用が禁止されているいくつかのテクノロジーが、ロードゴーイングカーであるP1には惜しみなく採用されている。
具体的には、ボディまわりの空気の流れが最適な状態とする、アクティブ・エアロダイナミクスや、車高可変式サスペンション、さらにはアクティブ・サスペンションや、コーナリング時に内側の後輪にブレーキをかけて旋回性を高めるブレーキ・ステアなどが挙げられる。
P1には、MP4-12Cに採用された「プロアクティブ・シャシー・コントロール・システム」をより進化させたという、新設計のハイドロニューマティック・サスペンションを活用した「レースアクティブ・シャシー・コントロール」を採用しているのも特徴だ。
これは、車高のほかスプリングレートも幅広く調整可能である上、ロールや減衰力なども可変できるという機構で、一般道からサーキットまで、ダイナミック性能と快適性の両方を最適化することができ、あらゆるシチュエーションでベストなマッチングを図ることができる。マクラーレンが追求する、抜群のハンドリングを備えたスポーツカーでありながらプレミアムカーなみの乗り心地を実現するという原則にもとづいている。
もちろんドライバーの好みに合わせた設定も可能だ。
サスペンションモードは、ノーマル、スポーツ、トラック、レースという計4つが用意されており、レースモードにするには40秒がかかり、車高は50mmダウンし、リアウイングは300mm伸張され、F1マシンのようにまったくロールしなくなる。実に最大2Gのコーナリングも可能という。
ブレーキは、F1でもパートナーである曙ブレーキ工業の開発した、レイヤード・カーボン・セラミック・ブレーキを搭載。これは、GT3やル・マン24時間レースの参戦マシンと同等のパフォーマンスが与えられている。
生産は、4000万ポンド(約60億円?)を投じて建設されたマクラーレン・プロダクション・センターの施設で、2013年後半よりスタートする予定。
はたして限定375台をどのようなオーナーが手にするのだろうか?興味深いところだ。
この記事にコメントする